表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:2/正義の味方はバカのために走るのか
27/113

ROG:2-3/その少女、変態につき

この話には触手要素が含まれています。

「ようクロト!!元世界最強、ただいま到着だぜっ!!」

物好きな来客は、青いパーカーのフードを外して不敵な笑みを見せた。

雪にまみれた黒くて短い髪を、無理矢理後ろで括っている。相変わらず耳辺りの髪は青と赤でそれぞれ染められていたけど、昔とは違ってワックスでブーメランの様な形に固められていた。

猫みたいに真ん丸なスミレ色の瞳は、この寒さのせいかふにゃりとしている。

そんな彼……いや、彼女こそボクの幼なじみ、音邨 咲(おとむら さき)だ。

「これはこれは、『反晶(アンチマテリア)』の咲殿ではありませんかー」

「普通にっ!!普通に出迎えてーやっ!!」

ずいぶんと出世しましたなぁ、とからかうと、小学生の男の子みたいな声で泣きついてきた。

最初の決まり文句から見るに、どうやら標準語も話す様になったらしい。大きな進歩だ。

「冗談だって。そんな格好でずっと外にいちゃ風邪ひくよ、ほら入って」

「おう、悪りぃなー。ほな遠慮なく侵入するわ」

「いや、招かれてるんだし侵入じゃないでしょ」

きっちり門を閉めて、寒そうにしている咲を拠点の中に押し込む。

「ふーん、流石有名組織。あっしみたいな総合拠点所属とは拠点の規模が違うよなー」

「嫌味かな?」

まっすぐ歩く事2分、応接間に着いた。

しかし久しぶりのお客様だったから、二回ほど応接間の場所を間違えてしまった。無駄に部屋の数が多いのも、少し問題かもしれない。使わない部屋はいつか全部壁にしよう。

「とりあえず適当なとこ座っててよ。お茶持ってくるからさ」

「りょーかーい。……にしし」

応接間を出て、階段を登る。

……お茶を持ってくる頃には、応接間に何か仕掛けられている事だろう。ああいう笑い方をしている時は、何か企んでいる証拠だ。


良いタイミングで食堂の厨房に千絋の姿を見つけた。ちょうど良い。この際彼女にお茶を淹れてもらおう。

「千絋ー、お茶頼んでも良いかな?」

「ああ、問題ない。ちょうど良い茶葉で淹れた所だ……持って行こうか?」

「うん、頼むよ」

熱いお茶が持てない訳ではなく、咲の仕掛けるであろう罠に引っかけるためだ。

流石にブービートラップや地雷は仕掛けないだろう。となればスライムか触手しか考えられない。千絋にはそれらに(精神的に)やられてもらおうと言う訳だ。

触手は汚れない分まだマシだけど、スライムは洗濯がキツい。

かれこれ4回もこのトラップにかかったボクは、痛い程身に染みている。

「な、何だ姉貴……妙なオーラが出ているぞ」

「いや、色々と思い出してただけ……」

「仕事の話か?」

「まぁそんな感じかな」

千絋の質問攻めをあの手この手でかわしているうちに、応接間に着いた。

「重かったでしょ、先入って良いよ」

ボクはノックだけしてドアを開け、後ろにつく。

「……失礼しま……きゃあああっ!?」

かちり、と言う音と共に緑の魔法陣が浮かび、触手が千絋を捕らえた。

ボクはと言うと、持ち前の瞬発力で落ちる寸前のティーポットやカップを回収するだけの簡単なお仕事をしていた。

「……気絶してる」

捕まった千絋の頭上を見てみると、星やらひよこやらが高速で回っている。どこのゲームだ。

「え、このクールビューティー系子猫ちゃん誰!?初めて見たんやけど!?」

「……千絋って言うんだ。多分咲は後で殺られるよ」

鼻息を荒げて興奮する咲に軽く紹介する。

「……」

ショックで気絶しているのにも関わらず、懲りずに千絋の脇腹でうねる触手をボクは冷たい目で見ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ