表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:1/最強少女と過去と雨
8/113

ROG:1-4/探索前に後一歩

そこは、RPGに出てきそうな洞窟や遺跡がいくつも連なっている所だった。

鋼の鎧を纏い、大きな剣を持った人、ラフな服装に樫の杖を持つ人が並んで歩く。そんなRPGのパーティーみたいな塊……『攻略者』達と、彼らに薬や武器を売る人達が往来する。過去の人達から見れば、非現実的な光景だろう。

ここは『迷宮多発地帯(ラビリンス・エリア)』。名前の通り、迷宮が多数現れる所だ。

……そこでボクはピンチになっていた。

「あれ?……み、みんなー!!『皇龍の牙』が全員揃ってる!!クロト様もいるよ!!」

「マジで!?あの『絶対王(トータルキング)』が!?」

「お、本当だ。……ははーん、さては記憶の迷宮狙いだな」

「ああやってのしのし歩いてると男にしか見えないよなー、あれで女とか信じらんねー」

「何言ってるの!?どこからどう見ても女の子でしょ!!『病白(びょうはく)』の寝無みたいにコテンパンにされたいの!?」


「……ボクが出歩くの、そんなに珍しいかなぁ」

人が大勢いるところではいつもこうだ。変な信者がたくさん集まってきて、ぎゃーぎゃー騒いではサインを要求してきたりする。けど、澪や時紅が威嚇しているので要望には応えられない。応えるつもりもない。

「そんなに目立つ様な事はしてないつもりなんだけどなぁ……」

「世界最強って言われるぐらいの力を持つ……そんな異能者に注目しない奴なんてごく少数に決まってる、だから目立つ。これ当たり前の事だよ、マスターは本当馬鹿だよねぇ」

「それぐらい知ってる」

生意気にも寝無が馬鹿にしてきたから、すかさず彼の鳩尾(みぞおち)を殴る。生傷だらけの顔は、「人類絶望」と書かれた仮面で隠されていた。

寝無は人前ではいつもこんな仮面をつけ、ボクの事を「マスター」と呼ぶ。理由を聞くと「その方が性に合う」らしい。そういう趣味のないボクには、変態にしか見えない。

「お、お兄……トランの言ってた奴って、あれかなぁ?」

人混みが怖いんだろう。淋は少し泣きそうになりながら、左にあった遺跡の様なモノを指さす。

看板には赤文字で「これより記憶の迷宮 難易度:★☆☆☆☆」と書かれていた。

「うん、これで間違いないみたいだね。……行こう」

「はいはーい。テメェら、ドンの邪魔になるんで退いて欲しいっスー」

『了解です姐さんっ!!』

澪のウザそうな声で、何百人もいたギャラリーは道を開けた。

「……はぁー疲れたー……これでもう大丈夫だろ」

「……時紅の馬鹿……大丈夫なら早く……手、離して」

後ろで小さく声が聞こえた。「こんなとこでいちゃつかないで欲しい」とは思うけど、あえて無視しておく。

……最早付き合っているも同然な状態なのに、まだ付き合ってない。それがなんかこう……

「ボスー?何してるアルか?早く行くネ!!」

気がつくと他の皆はずいぶん先に進んでいる。ボクをさしおいて先に行くなんて事は滅多にないし、それだけ楽しみにしていたんだろう。

「あー、今行く!!今行くから!!」

「「!?」」

その場から動く気配もない時紅と千絋を引っ張りながら、ボクは記憶の迷宮へ走り出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ