第4章 ペットらしいこと 1話
気が付いたら私は、ベッドに寄りかかって寝ていたらしい。
体は痛い。目も腫れぼったい。
「やばい。とりあえず。顔洗うか。それともシャワー浴びるか」
部屋を出ようと扉を開けると。
床に丸まっている。……ポチが。
「そっか。あのままずっと居てくれたのか」
本当に犬のようだ。
私の布団をかけて。私は、浴室へ向かった。
シャワーを浴びて、リビングへ行き。
ソファーに座りながらコーヒーに口をつけた。
『おねーーさーーん!』
慌ててポチが走ってきた。
『ひどくない?僕、床で寝てたんだけど。』
「そうだね。でも、このか弱い私には運ぶことは無理」
『そうじゃない!!起こしてくれても良かったでしょ。』
「あー。そういう事ね。気持ちよさそうだったから。」
『いやいや。今日は、休みなんだよ。』
「いつも、休みみたいなもんでしょ」
『違う。今日は、おねーさん休みでしょ。』
「そうですね」
『今日、おねーさんの1日は僕の日』
「え??」
『ペットに奉仕する日って事。』
そう言われたと思うと。着替えを急かされて。私は、外にいる。
今、私はポチと手をつないで歩いている。
「これ、どういうことですか?」
『さんぽ』
「ポチって室内犬じゃないの?」
『室内犬だって外でさんぽしないといけないんだよ。体にも心にもよくないんだから。』
「それは、分かったとしよう。でも、これ何?」
私は、違う手でつないでいる手を指さした。
『リードの変わり?』
「…リード……。」
『僕は、別に本当に首輪つけて、リードつけてもいいけどさ。おねーさん、それだと困るでしょ?』
それは、世間的にも良くない。っていうか、手つながなくても人なんだから必要ないだろう。
『人だから必要ないって思っているでしょ。逃げちゃうかもよ』
「それは、それでいいかもね」
『そんな事言わないでよ。少しは、悲しんでほしい……』
そう言いながらポチは、ニコニコしていた。
さんぽの先は、公園だった。
仕事場とは反対側にこんな場所があったのかと思うくらい。芝生のある大きな公園だ。
子どもたちが飛び回り。お母さん達が井戸端会議していた。
ドックランもあるようで。犬を連れた人達も何人か居る。
「こんな、大きな公園あったんだね。知らなかった。」
『結構にぎわっているんだよ。』
「よく来てたの?」
『まあね。そんな事はいいから。』
そういってポチは芝生の上に横になった。
私も引っ張られて芝生の上に横になっていた。
空がキレイだ。
こんな風に外で横になるのも、空を見上げるのも、もう何年もしていない。