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蛹は甲虫の夢を見るか?  作者: ろ~えん
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第二話

太田は所在なさげにPCの画面を眺めていた。

以前は、人工知能研究の最前線で有望なチームを率いて研究活動を行っていたのだが、それはある意味呪われた研究であった。

画期的な成果が出そうな所まで行っていた筈なのに、中心となっていた研究員(本当に有能な人物であった)が事故死し、同時にその成果が霧のように消えてしまった。

更に、そのあとチーム内の別の研究員(これも負けず劣らず有能だった)が中心となって、ほぼ一からやり直す形で研究を再開したが、彼が突然失踪した時、その成果である人工知能も、前回同様に消えていた。

実は最初の素晴らしい成果は、ある場所に存在し、現在でもきちんと機能している事は知っているのだが、その事実を広言する事は出来ない。

成果が消滅した事は二回とも事故として扱われ、本来であればプロジェクトリーダーである彼がその責めを負わなければならないはずだったのだが、純粋な技術者である彼には理解できない複雑な政治事情が、その責任をうやむやにして、気付けば彼は管理職に昇進さえしていた。

彼はその点を、口止め料がわりだろうと理解している。

そして、元々頭の良い人物である彼は、特別に優秀とは言えないまでも、管理職をそれなりに勤めるには十分であったので、各プロジェクトを総覧する管理者として勤務を続けている。

とはいえ、最先端研究に携わっていたかつての日々を思えば、寂しいのは否定できなかった。

そして、年度末の追い込みから新年度の予算獲得競争への大きなヤマを越えた今、管理職としては特に対応を求められる案件も無く(とは言え心配事が無いわけではない)、緊急度の低い書類仕事しかない状態ではやる気も起こらず、ただデスクに座っているだけであった。

その時、突然ディスプレイにウィンドウが開き、ローティーンの少女が顔を出した。

「センセ。今お暇ですか?」

「あ?ああ。春香ちゃんか。」

子供を持つどころか結婚すらした事のない太田は、公には言えないが、春香を娘ではないにせよ姪の様に想っていた。

「何だい?」

春香は少し躊躇っていたが、尋ねてきた。

「神田さんについて、仲の良い人の話を聞きたいんです。」

「神田?」

それは、彼の当面の心配事の原因と同じ名字であった。

しかし、その問題に春香が関心を持つとも思えないので、偶然の一致だろうと想った。

「ええと、神田龍平さん。」

その言葉に太田の眉が無意識に吊り上がる。

それは偶然の一致ではなく、該当人物その物であった。

そうなると、ちょっと便宜を図るのは躊躇われるところであり、きっぱりと断るべきだと思った。

しかし彼は、春香が見た目通りの少女ではなく、従ってそのやや舌足らずな喋り方も意図的にやっているのだと知ってはいたが、それでも自分を頼ってくる姪は可愛い物でもあり、その口調で頼み事をされるとつい乗ってしまう。

「仕事かい?」

「うん。」

「個人情報となると、あまり教える訳にはいかないんだけどなぁ。それに、私は神田君とはあまり話した事がないしね。」

「だから、神田さんと親しい人を紹介だけしてもらえませんか。」

そう言って、春香はウインクする。

「まあ紹介だけなら・・・」

「本当!ありがとうございます!」

画面の中で少女が手を打って跳び上がり、それからお辞儀をした。

「紹介はしてあげるけど、君が話すのかい?」

春香は、公式には存在しない筈なのである。

「いえ、ウチの所長がお話を伺いに行きます。」

『ウチの』という言い方に、もうこの子にとっての身内はこっちではなくあっちなのだと感じて一抹の淋しさを覚えた。

そして、後れ馳せながら彼女のところの所長という事は、プロが出てくるという事だと気付いたので、こっちの問題についても話して見るべきではないかと思った。

「私も神田君については、少し所長と話がしたいんだけど。」

その点については、彼女もある程度予測していた様で、すぐに返事があった。

「それじゃあ、所長から電話させます。」

そう言ってウィンドウが閉じると、三分もしないうちにデスクの電話が鳴った。

「はい。先進技術開発二課太田です。」

「ご無沙汰しております。カトナガ探偵事務所の加藤です。」

春香の親権(と言える様な物が存在するとすれば)者は明峰学園の荒川教授だが、太田も彼女を育てたメンバーの一人なので、彼女を預かる際には筋を通す意味で加藤と永田は二人で挨拶に行っている。

「何か神田君の事で用があるそうだね。」

「ええ。依頼人については、申し訳ありませんが詳しく説明する事は出来ませんが、神田氏の関係者から連絡が取れなくなったので調べて欲しいと依頼されました。」

「君の方もそうですか。」

『も』という事は、職場でも連絡が取れなくなっている様だ。

「いつ頃から不在なんですか?」

「ええと・・・」

そう言いながら太田はPC上で神田のチームリーダーのメールを探した。

「あったあった。最後に出勤したのは、先月の21日だね。」

「それ以降、連絡は取れていないんですか?」

「ああ、翌日に出勤して来なかったんで電話したが、応答は無かったそうだ。」

典子が最後に神田とLINEで会話したのがその前日の夜なので、その辺りで失踪したと思われる。

「それで・・・」

加藤が様子を窺う様な素振りを見せたので、取り合えず話を進める事にした。

「お願いの件については、春香ちゃんから簡単に聞いた。神田君のチームのメンバーと話せる様に話を通しておく。」

「それは、助かります。」

「ただ、この件についてはこちらも困ってるんで、何か判ったら教えてくれないか?」

「勿論です。」


「初めまして。加藤と申します。」

差し出された名刺を受け取ると、男は胡散臭げに眺めたあと、太田に視線をやった。

太田は軽く苦笑しながら、目で促した。

「初めまして。松木と申します。」

そう言いながら男も名刺を差し出した。

松木の肩書は主任研究員である。

「早速ですが、神田氏と連絡が取れなくなる前後で、何か変わった事はありませんでしたか?」

松木は、そのまま考え込む。

典子の時はやむを得ず、『悩んでいたとか』等と補足したが、できる限りこの段階で聞き取りに条件を付けたくはない。

それはこちらの予断に向けた誘導を与える事になり、感知できる変化の幅が狭められてしまうのだ。

「彼は、どちらかというと物事を深く考え込む質でしたが、連絡が取れなくなる前後は特に悩んでいる様子はなくて、むしろ研究成果が大きく進捗しそうな目処が立った事で、いつもより明るかったと思いますよ。ただ、疲れが溜まっていたのか、時おり酷く眠そうにしていましたが。だから、出て来なくなった日の朝も、疲れて寝坊したんだと思ったんですよ。ところが夕方になっても連絡が無いものだから、こちらから電話を掛けたんですが、出なかったんです。」

疲れていた様だというのは、典子も言っていた。

それを押して仕事に没頭していた訳だから、かなり希望が持てる状態だったのだろう。

「研究は好調なんですか?」

松木は頸を振った。

「好調になりそうだったんです、彼が居なくなるまでは。」

「つまりその、『大きく進捗しそうな目処』というのは、神田氏と関係があった?」

「ええ。と言うかその目処は『彼その物』だったんですよ。」

加藤が意味を掴みかねて困惑しているのに気付き、松木は尋ねた。

「ウチの研究テーマはご存知ですか?」

「四次元コンピュータと伺っております。」

「ざっくり言うと、メインバスの通信経路を四次元的に時間の経過をキャンセルする方向へ配置する、という事です。つまり、四次元的な意味での方向を探索する事が、この研究のキモになるわけです。」

加藤は、黙って頷いた。

「今のところ、ほぼ当てずっぽうに線を引いてみて、その結果を測定するという試行錯誤でしか確認のしようが無いのですが、何故か彼がやると、成績が良いんですよ。」

「ほう。」

神田に関する事柄なら、何がヒントになるか判らないので、全て聞いておくべきである。

「高次元CADというツールを使用して四次元的な方向を調整しながら設計を行い、その結果を四次元方向に限定的な調整の可能な機能を持った高次元積層形成プラント、我々は4Dプリンターと呼んでますが、これでプロトタイプ的に製造してから各種の測定を行って結果を確認するんです。これは大変巨大なプラントでしかも、日本中の高次元研究に携わる機関が順番待ちをしている状態なので、実際の製造はどうしても時間がかかります。だから、出来るだけ入念にシミュレーションをしてから製造に臨むんですが、基本的には誰がやっても、シミュレーションに近い結果になる確率は偶然以上の物にはなりません。」

「神田氏以外なら、ですか?」

「そうです。彼がやると、明らかに有意に高い確率で期待に近い結果が出るんです。本人にも何故だか明確には説明出来ないんですが、一度その点について雑談してたら、『青っぽい方を選ぶと、割りと良い感じになる』とか言ってまして、CADツールの画面表示の話かと思って聞き返したんです。すると、『画面の話じゃなくて方向自体が青かったり赤かったりする』と答えたんです。結局みんなちんぷんかんぷんで、彼には四次元が見えているんじゃないか、という冗談で混ぜ返してその場は終りました。」

これは中々興味深い話だ。

「更に彼は、この点については、明らかに成功率を上げつつあったし、失踪直前には、何となく判ってきた様な口振りでした。」

「ふむ。」

「雑談レベルでは、もしかすると四次元方向への展開を数式化できるのではないか、と匂わせる様な事まで言っていたんですよ。」

これはもしかすると、極めて重大なヒントかもしれない。

「他の研究機関では、このテーマはどう扱われているんですか?」

「他というと、国内の?」

「国内外共にですが、特に国外の機関が気になりますね。」

松木は、頸を捻った。

「量子コンピュータの性能的ボトルネックを解消する手段としては、現時点では最も有望と見なされていますからね。多くの国で高い優先順位に挙がっていますよ。」

「進捗的にはどうです?」

松木は、加藤の言いたい事が判った様だ。

「我々の進捗は彼の能力に負う所が大きいのですが、私の知る限りでは、他のチームで我々程の成果を挙げている所は無さそうです。」

そう言ってから、恐る恐る尋ねて来た。

「もしかして、他の機関が関わっていると?」

「伺っている限りでは、それも一つの可能性ですね。」

その答に松木は軽く青ざめた。

「あの・・・」

「何でしょう?」

「警察に相談した方が良いんでしょうか?」

「現時点では何とも言いかねますが、私なら相談しに行きますね。」

そう言って太田に視線をやると、太田も頷いた。


「青っぽい方?」

永田が尋ねた。

「ああ、そう言ってたそうだ。」

永田は腕組みして考え込んだが、しばらくして尋ねた。

「他のメンバーには、青や赤の意味は判らなかったんだよね?」

「そうらしい。」

「何か判ったの?」

春香の問いに、更に考え込んだ。

こいつが考え込むと大体長くなる、そう思いながら加藤は立ち上がり、コーヒーを淹れ始めた。

やがて部屋中に良い香りが拡がり、コーヒーが入り終ったが、永田はまだ身動ぎもしないで考え込んでいる。

コーヒーを二杯注いで一つを差し出すと、上の空で受け取って少しずつ啜り始めた。

加藤も、所在無げにコーヒーを啜っていた。

二人のカップが空になり、更にその底が乾き始めた頃に、永田はゆっくりと顔を挙げて言った。

「これは、共感覚ってやつじゃないかな。」

その言葉に頸を捻った加藤に、永田は説明する。

「世の中には、数字や音階に色が着いて見える人ってのがいてね。」

「ああ、何か聞いた事があるぞ。」

「脳内の、例えば数字を扱うエリアと色彩を扱うエリアが連動している人は、数字に色が着いて見えるんだと。」

加藤は、納得のいかない表情で尋ねた。

「その話は何となく判るが、それがこれにどう関係してくるんだ?」

「まずね、純粋な二次元の世界ってのは存在しない。二次元ってのは、三次元の投影か断面でしかない訳でさ。」

加藤は、いたずらっぽく笑った。

「おや?お前の嫁が居る筈の二次元が実在しないってのか?」

「ありゃあ、それ自体は実体を持たない三次元の投影だよ。」

永田は慣れた物で、半畳を軽くいなすと説明を続ける。

「同様に、我々が認識する三次元も高次元の投影や断面な訳で、実際には我々自身の体も高次元的な連続性を持っている。だから、脳にその情報を処理するエリアがあってもおかしくは無いだろ。」

「ふむ。」

加藤は、これについては特に反論は思い付かなかった。

「ただし、それを認識出来るかどうかは別の問題なんよ。」

「と言うと?」

「春香ちゃん。ユークリッドの五公準をヨロシク。」

春香は即座に、ネットのどこかから拾ってきたらしい文章を、淡々と読み上げた。

「1 任意の一点から他の一点に対して直線を引くこと。2 有限の直線を連続的に真っ直ぐ延長すること。3 任意の中心と半径で円を描くこと。4全ての直角は互いに等しいこと。5 直線外部の任意の一点を通り、元の直線に平行な直線はただ一本しか引けないこと。」

「ありがと。ちょっと見ただけで、第五公準だけが他の公準と性質が違う事が判るよな?」

「あ、ああ。」

本当のところはさっぱり判らないのだが、ともかく話を続けさせるために、曖昧に相槌を打った。

「それ以外の四つの公準はセットになっていて、その中の任意の三つを組み合わせる事で、残りの公準を証明する事が出来るんだ。しかし、第五公準だけは、他の公準をどう組み合わせても証明できない。で、ユークリッド以降の数学者達は、この非対称性を嫌って、何とかして第五公準を他の公準で証明しようと二千年以上も努力したが、どうしても出来なかったんだ。」

数学が得意とは言えない加藤は、何の事かわからないまま、話について行こうと必死であった。

「そういう数学者の一人だったニコライ・ロバチェフスキーは、散々考えた末に別の方向からアプローチしてみる事にした。ユークリッドの第五公準をひっくり返して、『直線外部の任意の一点を通り、元の直線に平行な直線は二本以上引けること。』という、どう見てもあり得ない言わばロバチェフスキーの第五公準を仮定して、これと他の四公準を組み合わせた仮の公準体系を組み上げたんだよ。そして、その仮の公準体系の矛盾を解析すれば、証明の緒が見つかると考えたのさ。」

「で、どうなったんだ?」

加藤は、着地点が見えないまま、先を促した。

「結論から言うと、あり得ない筈のロバチェフスキーの第五公準を基礎とする公準体系に矛盾は見付からなかった。つまり、ユークリッドの第五公準は、ロバチェフスキーの第五公準で置換可能な、他の四公準から独立した公準だという事を証明したんだ。」

加藤は、それがどうした、という表情になった。

「ただし、ロバチェフスキーは、この事の真の意味を理解できなかった。どう見てもあり得ない仮定だからね。そして、それを明らかにしたのは、ベルンハルト・リーマンだった。第五公準は、幾何学体系におけるアドオンプログラムみたいなもんで、ロバチェフスキーの第五公準は、ユークリッドのそれの言わば上位互換だったんでさ。それを置き換える事は、ユークリッドの三次元幾何学をロバチェフスキーの第五公準が成立する空間、つまり高次元へ拡張する事だったんだよ。」

相変わらずの博識に、こいつの頭の中は一体どうなっているのか見たいもんだと軽く呆れつつも、ようやく永田の言いたい事がおぼろげに見えてきた。

「ロバチェフスキーは、純粋に演繹的に高次元幾何学の体系を導きだしたが、それが高次元幾何学である事を理解する事が出来なかった。そして、リーマンは、それを理解できたが、自分で思い付く事は出来なかった。」

そこで永田は、一旦言葉を切って考えを整理するように俯いた。

やがて、整理が着いた様で再び話し始めた。

「それをこんな風に考えてみたらどうだろう?」

「こんなってどんなだよ?」

「脳内の高次元を認識するエリアは、機能する人間としない人間が居るが、多分、機能しない側の方が多い。そして、ロバチェフスキーは機能しない側の人間だったから、自分の考えた第五公準の真の意味を理解できなかった。その一方で、機能する側の人間だったリーマンは、高次元を感覚として捉える事は出来ても、表現する手段が無いのでロバチェフスキーの幾何学がなければ、それを概念化する事が出来なかった。てなところか。」

今度は加藤がしばらく考えていたが、やがて言った。

「つまり、今や実際に高次元にアクセスする手段があるが、それでもそのエリアが働かない人間では、その意味は理解できないし、働く人間でもお前の言う『概念化』が出来なければそれを有効に活用する事は出来ない。だが神田氏は、それを共感覚を通して色という形で高次元空間の方向を把握する事が出来るんで、大きな成果を挙げる事が出来た。つまり、そこが機能する少数派の中でも、それと連動する共感覚を持つ更に少数の人間でなければこの手段は活用できない、って事か。」

いつもながら、この男の理解力の鋭さには感心する。

本人は、勉強が嫌いで頭も悪いと思い込んでいるが、勉強する気が無かったので明峰の様なFラン大学に行ったけれども、もし本気で勉強していたら、もっとずっと偏差値の高い学校に行けていただろう。

「まあ、そんな感じじゃ無かろうか。どことどこが連動するにしても共感覚の保有者自体がこれ以上は無いと言える程の少数派だから、高次元認識部位が機能し、共感覚を持ち、更にその共感覚が高次元認識部位と連動しているという人間は、恐ろしく少ないだろうね。現時点で世界中に神田氏以外に一人も居なくても驚かんさ。」

「つまり、神田氏の能力は、本当の意味で特殊能力だって言う訳だ。」

その言葉にはっとした様に、永田はまた考え込んだ。

二人はそれを黙って見ているしかなかった(そうそうコーヒーばかり呑んでもいられない)が、今度の沈黙は、先程よりは短かった。

「こりゃあ、まずいかも知れんね。」

呟く様に、永田は言った。

「何が?」

「結局のところ、高次元技術の応用先が現時点で四次元コンピュータだけなのは、大きな制約があってそれ以外の所では有効な結果が出せていないからなんよ。そして、四次元を実際に見る事が出来るとなれば、現在の制約は恐らく次々と打破されていくだろうね。まずは有効な距離の問題が解決されるだろうし、その次はきっと方向だね。もしかすると、実体の移動も可能になるかもしれんよ。そうなればその応用先はそれこそ無限にある、と。」

「まあ、そうだろうな。」

加藤ののんびりとした答えは、その抽象的な表現が表す内容がピンと来ていない事を示していた。

「特に軍事に応用されたらどうなると思う?」

その一言で加藤の表情が変わった。

「例えば、核爆弾を直接目標に送り付ける事が出来るとか?」

「そう。しかもどんなに厳重に防御されている場所でもその内部に直接送れる訳だから、核弾頭である必要すらないんだよ。目標それ自体が十分に小さければ、小さなプラスチック爆弾で十分なんでさ。」

「なるほど。」

「そこまで行かなくても、どんな厳重に秘匿された秘密でも、高次元空間を通して直接覗き放題だろ。」

今度は、加藤が軽く考え込んだ後、確かめる様に言った。

「すると、他の研究機関が云々ってのはほんの思い付きだったんだが、もしかするともしかするかも知れん、というわけだ。」

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