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BORDER:ARRIVE ~絶対少女と不可視の境界~  作者: GAND-RED
ROG:4/この狂った世に終止符を
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ACT:4-6/第一に地獄、その次は

黒い街は見事に血塗れになっていて、生きた人間は全く見当たらなかった。

その代わりとでも言う様に、ぐちゃぐちゃになった車や死体が道路を埋めている。

「うわ、ひっどい……化学的災害(バイオハザード)みたいだ」

死の臭いが辺りに充満する中、ネムさんが小さく言いながら鼻先に何か塗っていた。死体を処理する人がそうしていたのを、以前に見た事がある。死体の臭いに耐えられる様に、強い匂いがするモノを塗っているのだろう。

食道に駆け上がってきた不快感を考える事で必死に抑えていると、気分が少し落ち着いてきた。

まさか自分の何でも深く考えてしまう癖がこんな所で役に立つとは……

「この区域は今年の定期任務の対象外。だから、これを辿れば必ず辿り着けるハズだよ」

前に進もうとしたネムさんに、淋が持たれ掛かった。

「……ネム、気分悪い……」

「ああ、お子様だからそうなるのも仕方ないか。……トランは大丈夫みたいだけど」

「オレは慣れてるからネ」

胸を張る彼を見て弱々しく笑った淋の鼻先に、ネムさんが何かを塗る。

「なんかスースーする……」

「メンソールって言うのがいっぱい入ってるからさぁ。これで死体の臭いなんか気にならなくなるよ」

「……あり、がとう……」

ネムさんはしばらく屈んで淋の頭を撫でていたけど、澪さんの視線に気がつくとすぐに姿勢を正して歩き出す。

まだぐったりしている淋は、覚束ない足取りでそれに続こうとした。

「こらこら、無理するもんじゃないっスよ」

澪さんが軽々と持ち上げ、彼女は肩に担がれる形になる。

「澪姉……ごめん」

「平気っス。……他の皆は大丈夫っスか?」

頷くと、澪さんはなら良かった、と笑った。

「んじゃ、出発っス」




血の沼は最低限避けて歩いていたけど、その最低限は本当に最低限だった。靴の踵はすっかり血塗れになり、靴下まで濡れている。服にも血がはねていた。

しかし、そんな事は最早どうでもいい。

目の前に、一度たりとも忘れた事のない忌々しい施設があるのだ。

「……だいぶぶっ壊れてんな……」

時紅が相変わらずの口調で言う。血塗れになっても、彼は何も変わっていない様だ。……悪い事をしてもそんな風にしているから困るのだけど。

「クロトはこの中のどこかにいる。彼女の事だし目についたモノは皆壊してるだろうけど、ここの監視は無限に湧いてくるんだ。……気をつけて行こう」


「させねぇよ」

声がすると共に、頭上に銃弾の雨が降ってきた。

「させるか!!」

ブラウスの袖を捲り、腕を思いきり上げて振り回す。刹那のうちに大剣へと姿を変えた腕は、銃弾をひとつ残らず薙ぎ払った。

「……流石は絶対王の操り人形、なかなかやるな」

折れた煙突から、青い髪を結わえた軍服の女性が飛び下りてくる。


「だが……ここから先に行くのは、ワイを倒してからにしてくれや」

女性は銃剣を構え、ドスの効いた声でそう言った。

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