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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:4/この狂った世に終止符を
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目覚めたジークライン

「わたしはクロトを独りにしない……ずっと、貴女の側にいる!!」


叫び声が強く響き、頬に柔らかい何かが触れる。

赤に染まった視界が、音もなく溶けていった。

「ち……ひろ……?」


「おはよう、クロト」

滲んだ視界で、千絋が微笑んでいた。

その首元にはナイフが刺さり、今も血を溢している。それを引き抜こうとする前に、彼女は何の躊躇いもなくそれを引き抜いてボクに手渡した。

「やっとお目覚めっスか」

「ようやく助かったよ。暴れ過ぎるから困ってたんだよねぇ」

「……羨ましい……ずりぃ」

千絋だけじゃない。澪もネムも、時紅もここにいる。

「なんで、ここに」

「皆、貴女の力になりたかった。だから、大義名分を持って今まで戦ってきた。……トランと淋は殺られたけど、別の形でここにいる」

よく見ると澪は氷で出来た刀を持っていた。ネムの卍鎌は炎を纏い、時々青い火花が弾けている。

……こんな事になるなら、最初から連れて行っておけば。

「責めなくていい、今はわたし達の仇を討とう。……それが二人への弔いになるハズだ」

「……うん」

「死ぬ前のお祈りは済んだかな?じゃ、始めてくれよ☆」

死目は指を鳴らし、影から巨大な何かの腕を二対呼び出した。

「言われなくてもっ!!」

腕がこちらに向かってくるのと同時に、澪が刀を振り回す。影から伸びた腕は真空波で刻まれ、サラサラと崩れていった。

「『犂明の闇』よ、愚の光溢れる地に絶望の雨を!!『エンディ・スコール』!!」

「……リープファイア」

炎を纏った弾丸が死目に放たれた直後、黒い雨が地面を抉る勢いで降り注ぐ。

「はっはっは、ワタシに異能は効かないよ☆」

水煙の中で、死目は笑っていた。その身体には傷ひとつ付いていない。指を鳴らす音が響き、頭上に鋭利な針が無数に張り巡らされた。

……あいつは指を鳴らしてから妙な技を使う。つまり指を使えなくすれば勝てるハズだ。

「魔王拳ッ!!」

ネムの魔術となんら変わりない勢いで降り注ぐ針を、エネルギー波で消し飛ばしながら死目に突撃する。

「イーヴル・インパクト!!」

「グラヴィカルショック☆」

一撃が届くコンマ数秒前に、また指が鳴った。思い出したくもない記憶が鮮明に流れ、強い脱力感に襲われ膝をついた。

「なんで……立てないっ……!?」

何とか振り返って足元を見ると、赤黒い鎖がボクの四肢に深く絡みついていた。しかも、鎖が絡みついていたのはボクだけではない。

程度に差はあれど、皆身動きが取れない状態にされていたのだ。

死目を睨みつけると、彼女はニヤリと笑った。

「それは君達が今まで経験してきた苦痛の塊だ♪どれだけ強いと言われてようが、たかだか10代の少年少女だろ?軟弱な精神じゃあこれは破れないよ☆」

2回続けて指を鳴らすと、爆発が生じた。

右腕が爆風で吹っ飛び、皮膚が炭化したけど、すぐに剥がれ落ちて新しい腕が生えてくる。痛覚を遮断したから、痛みは全く無かった。……けれど、

「__澪!!ネム!!」

二人の姿は見えない。

「クウもいねぇ……どこ行った?」

比較的鎖の束縛が緩かった時紅は、発砲の反動で上空に避難していた様だ。辺りを見回して、舌打ちをした。

「ああいう子達はつまらないからね、適当なとこに戻しといたよ☆」

死目がクスクスと笑い、白衣を翻して黒い椅子に勢い良く座る。

「……クウ?」

「保護したんだ。クロトの事を知っている様子だったが……知らないか?」

ボクが意識を失う前に見たのは、沙羅ではなかったらしい。

ネムの言っていた界蝕者、か。

「……ボク達だけにして、何の意味がある……」

「あの子達と遊ぶのは君達を屈伏させてからの方が楽しいからね♪だから早く……絶望しろ★」

脳裏に嫌な映像が映る。しかも、今度は音声までついてきた。

冷たい目。呪祖。すり抜けた手。罵倒。

鎖がじゃらり、と音を立てるのと同時に、地面に倒れた。

「あっ……ぐっ……」

全身がバラバラにされた様に痛い。痛覚遮断の通用しない痛みに、ただ悶えた。


やがて、びくびくと震えていた指に、ほんの一瞬手が重なった。

「……大丈夫……どんなクロトでも、わたしは受け入れる、から……」

今にも燃え尽きてしまいそうな弱々しい声に、強い意志を感じた。

鎖がひび割れる音に、顔を上げる。

「……何?そんな目で見られても、何も出ないよ★」

死目は口許を歪ませ、また指を鳴らそうとする。

「……うるさい」

左腕が輝き始めた。鎖がピキピキと音を立てて壊れていく。

「こんな身体になりたくてなった訳じゃないし、こんな過去も背負いたくて背負ったんじゃない。自分がどういう存在なのか悩む時もあった……」

痛みに耐えながら立ち上がり、闘争本能のままに左腕を思いきり引っ掻いた。そこから血は流れず、代わりに紫炎が噴き上がり、巨大な腕の形を取る。

「あ、あれぇ……?」

「……ようやく分かったよ。お前みたいな外道を殺すために、今のボクがいるんだ……」

死目を睨み付けると同時に、右手を握られる。

「……クロトだけじゃない。わたしもいる、だろう?」

鎖を壊し、膝を震わせながら立つ千絋の姿があった。

「んじゃ、やるか……」

時紅が大銃剣を担ぐ。

「異能が効かないなら、正真正銘の殴り合いだ!!」

抉れるほどに地面を蹴り、間合いを詰めて左腕を振りかざした。

「ははっ……笑わせるねぇ★」

死目は白衣の袖から銃を取り出すと、常人離れした速さで弾を装填し、三回乾いた音を立てる。

銃口はボクではなく、時紅に向けられていた。

「……っ!!」


ボクが庇おうとした時には既に遅く、時紅の胸元には3つ穴が開いていた。

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