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神力の少年兵  作者: 夢野楽人


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基地探検

 俺が敵本部に入ると、けたたましい銃声が後ろから聞こえてくる。

 静香達が攻撃を始めたのだろう。まだ敵は残ってるが心配はしてない。


 俺が教え特訓したので、少数でも全員が強い精鋭になっていた。ガラクタ相手に負けはしない。いずれココに突入してくるだろう。

 

「派手にやってるな。後続の静香達のためにも、お膳立てをしてやらんと」


 もう無人機が出てくる様子はなく、全て出払ったようだ。

 俺は隔壁のスイッチを見つけて細工し、開いたままになるようにしておいた。

 念のために隔壁の下端に壊れた機甲羽衣を置き、これを挟ませて閉じないようにしたので、隙間から侵入できるだろう。


「これでよし、さて基地探検としゃれ込むか」


 まず俺が向かったのは、生体反応が感じられた場所だ。ただ反応が弱々しく俺は急ぐ。

 白い通路を突き進むと両扉が見えてくる。ここだ。


ドアを乱暴に開けて中を見ると、窓のない無機質な部屋で子供たちは身を寄せ合い、怯えた目で俺を見ていた。

 少女たちは痩せこけており、ろくに食事を与えられていないことは一目で分かった。


 俺は哀れむと同時にイラついてしまう。ガキに飯くらいちゃんと食わせろ、クソがっ!


 1人の少女が恐る恐る聞いてくる。年長でリーダー格のようだ。


「あ、あなたは誰ですか?」


「一応、正義の味方だ。そんなことよりも、まずはこれを食え!」


 俺は背負っていたリュックをおろし、レーションを取り出して、押しつけるように配った。


「ごはんだああああ!」

「早く食べたい!」

「ありがとう、ありがとう……」


 少女達は貪るように食べて、涙を流して喜んでいた。飢えるのは本当に辛いからな。

 子供たちは数十人いた。

 他にいないか聞いてみたところ、心当たりはないようなので、これで全員だろう。

 超能力も使ったが他に生体反応はない。


 俺は干し肉と干物もあることを伝え、あとから焼いて食べるように年長者に言った。

 近くに調理場があったので、自分達でやれるだろう。


「後から優しい……お姉さん達が来るから、相手をしてもらうといい。じゃあ、俺はいく」


「本当にありがとうございました!」

「お兄ちゃん、ありがとう!」


「お、おう」


 俺を男と気づいた幼い少女がいた。子供の勘は鋭い。

 仲間も増えたし性別を隠し通すのも、そろそろ限界だな。



 俺は大部屋から出ていき、上階を目指す。

 中に入ってみて建物の大体の構造は分かった。あの子ら以外人はいない。

 

 地下には格納庫と重力反応炉があり、これが基地の動力源となっている。

 宇宙戦艦にも使われており高出力で、適切にメンテナンスを行えば百年は稼働するだろう。

 基地の真ん中にはエレベーターシャフトがあったが、生体認証なので使えず、壊したところで動きはしない。

 ハッキングができん俺はあきらめ、地道に階段を上っていく。


 警備ロボットがいると思ったが、今のとこ妨害してくる者はいない。

 おそらく内部への侵入は想定されておらず、中は無防備なのだろう。やはり温いな。

 まあ、何かいたとしても叩き潰すが。


 二階にくると、研究施設であるのはハッキリした。


 機甲羽衣の部品パーツが所狭しと並んでおり、工作機械や実験設備がある。

 ただ機体を生産してるわけではなく、ここは技術解析ラボで実戦データを元に、機甲羽衣の改良をしてたようだ。


「データを取るために、静香達は戦わせられてた訳か」


 これで謎は一つ解けたが、状況からすでに薄々察してはいた。

 国も無いのに戦争してるのは、おかしい話だと思ってたからな。

 ただ、その裏にいる黒幕の正体は分かっていない。それも最上階に行けば、判明するだろう。

 

 三階は居住施設で、研究員や宇宙船でくる非居住職員の仮住まい。

 今は誰もいないが数人が暮らしていた跡があり、交替で勤務してたようだ。

 定住する場所ではないからな、娯楽もないし。


「ここは――――!」


 四階にきて俺は顔をしかめる。

 生体実験用の培養槽が並んでいて、ほとんどが空だったが、一つだけ液体の中に胎児がいたのだ。


「ゲスが!」


 見た瞬間に理解した。俺は静香達にした質問を思い出す。


「両親? それは何なんだアラシ?」

「親……知らない、初めて聞いた」

「生まれる、ってなんだ? 分からん」


 俺は赤子のうちに親から引き離され、彼女らはここへ連れて来られたのだと思っていた。

 宇宙には人身売買をしてる犯罪組織があるからな、親子ともに可哀想だ。

 だが事実はもっと最悪だった。静香達はココで造られたのだ!



 ――人造人間。



 世の中にはやって良い事と、悪いことがある。これは完全に後者だ!


 命を弄ぶなど許されざる悪行だ! これは人のすることではない! 反吐がでる!


 造られた理由も分かるからこそ、俺は怒りが抑えられなかった。


 暴れたい衝動を我慢して五階へと向かう。


 ピラミッドごとぶっ壊したくなったが、下に子供達がいるので出来ない。それにまだ利用価値もあるしな。



 五階にいたのは人ではなく、アンドロイドが二体。顔は全く同じだ。


 軍服を着ていて見た目は人間そっくりだが、俺には分かる。

 側には通信機材があったので、副司令という役で全軍に命令していたのだろう。


 こんなロボットにこき使われてたと知ったら、兵士達はどう思うだろうな?


 俺ならキレる!


 二体は俺を見るなり、テンプレ対応をしてくる。


「部外者の立ち入りは禁止だ。直ちに退去せよ」


「知るかボケ! 黙ってろポンコツ‼」


「強制排除する」


 こいつらと話しても時間の無駄だ。だが、俺の八つ当たりにはちょうどいい相手だ。

 手加減は一切いらんから、遠慮なく叩き潰せる。

 オラッ、サッサとかかってこい!

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと星評価よろしくお願いします。


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