35A列車 要所
19時50分。福島に到着。東日本大震災ではここや先代も相当の被害を受けている。今のその爪痕は少し残っているようだが、ほとんど震災前の活気を取り戻しているだろう。福島は東北新幹線の要所であるとともに東北本線の要所でもある。今は山形新幹線「つばさ」が行っている「やまびこ」「MAXやまびこ」との連結解放が有名だろう。昔はここを発着する沢山の優等列車が設定されていたのに。今残る優等列車は新幹線以外この「カシオペア」と「北斗星」だけになってしまった。
さて、その福島とも2分後にお別れ。「カシオペア」はさらに北を目指す。まだまだ中間点も過ぎていない。そろそろ日が完全に落ちた。真っ暗の空を見上げようとすると室内の明かりで中の風景が窓に反射している。
「シャーク。いい加減何か食べない。」
「そうだな。」
僕はそう言った。しかし、この中の「マシE26形」に行って夕食を食べる気にはならない。あすこは10000円程度の余裕がなければそうそう行ける場所ではない。二人いるから20000円かぁ。そんな金は持っていない。結局と言ってはおかしいかぁ。僕たちは最初からそう言うつもりで乗り込んでいた。邪道と思う人がほとんどだとは思うが、先に買っておいた弁当などでこの場のたしにした。
時計が間もなく21時を指そうとしている。その時間に仙台を発車する。ここから先車内放送はない。明日の八雲到着前のアナウンスまで車内放送は行わないのだ。これは夜行列車にはふつうのことである。乗客の安眠を邪魔しないための配慮だ。
一ノ関停車22時06分。一の席を出る北に向かう最終列車は10分後の22時16分発。盛岡への最終はすでに発車していて、「カシオペア」が盛岡に到着する29分前に盛岡に到着する。
すぐに一ノ関を発車。盛岡までコマを進める。盛岡到着23時14分。まだ眠くない。「カシオペア」に乗ることができて、テンションが極限状態に達しているからだ。
(これはどこかで一気に来るなぁ・・・。)
そう思いながらもラウンジカーに向かった。
私が「北斗星」に乗車したときは一ノ関まで目があったと思われますが詳しいことは不明です。