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つきみ8

 『お願い、こんなチャンス滅多にないから、協力して…』頼み込む明美。


 『うん、それは分かるけどさ…』


 『だっていつも淋が一緒にいるから、なかなか二人になれることないし、ねぇ由紀~~…』


 『ん~~、しかたないなぁ…もう、いくよ…』


 『由紀、ありが…』明美は、言いかけた時、由紀の後ろに近づいてきた和樹に気がつくと少し身を引いた。


 『あけみ、なに?どうしたの?』 


「おまえら、なに、話してるんだ?」 


 耳元で、言われた由紀はビックリして、振り向いたら和樹の顔が目の前に、数秒見つめ合い「つきしま、お前って結構だいたんなんだな」照れ隠しをしながら、元の席に戻る和樹。


「ち…ちがうわよ、あんたがそんなところにいるからいけないんじゃないの…」顔を真赤にして下を向いてしまった由紀(もう、なんでこんなにどきどきしてるの)。

 

「何だよ、そんなに俺のそばがいいのか!」由紀の背中に手を回すと。


「ちょっと…もう、しらない」ガッタと席を立ち、さっさと学食を出ていてしまた由紀。


 皆は(あぁ~またやってるよ)和樹を冷たい目線で見つめた。


「なんだよ、俺なんか、また悪い事したのか?」


「おまえ、なに考えてるんだよ……あほ」間宮が、呆れて見て言った。


「普通腕、まわさねぇぞ」武が指を刺した。


「ほんと、何考えてんだ、昨日の今日だぞ、ゆきが一緒にいる事じたい奇跡なのに・・・」和樹に詰め寄る淋。


 うんうん、(ほんと、ほんと)頷く明美と美里を見ると和樹は深く溜息を付いたが。


「うるせぇな、俺のやりかたに文句言ってんじゃね……」ギャクギレする和樹だったが、どうしていいのか、分からないでいた。


「まぁ、後は自分で何とかするんだな」


 淋が和樹の肩をポンと叩いてお盆を返却して学食を出て行ってしまった。美里と武も一緒に出て行く。


 明美は由紀のお弁当箱受け取ると、学食を後にした。


 廊下を歩いていると窓に両手を置いて風に吹かれながら外見ている由紀を見つける明美。

 

「ゆき、これ…」

「ありがとう、ごめんね」長い髪が風に靡くのを抑えながら、鞄を受け取ると窓を閉めた由紀は。


「いこ」明美の手を引いて、教室に向かっていた。


「ねぇ、ゆき?」


「なに?」


「さっきの事、怒ってないの?」


「なんで?」言いながらも、引きつった顔して無理に笑顔をなろうとする由紀。


 (あ、これは怒ってるわ…)その顔を見た明美は黙ってしまった。


「怒ってないって、だからそんな顔しないで…」由紀は手を離しクルっと回った。


「うん、それならいいんだけど…」


 明美は引っ掛かりは下が、何も言えないでいた。


 教室の扉をガラガラと開けると、中西達が立っていた。


 由紀を見ると、いきなり睨みつけてくる、ちょっと後ろに下がるが、避けるようにして自分の席に歩いて行った。


「ちょっと、無視してんじゃないよ!」あからさまに人を馬鹿にした態度で言ってくる中西。


「なんとか、いったらどうなの?」


 振り向こうともしない由紀。


 ムカっとなった中西は、(絶対に学校に着たくなくしてやるからな)手をギュッと握り締めていた。


 午後の休み時間も、なにかと因縁を付けられるが、由紀は無視し続けた。


 嫌な一日がやっと終わったと溜息をついていた、放課後。


 帰りの準備をしていると、和樹が教室は入ってくるなり大声で。

「月島!帰るぞ…」

 ビックンとして、止まる由紀だったが和樹を見ないようにして、明美を見ていた。


 慌てて中西達が、和樹の前に出て行く。

「どうして、あんなやつの相手をするんですか?」

 お伺いをかけるように聞く中西。

「うるせぇ、俺に話しかけるな!」

 中西達は、たじろいで、後ろに下がってしまった。ズカズカと由紀の席までくると。


「つきしま、いくぞ」手を伸ばしてくる。


「わ…わたし、今日バスでかえる…」和樹に背を向けて言う由紀。


「いいから、来い」和樹は、由紀の手を握り引っ張った。(な、なんで、私なの?)下を向いたまま連れて行かれる。


 明美はとまどいながらも、それに付いて行く中西達は、唇をかみ締めて悔しそうに見つめているだけだった。


 廊下に出ると。

「おねがい、あけみを淋達が居る所まで、連れてって…」振り払えない事が、分かっている由紀は、諦め顔で言った。


「あぁ、わかった…」一瞬凄い優しい顔をする和樹。


 (え?なんで、そんな顔をするの?)見つめてしまう。


 由紀の手を引いたまま、淋達の教室に歩き始める和樹。


 淋達は廊下に出て喋っていると、和樹と手を繋いで歩いてくる由紀を目の当たりにした淋達は(まじで?)疑う目で見ていた。


「よぉ、淋」右手を上げて言う和樹。


「どうしたんだ?」由紀をチラチラ見ながら言う淋。


「西九条をお前達の所まで、連れてけって、月島が言ったから連れてきただけだ」


 淋は、由紀をじーーーっと見ると、いつもと様子が違う事に気が付いた。

「ゆき、今日教室で何かあっただろう?」


 由紀は和樹と繋いでる手を、ギュッと握り締めてた。(なんだ?)いきなり強く握られた和樹は、由紀を見た。


「なんにもないよ」首を横に振る由紀。


「実は…」明美が話そうと前に出てきた。


「明美は、黙ってて…だから、なんにもないよ」


 隣に居る和樹の正で嫌がらせをされていたなど、ここでは話したくない由紀は必死になっていた。


「嘘、言うな!」淋は、由紀に近づいていく。


 身を縮ませてる由紀。


 (いつもながら、よく気が付くよな)感心して見ている武と美里。


「かずきもかずきだ、ちったぁきづけよ・・・」


「なにがだよ?」分けがわからない和樹。


「由紀、今日いじめられただろ?」かまをかけて言う淋。


 顔をピックンとさせて、淋を見上げる由紀。

「ち…ちがうよ、いじめられてないよ…」


「やっぱ、いじめられたのか、で、どこのどいつだ!」 右手を由紀の肩に置いて、揺する淋。


 和樹の腕を左手で抱き寄せて下を向いてしまた。


「明美、だれだよ、教えろ!」何も答えない由紀にイラついた淋は怒った。


「な、なかにしって人達…」


「おい、和樹、いくぞ!」和樹の胸倉を掴んで引っ張る淋。


「わかったから、はなせ・・・」和樹は淋の手を振り払い、由紀の教室に向かって行く。


 和樹もみるみる鬼の顔に変わっていった。


 ガッターンと扉を開ける淋。


「なかにしってやつはいるか!!」入るなり大声で叫ぶ淋。


「おい、そこのやつ、しらねぇか?」和樹に睨まれた男子高生は、見る見る血の気が引いて答え。


「さっき、更衣室がどうのと、言って出て行きましたよ…」


「そうか…りん、いくぞ」 


 由紀の手を離して、更衣室に向かって行った。


 女子更衣室に着くなり何のためらいもなく扉を開けて中に入って行く淋と和樹。


 何かをビリビリ破る音が聞こえる。


 由紀達も後から入ってきた。


「おい、中西それ誰の服だよ?」


 両腕を組んで睨みつれる和樹。ロッカーをドンと蹴飛ばす淋。


「てめぇ、よくもゆきいじめてくれたな、覚悟はできてるんだろうな!」


「私達が、月島さんをいじめるなんて、めっそうもない…」慌てて服を後ろに隠して苦笑いをする中西達。


「それにここ、女子更衣室ですよ…」


「いいから、今後ろに隠した服みせろや!!」


 ロッカーをガッンと拳で殴りつける和樹。こわごわ服を前に出す中西達。


「ひ、ひどい、それ私の服……」

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