第7話:告白
「…ちゃん、奈々ちゃん!」
目を覚ますと目の前にちよがいた。なんだか頭が痛い『…なんでだっけ?』
「ここどこ?」
「覚えてない?奈々ちゃんと私が初めてあった場所だよ。」
あたりを見回してもマンションも公園もない。ちよは話を続けた。
「あの日、私が泣いてたら助けてくれたでしょ??それで私のために事故にあったでしょ?」
頭の中にぼんやりと景色が浮かんでいた。
しかし頭が痛くてその先が分からない。
『さっき何を思ったんだっけ?』ちよは話を続けた。
「あたしは嬉しかったんだよ。泣いてる私を助けてくれて。でもあたしのせいで事故にあったでしょ。だからいつか恩返しがしたくてね。」
何がなんだか分からなくなった。
私は以前にちよにあっている、『でもいつだろう…。』
「10年くらい前の事だよ。あたしは奈々ちゃんに幸せになってもらいたくて…。」
ちよの姿がぼやけていきうっすらと猫の姿が見えた。
「!!あっ!あの猫は遠い昔にみたことがある。どこだっけ…。」
「覚えてない?」
頭の中が混乱している。
『あの猫は…確か昔に…。
』気付くと手に何かを持っていた。
それはちよからもらった四つ葉のクローバーだった。
その四つ葉のクローバーを見つめながら、さっき見えた猫について考えていた。
不意に靄がかかっていた景色がはっきりと輪郭を見せだした。
「…クローバー…。猫…。怪我をした子猫?しっぽの先がわかれていた?」
消えそうなちよはにっこりと笑った。
「うん!クローバーだよ。奈々ちゃんが付けてくれた名前。ありがと!嬉しかった。」
「ちよちゃんはクローバーなの?」
さらに薄くなったちよは言った。
「あたしは奈々ちゃんに、元気をだしてもらいたくて。楽しく過ごしてね。もう平気だよね?」
ちよが言いたいことがなんとなく分かった。
そして何の為にちよが私の前に現れたのか分かったような気がした。
私はただ黙ってうなずくだけだった。
「うん!奈々ちゃんありがとう。あたしもう行かなくちゃ!」
ちよとクローバーがだんだん薄れて消えていった。
最後にみたのはちよの笑顔、左手には私と同じ四つ葉のクローバーを持っていた。
「四つ葉のクローバーは幸せの証だよ。」
…
…
気が付くと病室のベッドで横たわっていた。