再びの目覚めまで。
彼は空母を始めとした飛行機械の可能性を全て潰し終えた所で、初めて安堵した。
潜水艦の存在や、核兵器も知ってはいるが。
それらは、彼にとって、脅威足り得ない。
世界中に散った彼の分体の全てを一瞬で消し去るのでもなければ、どうでも良い。
そして核爆弾を搭載した飛行機械のみがそれを可能とする。ゆえに、彼は真っ先に飛行機を消した。
世界の飛行場は、無人の小屋と化した。分体が行く先々で増殖を繰り返し、ヒトを襲い続け、飛行場を運営可能な能力を持った人間を消し続けた。
飛行機のパイロットになりたい。子供にそう言わせる程度には、飛行機械に携わる人間はエリートだ。そして彼にすら全く分からない機械の集合している飛行場の管理者もまたエリートであろう。
代わりは、簡単には育たない。彼の学習した通りに。
この世界は、彼の庭になった。世界征服は成ったと言って、過言ではない。
彼の躍進も、ここまでだろうか。これ以上、彼の動く動機は。
日本。
県を2つ3つ食らった所で、彼は物思いにふけり始めた。
分体からの情報では、およそ敵は居なくなったらしい。
これで安心してメシが食える。安心して昼寝も出来る。
良い、世の中になった。
・・・・。
もっと何か出来る気もする。
何かした方が良い気もする。
・・まあ、分かんない。
分かんないから。
「頼むぞー」
「やるけど。あんま期待すんなよ」
「おれらも、お前なんだから」
「なー」
かつて生み出した護衛達。彼らに新たな使命を与えた。
これから先の楽しい未来のために出来る何か。それを考えろ。
これが命令。
命令を下した彼は、「本体と共に」眠る。
日本の地下プレートに埋め込んだ、体長200キロ超の生命体。それが、現在の彼の本体。地上に出た人間体は、擬態のようなものだ。以前に人間が自動車と分体とを使い分けていたのを見て思い付いた。
エネルギーはこれからは分体が運んでくれるのをただ待てば良い。
彼はここに、生命体として完成した。
彼は眠りながら、待つ。
彼自身が動くべき日を。
より楽しい何かを。
その寝顔は、とてもあどけないものだった。




