表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第二章 動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/57

戦争終結

 形こそ違うが鐵乙女団の本部も、分厚い外壁に覆われていた。

 重火器で攻撃したところで、びくともしないだろう。とうてい破壊できる代物ではなく、攻略にはからめ手が必要だ。


 俺は片手を上げて振り下ろす。


「全軍、凹字陣型」

「了解!」


 ドーム本部の正面口メインゲートを前にして陣を敷いた。

 部隊は左翼・中央・右翼の三隊に分かれ、間隔を保って展開する。

 中央が厚く主力部隊が集中させた布陣である。


 もっとも正面突撃はしないし、端から戦うつもりはなかった。

 これは挑発をかねた陣形訓練だった。


「よーし、昼飯を食うぞ! 投降してきた者らに食わせてやれ!」

「了解しました‼」


 敵本部の目の前で、俺達は食事会を始めてしまう。隙だらけにも関わらず、本部からの反応は全くなかった。

 コンピュータAIも状況は把握しているはずだが、自軍の部隊が降伏してしまってるので、無人の機甲羽衣を戦わせるしかない。

 だが戦力はこちらが圧倒的なので、ゲートが開いた瞬間に猛攻を叩き込み、そのまま内部へ雪崩れ込める。

 負け確なのは、戦術AIでなくとも分かるはず。ならば籠城するしか手はない。


「食った、食った、美味かった」

「我らも従うぞ。しかし本部は本当に何もしてこないな、むかつく!」

「オラ出てこいや、指令官!」


 食後のひとときを過ぎると、降伏した者らが一斉に騒ぎ出す。

 ドームに向かってのヤジが止まらない。もうデモだな。

 飢えさせられた恨みが怒りとなって爆発したようだ。


 流石に暴れられるとマズいので、志乃がメガホンで叫ぶ。


「諸君、まずは落ち着け。私もかつては、紅蓮姫団本部を憎んで恨んだ。だが中枢にいるのは機械だ。人じゃない石ころに、怒りをぶつけても意味はあるまい。それと中には子供らもいるので保護が必要だ。ここは総司令にお任せしよう」


 俺は肯いてメガホンを受け取る。


「俺が総司令のテンマ・アラシだ。自己紹介は省く。今から本部を奪取するから、しばらく待機してくれ、以上」


 メガホンを志乃に返して、すぐさま動く。


「消えた!」「ど、どこだ⁈」「どうなってる⁈」


「ふっふふふふ、司令はもう正面口にいるぞ」


 初めて俺の力を見た者らは驚き、見慣れてる者らは笑っていた。

 まずは訪問の挨拶をする。セキュリティ端末に近づいて降伏勧告をする。


「こんにちは、抵抗は無駄なので降伏してください」


『ここは鐵乙女団本部である。許可無き者の……』


「はいはい、安定のテンプレ回答ですね。もう少しひねりが欲しいとこだが、聞いてる暇はない。タイパが悪いからサッサと終わらせるわ」


俺は正面口からドームの横に移動し、等間隔で歩いて距離を測る。


「――18、19、20歩と。ここらだな…………あった」


 俺は地面に埋もれていた鉄蓋を見つけた。

 それを開けてスイッチを押すと、外壁の一部がスライドしてドアが現れる。

 これは非常用の隠し扉で、紅蓮姫団の本部AIから情報を得ていたのだ。


 ただしドアには鍵がかかっていて、専用の鍵が必要だが、


「神力解錠」


 アナログ鍵なら開けるのは造作もない。

 俺はドアを開けて中に入り、梯子を登っていく。このまま司令室まで直行だ。

 構造的には紅蓮姫団の本部と大差はなく、中央制御室の少し位置が違うだけで、やることは前と変わりない。


 副司令役のアンドロイドを黙らせてから、コンピュータAIの初期化リセットボタンを押し、管理者登録をするだけだ。


 AIが再起動したところで、俺は司令室の無線を使い全軍に通達した。


『全軍に告げる、本部AIは掌握した。これよりメインゲートを開放する。各部隊は作戦通りに突入し、速やかに内部を占拠せよ。子供達の保護を最優先とする、以上』


「了解、全隊突撃!」

「うおおおおおお!」


 モニターを見れば、先を争うように部隊が入ってくる。

 指示は出しておいたので、あとは任せていいだろう。

 俺は中央のエレベーターに乗り、一階へ降りた。扉が開くと、


「アラシ総司令に敬礼!」


 いつの間にか左右に兵士達が並んでいて、一斉に敬礼してくる。

 俺は命令してないので、静香と志乃が指示をしてたのだろう。

 簡易な凱旋式だ。俺は手を振って、ドームの外へと出た。


 そして夜には祝勝会。


 ココにこられなかった仲間達には無線で伝え、一緒に勝利を祝う。

 俺は挨拶と乾杯の音頭を取る。飲めないけどね。


「俺達の勝利だ! そして終戦に乾杯!」


「かんぱーい!」


 あとは料理を食って飲んではしゃぐ、もう敵も味方もなく全員が仲間だ。

 くだらん戦争はもうおしまい。


 本部で助けた女子らは何が起きてるか分からず、オドオドしていたが、前に助けた子供達が面倒を見ていた。

 いずれ落ち着くだろう。あー、でも洗脳教育されてるから、まともな教育を受けさせんとあかん。教師が欲しいとこだ。


 あと他の者らにも勉学を……!


「大将、なにしけた面してんだー! 一緒に飲もうぜ!」

「ヒック! 軍曹の言うとおりであります。アラシ殿がたくさん酒を、飲むべきでありまーす!」


「ええい、この酔っ払いどもー! 俺はまだ子供だ――――!」


「……少しなら問題ない。ふふふふふ」

「大丈夫です。酔って倒れても、私達がお兄ちゃんを介抱します!」


 飲めない女子らは素面しらふのはずなのに、なぜか恐怖を感じてしまう。

 まあ次々と俺の元に乱入者がやって来たので、その隙に逃げだし本部内に隠れた。

 絡まれると疲れるわ。


「やっぱり一般常識を教える必要があるな……身が持たん」


 宴は夜遅くまで続いた。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召しましたら


ブックマークと★評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ