雨の秘め事
「チッ・・運悪ぃな・・・」
先ほどから雨が降り出し、沖原遥翔は公園の滑り台の下で雨宿りしていた。始めは小雨だったがすぐに土砂降りになってしまい、帰れなくなってしまったのだ。昔から体の弱い遥翔としては、濡れて帰りたくはない。
「ったく・・いつになったら止むんだよ。濡れて帰りたくはねーんだけどなぁ」
「じゃあ一緒に傘に入りましょうよ」
不意に後ろから聞こえた鈴の音のような声・・・深天だ。
「いいのか?」
「うん」
「悪ぃな」
「いえいえ」
淡い桜色の傘に二人で入る。深天と遥翔にはかなり身長差があるため、深天がどんなに頑張っても遥翔の方が少しかがむ状態になる。
「ほら、貸せ」
深天の手から傘を取る。
「あ、ありがとう」
「いや・・・」
横目で一瞥をしてみると、さっきまで気付かなかったが深天の肩が少し濡れている。
自分の方に引き寄せてみると、深天は頬を赤らめた。
「わわっ!」
「なんだよ」
「う、ううんっ!なんでもない!」
いつの間にやら雨は止んでいた。夕立だったらしい。すると隣から細い腕が天を指した。
「見て!遥翔、虹だよ!!」
言われて空を見てみると、見事な虹が出ていた。遥翔は虹を真っ直ぐ見つめる深天の横顔を見ていた。
「ん? なぁに? 何かついてる?」
「いや、何も」
「そう? あ、傘閉じない?」
言われて気付いた。そういえばそうだ。遥翔は傘を下に降ろしかけて・・・
「なっ!ちょっ!!」
「今日のお礼だ。別にいいだろ? 傘で隠れて誰も見てねーよ」
「そういうこと~???!!!」
傘で隠された二人の刻は二人だけの永遠の秘密
久々ですね。
今回は同テーマ作品第4弾です。テーマは『雨』。
月一回書くはずなのに先月は書きませんでした。やはり学生なのでテストが・・・ということです。またあるかもしれませんがご了承くださいな。
以上、深桜でした☆