夜を語る前に(歴史解説)
読んでも読まなくても支障はありませんが、念のために。
お話の前に、ちょっとした問題。
……2515年。キミ達の時代よりずっと先の日本は、どんな風になっているでしょうか?
ある人は「もう地球は滅んでいて存在しない」とか言ったり、またある人は「今よりもずっと進歩してて楽しい国になってる」って言うかもしれないね。
けど残念、どちらも不正解。
その2515年……ボク達の時代に、日本はちゃんと存在している。ただ、大きく変わっていたけど。
まず115年前の事だ。人間の中に、科学では到底解明出来ない超能力を持つ者が現れだした。そんな彼らを日本では異能者と呼び、専用の区画を作ると壁で隔てたんだけど……
外の人間が異能者を恐れて見張りを放棄している事を知ると、彼らは反乱を起こして壁を破壊した。
しかもそれだけじゃない。反乱軍は天皇、総理大臣を殺害すると、そのリーダーが日本の指導者になった。
けれど人間には異能者の政治が独裁的なモノにしか見えなかったらしくて、また反乱が起こり…あれだけ批判していた核兵器で彼らを殺した。
そこからは血を血で洗う大戦争。『戦争をしない』と言う先人の誓いを破り、強い異能者が能力で人間を殺し、賢い人間が核兵器で異能者を殺すの繰り返しを10年続けた。けど、一人の異能者の女性によってそれは止められ、異能者と人間は制約を交わし、人間は関東、異能者は関西とお互いの住む所を分け隔てた。一般区域は最初中々除染が進まなかったけど、異能者区域は持ち前の能力でさくさく除染や開拓を進めていた。それを知った人間は除染作業が終わるなり、兵器を使って猛スピードで開拓作業をしていったらしい。
そういう事もあって、お互いの区域は最早別世界だ。ボクはよく行くんだけど……建物が全部真っ黒で薬品臭い所が多い、異能者区域とは真逆な所だ。
……今夜はこれぐらいにしておこうか。ボクも疲れてるし、まだ目覚めたくないからね。