2話
「ねぇ。」
『なーに。』
「何するの」
『芝生の上で寝てる。』
「それ、今やっていることでしょ。そうじゃなくて。これからの事」
『え。このままでいいよ。』
「へ?」
『このまま、おねーさんと横になっているのでいいの。おねーさんが1日、隣にいるので十分幸せだから』
「………/////」
『おねーさん。頑張っているよ。…とっても、頑張っている。偉いね。』
ダメだ。これダメなやつ。
嬉しくて。泣きそう。
私は、つないでいる手をほどいて。目に腕を置いた。
人前では泣かない。私のポリシーだなんて言ってたけど。
本当の事を言えば。いい年したおばさんは、人前で泣けないだけだ。
『なんで、手離したの?』
そう言ったポチがこっちを向こうとした。
私は、ポチと反対の方を向いた。
『おねーさん』
――――――ダメだ。色々だめ。
恥ずかしいし。涙出そうだし。
寝たふりが一番。そう思った私は、そのまま寝たふりをした。
体に何かをかけられた感触があった。
目を開けたら。ばれてしまうから目をきつく結んだ。
すると今度は、頭を撫でられた。
………////
こんなの慣れてない。本当に無理かも。心拍数上昇半端なくて。
頻脈で、血圧下がって死ぬかも。
そんな風に思っていた。
『なおこ?』
「は?」
いきなり名前を呼ばれてびっくりした。ポチの手などお構いなしに起き上がった。
「げ。」
『げってなんだよ。』
声の主は、専門学校からの同級生のヒデアキだった。
『こんなところで何してるの?』
「光合成?だいたい、アンタこそなんでいるの?」
『オレは、フットサルやってるの』
「へぇ。そんな事やってたんだ。」
『まあね。あっ。奈緒子、応援くる?』
「なんでそんな事しなくちゃいけないわけ。休みの日くらい。アンタの顔見たくないし。応援したくない。」
『つれないこと言うね。どうせ暇だろ。っていうか。そういえば。この子誰?』
…………。忘れてた。ポチの存在。
どうしよ。何ていうのが正解?
(拾ったの。)なんて言えないし。
英明は、同級生だから家族構成まで知られている仲だ。弟なんていないの知っている。
―――――。頭痛くなってきた。
『どうも初めまして。つばさと言います』
『あっ。初めまして。オレ、英明です。奈緒子の……』
「あっ。そういえば、フットサルいいの?途中じゃないの?」
『あっ。やべ。オレ飲み物買いに来ただけだった。じゃあ。奈緒子またな。』
そういって、ヒデアキは走っていった。
『あれ、誰?』
え?ヒデアキがやっと去ったというのに。今度は、なぜかポチに私は、追い詰められていた。