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聖羅との危険な旅1-7

 通路の奥にはまた大広間があり、悪魔使いがジッと聖羅とアレッタを視線を向けている。


 逃げも隠れもせずに堂々と二人が到着するまでの間、手元の小型モニターに映し出された監視カメラの映像でも眺めながら楽しんでいたのだろう。


「もう着いちゃったのか。予定より早いと困るんだよね。まだ、もう一人の招待客は到着していないってのにさ。俺の組み上げた台本では、お前達が到着したと同時に柊を殺すはずだったのに……、ああ、台無しにされちゃったよ」

「クク、そいつは残念だったなぁ。なんなら出直してきてやっても良いぞ?」

「シラケさせるなよ、魔術師。ならば、配役を変えればいいだけのことだろ。殺されるのはお前等二人、その場面を柊が目撃して絶望する。そして、俺が柊を殺す」

「お前じゃなくて、そこの悪魔が、だろう?」


 苛立っている聖羅の挑発は留まらず、次々と彼の発言の揚げ足を取っては、お得意の馬鹿にした、喉を鳴らす笑いを見せる。


「それはそうと、私のナイフを返してもらえるか?」


 そこで、はいどうそと返すはずもないだろうと、アレッタは思った。


 しかし、悪魔使いは小型モニターを置くと、脇に置いてあったナイフを一本丁寧に持ち上げ、まじまじと観察した後に聖羅目掛けて投げて寄越した。


「おっと……、危ないだろうが! 刃物の扱いも学校で習わなかったのか、この馬鹿者!」

「学校には行っていないんでね」

「不登校児か? イジメられっ子か?」

「…………」


 黙り込んだ様子を見るとご名答だったのだろう。


「まあ、陰湿根暗野郎じゃあイジメられても仕方ないだろうなぁ。クク、美人二人を軟禁して、その様子をカメラ越しにネットリした視線で視姦していたんだろう? ああ、もしかすると、うふふ、なんてニヤニヤでもしていたかぁ? なあ、どうなんだぁ?」

「……黙れ」

「ああ? 聞こえないぞ。男ならもっと大きな声で喋ったらどうだぁ?」


 完全に聖羅のペースだ。


 悪魔使いは奥歯を噛みしめ、目を見開いた怒りの形相で聖羅を睨み付けている。彼の表情にはアレッタも流石に引いた。このまま呪術でも使って、相手に災いを飛ばしそうな勢いだったからだ。


「アーリア・キュウテン! その女をッ! 俺を侮辱するあの忌まわしい糞女を殺せぇッ!」


 彼の号令にまたあの冥府魔将の悪魔が地面から這い出てきた。手には聖羅とアレッタを圧倒した二メートル超えの鉈。


 巨大な肉の塊。


 数百を超える人間を半液状にして混ぜ合わせたような混沌物。うねうねと波打つ色白い肌には微かに残る人間の形が浮き上がっている。多数の手足が肉塊から無造作に生えていて、手には見開きの魔導書。先ほどは魔術式の同時連続展開の直撃によって意識を失った。


 しかし、今回に油断はない。


 生理的嫌悪を抱く姿は一度目で慣れたからだ。


 聖羅は既に詠唱を済ませて魔術を展開し、ナイフの腹で傷口を撫でて傷口を切除した。


「さあ、悪魔使い。第二舞台の開演と行こうじゃあないか。アレッタ、用意はいいな?」

「ええ、いつでも構わないわ」


 聖羅に頷き返す。


 次は負けない。負けるつもりもない。


 しかし、この場に植物はないので何処からか調達してこなければならない。一番近いのは敷地内に植えてあったものか。アレッタは意識を、魔力範囲を広げて植物たちに呼びかけた。

こんばんは、上月です



次回も来週の日曜21時を予定しております!

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