テリーとゴレム
僕が何故こんなに驚いているのか、それはグリーツ村に理由がある。
グリーツ村には子供がまったくおらず僕を含めてたったの4人しかいない。
僕、ベル、ゴレム、テリーの4人だ。
僕達は全員同い年で小さい頃から行動を共にしている。近くに他の村はなくチェイングニスに入ることが許されない僕達は、この4人以外で同じくらいの年齢の人を基本的に見たことがないことになるわけだ。
僕は、目の前にいる得体の知れないそれに恐怖した。
『落ち着けドロイ。』
最初に声をかけてきたのはテリーだった。
本名はテリジェン、昔から頭の回転がはやくみんなをまとめるリーダー的存在だ。顔立ちも整っていて非の打ち所がないとはまさにこの事だろう。
『俺達もいま来たばっかでまだ状況を理解していない。ちょうど今話を聞こうと思っていたとこだ。ことによっては村長に説明しなきゃいけなくなるからな。』
テリーの話が終わるとゴレムが全員分の椅子を用意してくれた。
ゴレムはとても背が高く寡黙な男で、昔から何を考えているのかわからない。表情も変わることがなく、この村に産まれて15年、ゴレムが笑っているところを見たことがある人間はいないらしい。とても気がきく優しい男だ。
後からきた僕達は席に着き、彼は口を開いた。
『私の名前はケイネス、チェイングニスから来た。』




