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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:1/最強少女と過去と雨
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不確定な声

それからと言うものの、発作が起こったりする事もなく2日が過ぎた。

ちょくちょくポルカやロギがお見舞いに来て話をして(その後咲達が授業を抜け出してやって来ては連れ戻されていた)、軽い検査をしての繰り返しだったけど、ボクにとってはかなり短く感じた2日間だった。



「……そういやクロト、明日が退院の日だったにゃ!」

「……うん」

「おー、ならお祝いせぇへんとな!」

「ありがと……でも爆風クラッカーとかそういうのは要らないから」

こういう時の咲はとんでもない事をするから、ケガをする前に止めた方が良いと言う事は、ポルカと今咲にひっついている女の子……檜(ひのき)から耳にタコが出来る程聞いた。

……後、咲とその友達との出来事も。

おかげで彼女だけじゃなくて、その周りの人の事も大体分かる様になっていた。

「それにしても、クロトはよく話す様になったにゃー。前まで全然話さなかったのに大したもんだに!」

「……なんか……微妙な気持ちだな」

どう反応すれば良いのか分からずに苦笑いしていると、病室のドアが開けられる。

「あー、いたいた。抜け出しちゃ駄目ってポルカさんにあんなに言われてたのに、何で抜け出したのかな?」

「そりゃメンドーだし……ってのわぁ!?何すんだよ不審者!!離せぇぇ!!」

「酷いにゃー!!」

「はいはい、それはポルカさんの前で言って。……それじゃあね、クロトちゃん」

ひよこみたいにぴーぴー喚く二人を抱えると、ロギはボクに向かって微笑んだ。

「うん……またね」

軽く手を振ると、ロギは病室を出ていった。


「さて……」

借りた本の続きでも読もうかなと思い、手に取る。

「………っ!!」


キィン、と言う耳鳴りの後、思いっきり殴られた様な頭痛が襲った。


発作かな?……いや、違う。マボロシ病にこんな発作はなかったハズだ。

じゃあ、一体これは何なのだろう。

現代魔術とかそういうモノじゃなさそうだけど。

分からない。

……少し、怖い。


突然、カーテンを引かれた様に視界が真っ暗になる。


『信じられないだろうけど…………実は僕、…………なんだ。……気持ち悪い?』


ノイズ混じりの声が頭に響いた後、すぐに視界は開けた。

頭痛も収まっている。

「ロ……ギ……?」

嫌な感覚が頭に残る。何度も声が鮮明に浮かぶ。


……ロギの声だったからだ。



「……クロトさん?」

掛けられた声に顔を上げると、そこにはポルカがいた。

「……ポルカ!?」

「いや、少し前に来たばっかりなんですけど……どうかしたんですか?」

「……実は……」


『彼女の心配そうな顔には敵わない』、と塾を出ていった人達は口を揃えて言っていた。その感覚があまり理解出来なかったけど、今なら少し分かる気がした。


「……発作じゃない頭痛に声、ですか……うーん」

ポルカは机に肘をつきながら、両手を組んで唸る。

……のも、最初の1分間だけだった。

「ごめん……分からないよね」

とボクが言った途端、

「わ……分かりました!」

ガタン、と派手な音を立てて立ち上がり、案の定警告音声にお叱りの言葉をもらう羽目になった。


「えーと……クロトさんのそれは能力です!多分!!」

ひとしきり慌てた後、ポルカは咳払いをしてそう告げた。

「……多分?」

「ロギさんはそんな現代魔術使えませんって感じですし、その声を前にも後にも聞いた事がないなら……答えは2つです。

…………過去を見るか、未来予知。そういう能力ですよ」

どやぁ、と満足げに言い終えた。

「……はぁ」

……うわー。かなりざっくりしてるのに何だろうこの説得力。

「とりあえず、退院したらまず調べないと……あ、もうこんな時間ですか。明日の朝、また来ますね」


ポルカはボクの頭を撫でると、病室を出た。

ベッドから降りて外を見ると、もうすっかり暗くなっていた。街では街灯がひとつ、ふたつと灯り、空には星が瞬き始めている。


……耳鳴りと頭痛の後に、過去を見るか未来予知。しかも声だけ。


それが本当にボクの能力なら、凄く嫌だなと思った。

少しの間空を眺めてから、カーテンを閉める。


……明日はきっと、忙しくなるだろうなぁ。

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