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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:1/最強少女と過去と雨
17/113

それが訪れる前に

その日から、ボクはあまりポルカと顔を合わせなくなった。

咲やルートに連れられて遊ぶ事が多くなったからって言うのもあるけど、やっぱりどうしてもお互いを避けてしまうから……が一番の理由だろう。

……仕方がないんだ。あれが本当の事だし、下手な嘘はつけない。

『復讐は何も生まない』?

それがどうした、何も生まなくたって良い。復讐の後は死んでいくだけだから、何が生まれようと生まれまいとボクはどうでもいいんだ。

ああ……本当に憎い。


自分を捨てた『奴』の、失望を映した紅い目を……ボクは死ぬまで忘れないだろう。

いくらこの世に人が溢れているからって、あんな目をした奴はいない。すぐに見つかるハズだ。


「……クロトちゃん?」

「……大丈夫、聞いてる」

「どうしたの?最近様子おかしいけど……」

「……何でもない、から」

ボクがそう言うと、ロギは大きく息をついた。

「ああ、なるほど……ポルカさんと何かあったんだね」

「……知ってるの?」

「いや、詳しくは全然知らないけど……昨日話した時、ポルカさんも全く同じ顔してたから」

同じ……だとしても、考えている事は真逆だろう。

「いつかは仲直りしないと駄目だよ?」

顔をしかめると、ロギはボクに笑いかける。ほんの少しだけ、気が楽になった気がした。


数学の授業が終わると、ロギはこんな話を持ち掛けてきた。

「……そうだ、もう桜が咲いてるとこがあるんだって。今度一緒に行きたいなーって思ってるんだけど……どうかな?」

「何それ……妖怪桜?」

「残念。普通の桜だ。……まぁ確かに3月になったばっかりだし、そう思うのは分かるよ。……で、どうする?行く?」

今まで外にはほとんど出たりしなかったから、桜なんて本の中ぐらいでしか見た事がない。当然興味もあるし行きたいとは思ってるけど……

「……人いるよね、絶対」

「そりゃいるよ。心配なら、ちゃんとそれ用の対策しておくけど」

次の瞬間ばたん、とドアが開かれる。

「よー、クロトー!」

「……緋煉(ひれん)?なんでここに」

ドアの前には白髪に赤い目を持つ、紺のトレーナーを着た男の子がいた。彼は咲の遊び仲間で、ボクもたまに話をする。

「へっへーん、話は聞かせてもらったぜっ!」

楽しそうな緋煉の声を合図に、後ろから咲達が飛び出してきた。

「そんな面白そうな話を聞いた以上はしゃーなしだ、あっしらもストーカーするぞ!!」

「やめるにゃー、ストーカーは犯罪だに!」

「お前ら、フツーについていくって言えないのか?……すいません、ロギさん。こいつらも一緒に行きたいらしくて……駄目ですか?」

ロギは呆れた顔をしていたけど、しばらくしてぽん、とボクの頭に手を乗せる。

「……決まりだね、クロトちゃん。明後日は皆でお花見だ」

「……うん!」

子供みたいに笑うロギに、ボクは笑ってそう返した。


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