表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/15

おかわり。

 すげえな。これ。


ゴ、ロ


 車輪が回る。タイヤが動く。


 エンジン音は、無い。


ビーッ!


 これは結局分かんなかったな。口じゃないのに鳴き声が出る・・・。なんじゃらほい。メスを誘うのかな?



 彼は先日食った自動車の解明に全力を注いでいた。


 人間と犬の体については、それなりに理解出来た。それまでに食べていた小動物や魚などとの決定的な違いもなかったため、構造把握はスムーズに進んだ。


 だが、軽トラだけは、どれだけ調べても、よく分からなかった。


 彼の出会う、全く未知の生物であった。



 硬い骨が複雑に絡み合い、心臓部からのエネルギーを伝える仕組み。それは分かる。


 だが、このシステムには、肉が無い。皮と骨しかない。このレベルの硬度であれば、肉は要らないのか。本当に巨大な虫だな。


 そして透明な眼球。超デカいのがいくつか。それと小さいのが胴体の前後に。だが、視力のシステムは無いんだよなあ。


 これもやはり、分体が働く前提なのだろう。かなり高度な生き物だな。複数の自分を操り、それぞれが独立して動く。そのために、メシを獲る時などは別々に行動する事も可能。そして普段は、このデカい本体で身を守る、か。


 だが、これだけの体を維持するのも、大変なエネルギーを必要とするのだろう。


 完全に身体に取り込んだとは言えないからだろうが、めちゃくちゃ重い。確かにこの硬度は便利だが・・・。



 彼は軽トラの部品などを摂取し、自らを強化していたが。そのあまりの重量に、を上げてしまった。


 どの部品を取っても、それまでの彼の全体重より重いのだ。無理もないが。



キッ



 お。



 彼は、前回食べた大型の個体。即ち軽トラの出現を察知した。


 あれから20時間が経過している。彼もまさか、あれが群れない生き物であると侮っていたわけではない。後続が同じ地点で狩りをするかも、と思い、場所を変えていた。


 だが、目と耳だけは、自身の半径100メートルに徹底的に設置しておいた。


 更に成長した肉体は、より多くの食事を求めていたのだ。



「タイヤの跡は、ここまでか」


「うーん。雨が降ってないのが痛いな」


 2人の青年。地元の人間だ。


 昨日、2人で出かけた狩猟者が、連絡もなく帰って来ない。知り合いの所で泊まったという事もない。


 足を滑らせたか、熊にでも襲われたか。


 総勢40名にも達するローラー捜索が、この山全体に行われている。


 昨日の行動範囲は、家族でも全ては知らない。そして乾いた路面では、全ての車道を探索するより他ないのだ。


「車が無いのは、なぜだ」


「これって、犯罪組織絡んでるんじゃないのか?自動車を盗むグループが、犯行がバレて人間ごと・・」


「それっぽいな。2人まとめて蒸発とか、それ以外ない。遭難したんなら、車がどこかにあるはずだからな」


 2人は一応、山を探してみるつもりだが。ここには居ないだろうと考えた。これ以上は、警察の専門的な捜査が必要だ。



 彼は、山をウヨウヨしている人間達に気が付いた。四方に複数。そして彼の聴力のギリギリ届く遠方にも。あるいは、それ以上に居るか。



 おいおい。


 メシが向こうから来たぜ。



 彼は既に知っている。


 本体は、硬い。現在の彼であっても苦戦は免れない。


 だが。


 狩りに出るため分体を働かせ始めた時は、全くの無防備。


 分体は、もろい。勝てる。



 この山で初めて、人間が食われる狩りが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ