ROG:1-FIN/夜更けのクロト
「……まぁ、そう言う形でボクは四次元リュックとS級魔装……『レイニーフィールド』を手に入れた訳」
アロマキャンドルを吹き消し、電気を付けた途端『咲は後で絶対殺る』と皆は殺意を燃やしていた。
「やめなよ、他にも色々お世話になってるのに……殺っちゃったら祟られるかもしれないじゃないか」
「その時はあたしが代わりになるっス」
「いんや……オレが代わりに……」
「それはいけない。やはり俺が代わりになった方が」
「何で急に話を聞かなくなるのかなー……?」
ここぞとばかりにコートの裏ポケットに潜ませていた蒼い銃……レイニーフィールドを構えてみると、寝無に制された。
「まぁまぁ落ち着いて、それだけ皆がクロトに恩義を感じてるって事だしさ、ね?」
「……」
静かにレイニーフィールドを懐に戻した。
どう言う訳か皆こちらを見てにやけている。理由が分かると途端に逃げ出したくなった。
「……きょ、今日の所はこれでおしまい。淋とトランは寝てるから、部屋まで運んであげてね」
「……では俺が。いつも澪さんに任せてばかりだといけませんから」
「いや、良いっスよ。あたし暑がりなもんで淋運ぶと涼しいし……あ、何なら千絋ちゃんも運ぶっスよ?冷え性なんスよね?」
「嫌です!!お、俺はトランを運ぶので淋は頼みますよ!!」
「……あんまりうるさくしてると起きるぞー……」
ぞろぞろと会議室の外へ出ていく皆を見て、夜中なのに元気だなぁと呆れつつも感心した。
「……はぁ」
消灯と戸締まりをしっかり終えた後、アロマキャンドルを持って自分の部屋へと向かった。
ふと、ロギの言葉を思い出す。
……誰かに救ってもらった分、ボクは誰かを救えているだろうか。
いや、救えているハズだ。
__それ以上の誰かを、突き落としたけれど。
醜い過去がフラッシュバックして、思わず目を瞑った。らしくないぞ、と嫌な考えを頭から追い払う。
……明日は早起きしてみようかな。澪に料理させるととんでもない目に遭うし。




