声
「もう1回言ってやる。真っ直ぐ過ぎるのはウザいだけだ、そんなんじゃ誰も守れねぇ、誰も救えねぇ。そもそもそんな事ばっか考えてる時点で雑魚だ。レールから外れた奴だけが力を手に入れられるのさ」
いつの間にか黒服の男が数人、いや、何十人もあたし達を囲んでいた。
ただ真っ直ぐ生きていた。幸い障害はなくて、皆ついてきてくれた。
なのに、それじゃ皆を守れないなんて。
……絶対王は真っ直ぐ生きていなかったから、淋とトランを守れたのか。
いや、守ると言うより利用と言っていた。
だったら、こんな事言ってるあたしの強さなんて、価値なんて、もう……
「__このアホ澪!!何も考えるなって言っただろ!!
……無価値な僕すら変えたアンタの正義が、僕より悪くないあいつに通用しない訳ないだろバーカッ!!」
いつもと変わらない、気持ち悪い声が響く。
「……絶望、野郎」
「全くもってその通りだ。ボクが見込んだ異能者が、中ボス以下のクズに負ける訳がない」
恐ろしいまでの冷気が辺りを包み、凍てつかせていく。
「……おじさんみたいな人に……澪姉は負けないから……!!」
武器を構えた雑魚コンビが、ナイフを握った絶対王が、
……涙目で立つ淋がそこにはいた。
「……絶対王!?な、なんでお前がこ、ここに!?」
「絶対王を嘗めないでもらいたいね。ここにいる奴以外の君の仲間は、1人残らず始末させてもらったよ」
「外じゃ何も出来なかったんで……ワイはここで尽力させて頂きますよっと!」
「オレっちも同じくー!」
無数の剣閃が煌めく。次の瞬間、黒服達は一人残らず倒れていた。
「ひぃ……!!」
偉そうな態度だったウタニはすっかり弱者の顔になっている。
「澪姉、そんな顔しなくてもいいよ」
「……奴は雑魚だ。キミはクズすら変えるヒーローだ。無力化した今なら、倒せるだろう?」
「……お、押忍!」
後ろに跳び、助走をつける。
「桐原流・龍波閃爪断(りゅうはせんそうだん)!!」
冷気を纏わせた一閃と剣舞。恐慌状態に陥っていた相手は成す術もなく崩れ落ちた。
「そうだ親父は……!!」
「……親御さんは無事みたいだねぇ。よっと」
親父を縛っていたのは縄ではなく、よく見ると犯罪者を捕らえる時に使う専用のワイヤーだった。
「まだしばらくは目が覚めないみたいだ。この大きさだと流石に皆持てないだろうから、ボクが抱えておく」
とは言いながらも、絶対王は片手でやすやすと巨体を持ち上げる。おかし……くはないか。世界最強だし。
「じゃあ、一旦澪の実家に戻ろうか」
「お……す」
身体に力が入らなくなり、その場に倒れそうになった。意識も急速に消えていく。
「……能力の『発作』、か。おやすみ、澪」
あいつの腕の中にいて、気持ち悪い言葉を掛けられたと気づいた瞬間にあたしは眠りに落ちた。




