38A列車 二度目
さて、青函トンネルをぬけたら、またしばらく走る。「白鳥」が無視しない木古内を無視して、ひた走り続ける。
「シャーク。」
後ろで声がした。見てみればいかにも眠そうな顔をしたレイが立っている。
「まだ寝てろよ。まだ4時だぜ。」
「起きたらシャークいないからどこにいるのか探しに来ただけだって。見つかったし、また寝るよ。ていうかシャーク寝た。」
「寝たよ。ちょっとだけね・・・。」
実際は2時間も寝ていないかもしれない。本当によくもつよなぁ。俺の身体・・・。
「ちょっとだけって。本当にちょっとだけ。もう。昼どうなっても知らないよ。」
「ヘイヘイ・・・。」
別に僕の身体がどうかなろうとも気にしないのだけど・・・。これを実際やったのはこれが最初ではないし、少し慣れたから、問題はないかぁ・・・。
しばらく走るとまた停車した。しかし、今度はふつうの停車である。営業停車扱いだ。だから、僕たちはホームに降りることができる。函館の停車前にラウンジにはちらほら人が集まり始めた。ここでのショーを見るためだ。
「カシオペア」や「北斗星」の乗車経験がある人ならお分かりだろう。ここでは青森と同様機関車の付け替えが行われる。今ラウンジにいる人はこれが目的で起きている人だ。機関車の付け替えのどこがそんなに重要かと思うかもしれないが、この先電化されていない線路に入線するうえで重要だ。でなければ列車をその先へ進ませることができないからだ。もちろん。ファンにとっても重要なことだ。この先の牽引を担当する機関車の番号を知っておく必要があるという人もいるくらいだ。
さて、函館駅に停車したら、全員でオームに押し掛ける。開いたドアから次々と降車し、ここのショーを全員で見る。やがて、今走って来た方向から青色のディーゼル機関車が2両仲良く走ってきた。この先の牽引を担当するDD51形ディーゼル機関車だ。国鉄生まれと結構年を取っているが、いまだ現役だ。
無事DD51がラウンジカー側に連結された。後は列車の中に戻って出発を見るだけである。DD51に従えられて、「カシオペア」は函館本線に入っていく。この先まだ車内アナウンスはない。車輪が叩く軽快な音と明るくなってきた景色が今の楽しみである。
この先は私にとって未踏の地です。