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つきみ11

 呆れ顔で、美里と明美をみる武。


「はい、この話はここまでな……」


 うざったいと美里の頭に手を乗せて、髪の毛をグチャグチャにする淋。


「ちょっと、なにするの!!」鞄を振り上げると、淋はモウダッシュで逃げていく。


「こら、まてぇ!」追いかける美里の後を嬉しそうに、ついて行く明美と武。


そんな事をしながら、駅に向かっていた4人。


 ◆◇◆◇◆◇◆


 学校に着いた由紀は、あかりに挨拶をして後、和樹に手を引かれて玄関に入っていた。


 靴を履き替えると、廊下で待っていた、和樹に再び手を引かれて由紀の教室に歩いて行く、(あれ?なんで?和樹の教室逆方向じゃ)由紀。


 ガラガラと扉を開け中に入っているなり、教室の窓際で話していた、中西達の所に一直線。


 ざわざわ、騒がしかった教室がし~~んと静かに。


 和樹は人目も気に静に大声で、思いもしない事をいい始めた。


「おい、おまえら、ゆきは俺の女だ!次手だしやがったら、ただじゃおかねぇからな!」ちょっと、驚いてしばらく固まるが。


「す、すいませんでした」深々と頭を下げる中西。


 (は?)由紀はあまりの事に、唖然として和樹の後ろで棒立ち。


「俺じゃなく、由紀にあやまれや!」引っ張られ、中西たちの前に出て行く由紀。


「月島さん、昨日はすいませんでした」いまにも泣きだしそうな顔で、頭を下げる中西。


「二度としません、許して下さい」下を向いたまま顔を上げない上杉。


(誰が、誰が、誰の女だって…)ゴーゴー怒りが込み上げてくる由紀。中西達、言葉は耳には、入っていたが和樹の発言で、右から左。


「いえ、もういいよ」引きつった顔で答え、直さま和樹の方に体を向けた。


「ちょっと、いつ私が、あんたの女になったのよ」


「はぁ?なにを、いまさら、昨日キスしたなかじゃないか」見る見る顔を赤くなる由紀。


「そ、そんなこと今ここで言わなくてもいいじゃん…ばかずき!」


「別に隠す事でもないだろう?」


「うるさい、ばかずき!」


「人の事、ばかばか、いうんじゃね!」


「もういいから出てって、自分の教室行けば!」和樹の胸を押すが、動かない。


「おい、中西てめぇら、次やったら俺がお前らこの学校から追放してやるから覚悟しとけよ!」


「もう、いいから早く出てけ」腕を引っ張って、連れ出す由紀。


 廊下に出ると背中から抱き寄せられ、ほっぺにチュ。


 さらに赤くなり、少し固まってしまった由紀

(あ…いけない、何かいわなくちゃ、何かいわなくちゃ)


「ちょっと、はなれてよ、み、みんなみてるじゃない」


 自然に人だかりができ、がやがや騒がしく。


 職員室から出てきたあかりは(なに?あのひとだかりは?)よく見ると和樹が見えた(まさか?)押し退けて、近づいてきた。


「なに、抱きついてるの?しかもこんな廊下の真ん中で、いいから由紀ちゃんから離れなさい!」


「げ…ねぇちゃん」

「少しは場所を考えなさい、あほ」

 頭を平手でバッチ、大きな音を鳴らした。


「いってぇ」

「ごめんね、ゆきちゃん…こんな弟だけど、これからもよろしくね、ほら、きなさい!」腕を引っ張られ、連れて行かれた。


「ゆき、昼迎えにいくからな!」声を張り上げた。


 下を向いたままその場から動けない由紀。


 しばらくして、明美が廊下を歩いてくると、廊下の隅で立っている由紀に気が付き、駆け寄った。


「ゆき、なにかあったの?」

「ううん、なんでもない」

(言えるわけない…朝から抱き締められたなんて、言えないよ)教室に入って行く由紀。


(ん?)首を傾げて(おかしいな、あれ絶対に何かあったのに)後を追った明美。


 朝の出来事で、いままで月島と呼び捨てにしていた、クラスメイトがさんを付ける様になり、明美以外一歩下がって接してくるのが、少し寂しく成る由紀。


 お昼休みになり。

 いつもの如く、和樹が息を切らせて教室に入っている。

「ゆき、いくぞ」

 教室の入り口から呼んだ和樹。

「うん、待ってて」

(あれ?あれ?おかしくない?)少し驚く明美。

『ゆき、昨日あの後何かあったの?』

「ん?別になにもないよ」

「だって・・・」

「もういいの、どうせ、嫌って言っても連れて行かれるんだから…」


 少し恥ずかしそうな顔を浮かべて頬を染めている由紀。


(これは絶対に何かあったな、後で問い詰めてやる)明美。


 廊下に出ると和樹と仲良く歩きながら喋る由紀を目にすると。


(なにが、この二人にあったの?)明美。


「なぁ西九条、何か聞いてないか?」


 後ろから歩いてきた間宮に呼び止められる明美。


「聞いても教えてくれない」明美。

「ぜってぇ、何かあったよな…」安藤。

「昨日とぜんぜん感じが違うしよ」間宮。

「朝だってさぁ、ゆき変だったよ」明美。

「そうなのか、和樹も上機嫌だったぞ」安藤。

「後で問い詰めるしかねぇな…」間宮。

 3人は由紀達から少し離れて歩いていた。


「カラオケとかって好きなのか?」和樹。

「すきだよ、明美達とよく行くよ」

(今日お弁当どうしようかなぁ、やっぱ、渡さないと駄目だよね…)由紀。


「今度一緒に、俺も行っていいか?」

「いいよ、来ても…」

(二人分もあるしなぁ、これ明美と美里の分だよ…言った所で…)由紀。

 よっしゃと拳を握り締める和樹。

「なぁ、ゆき」

「なに?…」

(あぁ~憂鬱、違うって言ってもまた強引に持っていかれるんだろな…)由紀。


「俺と付き合ってくれ」


(でも、こんなに食べれるのかな…男の子って良く食べるから大丈夫かな?、どうしよう、どうしよう…)由紀。


「うん…」(あ…あれ?なに今の…)ちょっと考え事をしていた由紀は、適当に返事をしていた。


 やったーと大喜びする和樹は後ろを歩いていた間宮達に駆け寄り。

「聞いてくれ」


「な、なんだよ、いきなり」間宮。

 少し驚いて見ている間宮達。


「由紀と付き合える事になったから、よろしく頼むな」安藤の肩をポンと叩く和樹。


「よかったじゃねぇか」間宮。

「頑張れよ、かずき」安藤。


「ありがとう」嬉しそうにする和樹。

(かずき、なにって言ったんだろう?何であんなに喜んでるの?もしかして、とんでもない事にうんって言っちゃたの私?休みの日には俺の家に来いとか…毎日夜ご飯作りに来いとか?…あぁ~私のばかばか…)由紀は立ち止まると、後ろを振り向き和樹を見つめていた。



明美は、慌てて由紀に駆け寄り、窓際に連れて行く。


「ちょっとゆき、東郷さんと付き合う事にしたの?」

「なぁんだ、良かった…え?……なにそれ?なんの話?」

 少し戸惑う由紀、複雑な表情を浮かべるが、ちょっとほっとしたようにも見えた。


「だって、そう言ってたよ?」

(今日の由紀なんか変……嫌なら本人の所に行って否定するのに)明美は由紀の行動を見てそう思った。


 和樹は由紀達の方をしきりに気にしていたが、朝、姉に言われて事を思いだしていた。


 (いい事、人は物じゃないんだから、嫌がる事とかしてるとまじで嫌われるよ、それと、人前で抱きついたりしない、少しは我慢を覚えなさい、こっちが恥ずかしいじゃない。


 あとね、女の子同士で話してる時は、邪魔したら駄目だからね)

「ゆき、先に行ってるぞ」和樹。

「うん、先行ってて…」

 愛想笑いをする由紀。


(な、なに?この変わりようは…やっぱ変…)由紀の行動がまったく理解できない明美。


「明美どうしよう…」


(は?…何考えてるか、わかんないよ…)

「そんなの私に聞かないでよ…」困って考え込む明美。


「えぇ~」

「嫌なら断ればいいじゃない?」

「今更そんなの事言っても、許してくれるのかな?」考え込んでしまう由紀。


「素直に謝れば許してくれるよ」

「でも…」


「ねぇゆきはどうしたいの?いっそ、このまま付き合ってみたら?どうしても嫌なら別れればいいんじゃないの?」


 下を向いて黙り込む由紀。

「東郷さんの事、嫌い?」

「嫌いじゃないよ…」


「じゃ好きなの?」


「強引な所とか強制してくる所は嫌いかな・・・でも、優しくされたり、手を握られただけでドキドキして、分けわかんなくなるの、私って変なのかな?」


「は?…なにそれ?」(それって好きって言ってる様なものじゃん、もしかして気が付いてない?)呆れる明美だが、ちょっと面白そうと思っていた。


「ねぇ変なのかな?」明美の腕を掴んで引っ張る由紀。


「あぁ~もう分かったから引っ張んないで、このまま付き合っちゃうのが、いいと思うよ」


「え?…うん、わかった…そうする」それでもまだ考えている由紀。


「ゆきーー早く来い!」和樹が叫んで手招きしている。


「うん、今行くー!」



続きを頑張って書いてみようと思います。


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