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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:2/正義の味方はバカのために走るのか
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炎天下の牙獣達

この話には真夏の夜っぽい要素があるっぽいー、気をつけて欲しいっぽいー!

意識を取り戻すと共に、蒼い光が消える。

「……何だよ、これ」

久しぶりの家の前は、野太い怒号と血が飛び交う闘技場と化していた。

「反乱派は結構な数いたみたいだねぇ」

「……これじゃあ救出も出来ないな」

どうした事やら、と二人で肩をすくめている。こんな事態なのに、何でそんなに余裕があるんだ、とあたしは頭を抱えた途端……

「「そこのアンタら、ちょっと待ったー!!」」

高い声が響く。振り返ると、妙な2人組がいた。

一人は女。少し焼けた肌にアホ毛が生えた黒い短髪、丸っこい茶色の目。……犬みたいだ。茄子がプリントされた黒いTシャツ、ライオンワッペン付きの体操ズボンを着ている。そしてあろう事か両手には水滴の滴るアイスティーを握っていた。身長は……あたしより頭ひとつ分小さい、ってな感じか。

で、もう一人も女。青い長髪をポニーテールにしている。悪そうな笑みを浮かべて、黒い目を細めていた。

白い軍服を着ていて、腰のベルトに刀を釣り提げていた。

「……なんだよ、てめぇら」

流れであたしが聞くと、短髪の方がぴょんと跳ねた。

「お ま た せ !悪の味方、野獣沢千羽(のけもざわ せんぱ)!!」

「悪のパシリ、龍哭寺奏(りゅうこくじ かなで)!!」

続いてポニーテールが空中でバク転する。

「「2人合わせて『こういう場面で強敵として立ちはだかりたいコンビ』だ!!」」

そしてありがちな決めポーズを決めた。

「……バカだね。後その野獣沢って名字凄い可哀想」

絶望野郎が鼻で笑う。

「……愚か者め、中ボス……いや雑魚が龍と名に刻むのは失礼だ」

絶対王が首を振った。

「なんだとぉ!?お姉さんの事本気で怒らせちゃったねぇ!!」

「お前先輩になんて事……ってワイも馬鹿にされてるっ!?」

こういう場面で……長いから雑魚コンビにしよう……は、2人して馬鹿みたいな反応をした。

「雑魚特有の挑発ありがとナス!!」

「今からおみゃーら!!」

「「ぶっ飛ばす!!」」

「ぶっ飛ばされるのはどっちの方だか。クロトは手を出さなくてもいいよ」

「雑魚をいたぶるのは嫌いじゃない。ボクがやろう」

絶対王は笑って、妙なコードがついたメガホンを取り出した。

……もう割って入れる状態じゃないので眺める事にしよう、とあたしは松の木に隠れた。

「あったまきた……喰らえぇ、必殺」

「……『fire』!!」

「「ぎゃああああ!!」」

絶対王がメガホンに向かって叫ぶと、2人の服が激しく燃え始めた。

「お兄ちゃんやめちくり~!!」

「本当すいません!!許して下さい!!なんでもしますからぁぁ!!」

龍哭寺が泣きながら言うと、火が消えた。

「……今なんでもするって言ったねぇ?」

「なら答えてもらおうかな、反乱一派のリーダーの名前。ボクの言う事も『なんでも』聞いてくれそうだしね?」

絶望野郎と絶対王は、2人して腹が黒い奴特有の笑みを浮かべた。その悪魔の様な姿に、雑魚コンビは震えあがる。

「……」

流石のあたしも、哀れみの目で見る事は出来なかった。

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