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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:1/最強少女と過去と雨
7/113

ROG:1-3/不穏因子

自分の部屋に戻って、色々と考えながら準備を進めていた。

そこに何があるのだろう。

そこで何を知るのだろう。

……そこは面白いと思える場所なんだろうかと。

数分後……フード付きのコートを羽織い、何も入っていないんじゃないか? と疑うぐらいに軽いリュックを背負う。

「これで準備完了だ」

ドアの近く、微かに青い輝きを放つ円……転移式(ワープサークル)に足を踏み入れると、

「……まだ皆来てないか」

乾いた風を頬に感じる。次の瞬間には外にいた。植物はほぼ見当たらず、ごつごつした岩ばかり。乾燥した大地は、所々まるで竜に噛まれた痕みたいに抉れている。

振り返ると、山の様にそびえる黒い門が風景を隠していた。

足元を見ても転移式はない。あらかじめ一方的にワープする様にしてあるからだろう。

しばらく道の邪魔な石ころをどかしていると、ひゅん、と風を切る様な転移音と共に、大きなリュックを背負った時紅が現れる。

「……今度は早かったみたいだなー……」

脱力しきった声がかかる。聞いてるこっちもやる気が削がれそうだ。

「まぁね。……時紅は何でそんな大荷物なの?」

「……さぁ。よく分からん……でも千絋がやってくれた、だから持ってる」

……もしかして、二人分持ってるのかな。千絋も一応恋する女の子だし、何かを共有していたいとかそういう気持ちがあるのかも。

「……皆来たぞ」

立て続けに鳴る、風を切る音。これで全員揃ったみたいだ。

「揃ったね。……じゃあ、出発の前に……」

準備中に調べた迷宮の情報をまとめると、名称は『記憶の迷宮(メモリアル・ラビリンス)』。位置はここから北西に進んで10分。強力なクリーチャーがいるので、最奥部には何かが眠っていると思われる……だそうだ。この事を皆に伝えると、一層楽しみが増したと言う様な顔をしたけど……

「……」

千絋だけは何故か難しい顔をしていた。

「どうしたの、千絋」

「いや……何でもない。ただ……妙な噂を聞いてな……」

「妙な噂……って?」

「……今から行く迷宮の名称は『記憶の迷宮』と言っただろう?そこの……」

少しの間。

「最奥部では思い出を蘇らせる核(コア)がある、と……」

苦しそうな顔をした。彼女は思い出したくない事ばかりなんだろう。

実質、この組織のメンバーは程度は違えど全員訳ありだ。大切な人を亡くしたり、酷い環境で育てられたり。

勿論、ボクもそうだ。けど……

「大丈夫。どうせ噂でしょ?心配しなくても、ボクが壊すからさ」

過去の苦しみに囚われるのは……

ボク1人で、十分だから。

「……姉貴……」

「ほら、ぐだぐだ話してても時間の無駄でしょ。早く行くよ!」

強引に話を終わらせると、前を向いて歩き出す。


「それぐらい平気だ」なんて、思ってる訳がないけど……

進んでいくしかないんだ。

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