2話
ピピ。ピピピ。
耳元で流れるスマホからの目覚ましに今日も憂鬱にアラームを切った。
今日も1日が始まってしまう。
そんな風に感じながらいつも通りに布団をたたんで。起き上がり。洗面台へ向かう。
洗面台へ向かい、顔を洗い。歯ブラシを口に入れながら。キッチンへ。
朝ごはんは、いつもブラックのコーヒーを飲む。
お昼は、いつも売店かコンビニ。
歯ブラシを口に入れたまま。あわただしく、パジャマから着替えを行う。
『わお。大胆だね。』
……。…………。
『歯ブラシ、落ちてる!ラグの上だけど。平気?』
………。
『おーい』
成人男子に手を振られて気が付いた。
「あ。忘れてた。」
私は、社会人になって13年たっている。そんな中。一人暮らしばかりしていたため。部屋に入れば、着替えはもちろん。恰好も、ながら行為も何も気にしないで過ごしている。
誰かが居住空間にいる。
なんだか、不思議な気持ちだった。
『忘れてたって。ひどくない?』
「いや。一人長かったしね」
『まあ。僕としては、役得という事でいいけどね。』
「役得?別に減らないしいいんじゃない。」
『おねーさんには、恥じらいとかないわけ?』
「恥じらい?そんなものあると思っているわけ?」
34年も生きている。こんな独女にそんな、ものはない。
『そうですか。なんか複雑。』
「だいたい、ペットなわけでしょ。ペットに恥ずかしがるとかないでしょ。」
『それもそっか。』
そういいながらうなずいている彼を見て。
「あっ。っていうか時間。はやく着替えて!!」
『え?』
「言ったでしょ。仕事に行かないとだから」
『そっか。一晩っていう約束だったもんね』
そういながら、あざとくがっかりした態度で私を見つめてくる彼を見て。
「そう。約束は、やくそく!」
『ダメか。』
そう言いながら、彼は着替えを済ませた。
「いってきます」
そう言い、家を出る。隣には、彼もいる。
慌ただしく、速足で歩く。
『なんで、こんなに早く出るわけ?』
「どうして、ついてくるわけ?」
『だって、行くところないし。おねーさんが働いている職場どこかなって』
「知ってどうするわけ?」
『ただの好奇心です。』
「そう。」
話して歩いているだけで体力を消耗する気がして話すのをやめた。
そうこうしているうちに職場の病院に着いた。
「じゃあね。ここからは、職員のみだから」
そういって、歩きながら顔も見ずに手を振る。
きっと二度と会わないであろう彼に。
『いってらっしゃい。仕事頑張ってね。』
……。
久しぶりだった。“いってらっしゃい”と言われたことも“仕事頑張って”と言われたことも。
「ありがと。」
それだけ伝えて病院に入った。