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生存競争。

 絶滅はさせない。というか、出来る気もしない。


 分体のかき集めた情報をまとめると、人間は本当に色んな場所で生きている。現在の彼では、とても住めない場所にさえ居るのだ。


 例えば、氷の世界。あるいは、とんでもなく広い水の中。


 分体のいくつかが挑戦している最中だが、塩っ気を含んだ水というのは、中々手強い。


 まず、彼は元水生生物。はっきり言って、水中のスペシャリストだ。


 その彼の分体は、ほぼ彼そのものの能力を有している。


 それで、塩水に触れると、死ぬ。


 意味不明。



 彼はその情報を元に、大きな水についても、調べを進めた。


 複数の分体を電器屋のテレビ画面に定期的に張り付かせ、漁や動物バラエティなどの情報を入手。


 人間は、あれを川とは区別して認識している事を確認。


 川を行く本体と海を行く本体は、別個のものである事を観察出来た。


 即ち、川の渡し船と、海の漁船、貨物船、客船の違い。


 本体を使い分け生きている人間が、確かに川と海で区別を行っている。


 この事実から、彼も、使い分けの重要性について学ぶ事が出来た。



 今のおれは、飛べない。


 そしてあいつらは、飛べる。


 この現実から、あいつらの本体の有用性は、とんでもないものだと思わざるを得ない。本音としては、罠にほいほい転がり込んでくる生き物が、おれより上なんて、認めたくないけど。しゃーない。


 あいつらの行動は、勉強するに値する。



 そして彼は、映像にある限りの人間の生活について、完璧な把握を済ませて行った。


 人間の扱う本体の種類の多さ。その手入れの場所が各地に散らばっている事。


 そして彼は、決して無視出来ない情報をも得る事に成功した。



 どう・・・する・・?


 共存は、不可能か。


 あいつら。


 バケモンだ。



 彼は見た。


 人間の操る本体の放った攻撃で、この地上の外の世界、つまり宇宙の星や宇宙船が破壊される映像を。


 彼は、恐怖した。


 勝てない。


 あんなものには、勝てない。


 もしあれで、自分をピンポイントに攻撃されたなら。



 もしや人間は、彼を使って遊んでいるのではないか。


 人間がペットの犬猫と遊ぶ趣味があるのは、既に知っている。それと同じ事を、彼もされているのでは。


 人間は犬猫を繁殖させている。やはり動物番組で見た。


 彼は今、その段階にあるのではないか。



 妄想である。


 が、彼は彼のイメージを絵空事だとは思わなかった。


 人間は、映像伝達を命綱としている。


 その映像で、無駄なものを流すわけがない。



 自分が人間の想像を超えなければ。


 いつか自分は、人間のペットとして生活する事になる。


 犬猫のようにブラッシングされたり首輪を付けられたりお散歩に連れて行ってもらったりエサをもらったり。


 そんな生活に。



 彼は、飼われるのが嫌だとは思わない。


 むしろ、黙っていてもメシが出て来るなんて、楽園だと思う。


 体毛が無いから、ブラッシングは勘弁してほしい。散歩も、途中で水分が足りなくなりそうだから、ちょっと。首輪の通る形に体を保つのも難しそうだ。


 飼われる未来で、彼はイイ思いを出来なさそうではあるが。



 人間に屈するのは嫌ではない。


 だが。


 まだ、決着は付いていない。


 おれはまだ、死んでない。



 つまり。


 おれはまだ、負けていないって事だ。



 勝負だ。



 どちらが生き残るのか。


 どちらがメシになるのか。



 ここに、たった一種の生き物と、全人類との間で、生存競争が始まった。

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