奇跡のコンピューターウィルス
大変な事になった。
僕がダウンロードしたデータに凶悪なコンピューターウィルスが入っていたのだ。
パソコンのデータは、みーんなマサイ族男性の画像データになっていた。
こうなるともう手遅れである。
僕は、ショックのあまり全身の力が抜けた。
大事なデータも、エッチな画像も全部おじゃんになってしまったのだ。
叫ぶ声さえ出ない。泣きたくなった。
しかし、そんな僕に予想外な1つの光明が見えた。
何と、データの中のマサイ族の男の画像の1枚が拡大され、僕に話しかけて来たのだ。
「キミはパソコンを大事にしているかね?」
肌の黒いその壮年男性は、なぜか日本語でこんな事を聞いて来たのだった。
白い歯が画像内の太陽に照らされてキラリと光った。
僕は、その問いに頷く事は出来なかった。
そもそも、そんな危険なデータを簡単にダウンロードしている辺りがあまりにもお粗末だからだ。
「いいえ」
僕は正直に、日本語で答えた。
すると、マサイ族の男はにかりと笑い、その後、何と、データがすべて元に戻ったのだった!
後でいくら調べても、あのウィルスのデータは見つからなかった。
僕はその日、恐怖と奇跡を同時に味わったのだった。