表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:1/最強少女と過去と雨
21/113

最後への予告

目を覚ますと、曇った夜空から溢れ落ちた涙が小さく窓を叩いていた。

「……えーと、どこ入れたっけ」

変な時間に起きた所で、ロギに渡された封筒の事を思い出した。暗い部屋ですっかり荷物の減ったリュックを漁る。

そう言えばアレ、どこに帰ったんだろう。

と言うか……檜はどうやってあんなのを捕まえたのか。

「……謎だなぁ」

ぼんやりと、塾に帰る前の事を思い出し始めた。



「……クーロトー!……ん?何その封筒。ワイロ?」

キツネ探しから戻ってきて早々、咲はボクの持っている封筒に気づいた。何故か一緒に追いかけて行ったハズの檜はいない。

「……ワイロって何?」

「こら咲、変な事こんなとこで言うなよ!」

「ちぇー……」

心配していた矢先、多少土に汚れながら檜は戻ってきた。

「……え」

「……ふーん、そうなのかにゃ」

彼女は耳と尻尾の先がピンク色、九本尻尾のあるキツネ……キュウビを抱えていた。暴れる様子はなく、たまに檜を見上げてはこくこくと頷いている。……話しているのだろうか。

「ロギ起きて、檜がキュウビ捕まえてきたよ」

シートのすみっこで寝転がっていたロギをぺちぺち叩く。

「うーん……どうかした?」

「ほら、あれ」

「にゃあっ!?」

檜を指差すと、キュウビはこちらに気づいたらしく駆け寄ってきた。

「……コフー……」

「キュウビって本当にいたんだねぇ……ってうわっ!?」

ロギが触ろうとすると、不機嫌そうに火を吐いた。

「はは、嫌われてるね」

ボクが頭を撫でても、キュウビは嫌がる様子を見せない。……なんでこんなに大人しいのか。後可愛くてもふもふだ。

「……なんか僕だけ扱いが酷いね」

「そりゃワイロ渡すぐらいやからなー」

「だからワイロとか人前で言うなよ!!」

「いや、ワイロじゃないからね!?」

いつの間にか咲とルートが顔を覗かせていた。

キュウビは咲と目が合うと、

「……キュウ……」

何やら弱々しく鳴いて逃げ出した。

「なんであっしになると逃げんのさー……」

「おーい……ってあれ、いないに……逃がしたにゃ?」

「そ、そういや緋煉もいないよなー」

明後日の方向を向くと、咲は震えながら言った。

『咲が逃がしましたー』なんて言ったら間違いなく色々と危ない目に遭うハズだ。よし、言わないでおこう。

……すぐ近くに緋煉がいた事も。

「……帰ろっか」

この状況に耐えられなかったのか、ロギが小さく言った。





結局「ワイロ」の意味は教えてもらえなかった事はともかく、キュウビに逃げられたのはかなり惜しかった。もしあのもふもふな頭を触れる機会があれば、絶対に捕まえよう。

「……あった」

そうこう考えているうちに、少ししわくちゃになった封筒を見つけた。

中身を見てみると、小さな紙が二つ折りにされて一枚あるだけだった。

何故こんな封筒に入れる意味があったのか、と疑問に思いながら紙を開けてみる。



『少し話がある。23時……半ぐらいに、またあの桜の木の下で。人もいないと思うから』



「……!!」


時計は23時を示していた。

今更になって、あの時の声……未来予知を思い出す。

嫌な予感がして、胸の鼓動が速くなる。

「行かなきゃ……っ!!」

見つかったらどうしようとか、何かされるかもしれないとか、そんな事には目もくれずに部屋を出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ