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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:3/真偽はガラスケース越しに
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覚悟なき子ら

「……まずっ……逃げるよ!」

時紅と千絋ちゃんの手を引き、病室を出る。

「……嘘、だろ……」

機械の群れが廊下を埋め尽くしていた。

幼児の背丈ほどの黒い長方形に、赤い目の様なセンサーが付いているだけの適当な風貌の__どうせ死目がデザインしたのだろう__それらは、うぃん、と音を立てて一斉にこちらを向く。

「……君ら、機械相手ならいけるよねぇ?僕、脱出経路は分かるけど機械とは……」

まだ全文を言い終えないうちに、あちらこちらでバチッ、と電気が鳴いた。

「知ってる」

機械の群れを一瞬で突破したクロトが、冷たく言った。

時間がゆっくりと流れていく。ふと、そんな感覚に襲われた。

……いくら異能者でも、これはまともに受けたら死ぬよねぇ……

まさかこんな所で、と思って身を屈めてみた。何をしたってどうにもならないのは分かりきっていたけど、そこにない可能性を信じたかった。


……直後、鉄片を伴った爆発が立て続けに巻き起こる。

ああ、僕もここで終わりかと目を閉じた。



しかし、熱さも痛みも感じない。


「……何とか、出来た」

千絋ちゃんが、目の前に立っていた。

庇う様に広げられた両腕を見ると、手首から先が変形して、分厚いドームとなって僕達を覆っている。

「追っ手が来てもおかしくない。早くここを出よう」

クロトが言って、廊下を殴りつけた。

禍々しい光が拳を包み込み、新たな轟音と共に穴が生まれる。

なるほど、そうやって下の奴らを集めて潰すと言う訳か。足場が悪くなるけど、クロトの力なら、道が良かろうが悪かろうが関係無しに先に進めるハズだ。

がら空きの廊下を走り、僕は思い出した様に言う。

「憎んでるのに……助けてくれたんだ」

「……何でこんな奴助けたんだよ」

時紅の言う通りだった。初対面があまりにも酷かったから、てっきり時紅だけを守るんだろう……と思ったけど、意外だ。

「……確かに、貴方は憎かったです。けど……昨日の夜、落ち着いて考えました」

力無く笑って、息を弾ませながら千絋ちゃんは続ける。

「俺達の事は、もう取り返しがつかないんですよね?悔やんだって前に進めないんですよね?……だったら、悔やむ必要も、憎む必要もない」

「……君、は」

「『むやみやたらに人を憎んではいけない、憎むのは「2つ」までで良い』って、人間だった頃お母さんから聞きました。……だから、俺は貴方を憎みません。憎みませんが、やった事はとても悪いので許しません」

「……ありがとう」

「礼をする必要はありませんよ」

『甘過ぎる』ではなく、優し過ぎる、と思った。

それほど、彼女の言葉は慈愛に溢れていた。あのバカ澪にも見習って欲しいものだ。


きっと千絋ちゃんは、僕と違って良い母親に恵まれていたのだろう。



少し羨ましく……いや、憎く思った。

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