表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
173/186

普遍花1-18

 二人のアダムは魔実と魔術式を巧に手繰り、召喚した幻獣を交えてアレッタを蹂躙している。


 二人分のアダムと幻獣というただでさえ数で不利であるにもかかわらず、二人と一匹の実力はアレッタの実力を上回っている。


 さきほどまでの西洋竜と違い獰猛で、猛り狂う巨大な巨人。植物を容易く力任せに引きちぎっていく。回復や成長が間に合わないほどにその巨人は圧倒的なまでの破壊を見せつける。


 ただでさえ巨人に植物の大半を回しているので、アレッタの攻撃手数は少なくなり、二人のアダムは呼び出した幻獣というには無機質な矛を手に、遠距離では魔術式、距離を詰められれば矛による近接戦を息の合った動きで二人は繰り出す。


「魔術師は頭を使え」

「蓄積させた知識を組み上げなさい」

「この状況を切り抜ける閃きを」

「己の成長へ繋げる閃きを」


 見せろと声を揃えて言った。


「そんなの……、見せてみせます!」


 肌に幾つもの赤い線を引き、所々で痛々しく青紫色に変化した内出血。


 急いている自分を自覚してはいる。この状況を打開するべく思考を回転させなければいけないのも承知している。しかしコレを相手にどう立ち向かえば良いのかなんて分からない。アダムを相手に考えるだけ無駄だとも思っていたが、考えなしの行動をアダムに見抜かれ指摘され、酷く痛めつけられた。


 魔術師ならつまらないことをするな、と珍しく怒りをその淡々とした口調に滲ませて。


 アダムは幻獣と呼ばれる幻想生物を創り出し呼び出す。その数の際限は。力の強い幻獣を呼び出した際にはどれくらいの魔力が消費されるのか。幻獣はアダムが即席に考えた者も召喚可能なのか。


 アダムの魔術、もとい魔実を識らなければ対応も浮かばない。このままでは消費戦で確実にこちらが裂きに尽きる。


 アレッタは普段使わない魔術式、空気に圧縮と着火の意味を持たせて即席爆発弾をアダムとの間に生成して、爆発の威力を利用して大きく飛び退き、標的をアダムたちから巨人へと切り替える。


 この場で相手に背を向ける行為は間違いなく愚策。


 しかし、消費戦になるのであれば一体に集中して数を減らした方がいい。


 新しく呼び出した植物を巨人の足に引っかけて体勢を崩すが、一歩大きく氷見出して転倒はまぬがれた。続けざまに大きく前に出した足を無理矢理すくい上げて今度こそ転倒に成功させた。


 アレッタはここまで魔術を使って魔力の消費があまり見られないことに驚いた。これが神と一つになった恩恵。


 もっと魔術に魔力を注ぎ込めばどうなるか。


 これまで消費を抑えて線引きしていた閾値を超えた量を放出した。


 大地が揺れる。大きく、普通であれば立っていられないくらいに揺れは大きくなり、遠くに見えるビル群の上階部分がしなっている。


 後援全体の地面が大きく隆起したかとおもうと地割れが起き、巨人の全体を根が伸び出してきて瞬間に包んだ。バキバキと砕ける音。巨人は咆吼を上げた途端にぐったりと脱力して消えた。


「力を行使するのに遠慮はいらない」

「躊躇いは隙をうむ」

「周囲なんて気にする必要は無い」

「私たちが修正するから」

「今は存分に自分の真の力を自覚しろ」


 アダムは興が乗ってきたように、段々と笑みを創る口角が持ち上がっていく。

こんばんは、上月です



次回の投稿は6日の21時を予定しています

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ