ドカンと一発
「はっははは! ついに痺れを切らしやがったな」
「これだけやりたい放題やれば、外に出てくるしかないだろ。人ならとっくにキレてる」
「……それはこっちの、思うつぼ」
「次の準備も完了であります。退散するであります!」
先行部隊は笑いながら整然と逃げだす。
隔壁がゆっくりとせり上がるにつれ、開いた隙間から機甲羽衣の足が、ずらりと並んで見えた。
やがて隔壁が全開になると、多数の機体が姿を現して前進を開始する。だが――
「バカめ!」
ズガァ――ン! ドゴォ――ン! バガ――ン!
正門に置いておいた複数のコンテナが爆発した。逃げる前に、爆弾罠を仕掛けておいたのである。
爆発に巻き込まれた機甲羽衣が、次々と吹き飛んで粉々になる。
血や肉片は見当たらないので、予想どおり無人機だ。
一箇所に固まっていたせいで、多数の機体がスクラップと化し、正門前は足の踏み場もなく内部も相当被害を受けただろう。
まあ、まだ侵入する気はないが。
「やったぜ! 大成功!」
「ざまぁ、みやがれ!」
先制攻撃が上手くいって、仲間達は大いに喜ぶ。
しかし、まだ終わってはいない。敵側は奥から別の無人機が現れて、壊れた機体を片付け始める。
残骸をどけて隙間を作り、そこから次々とコッチに向かってきた。
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへであります」
「あんよは上手、転ぶはお下手、ココまでおいで」
「……早くきな、可愛がってあげる」
「ふわぁ……待ちくたびれたぜ」
元巴隊は途中で留まったままで、陣には戻らずに敵を挑発していた。
これに釣られたわけではないが、多数の無人機が真っ直ぐに向かっていく。
「……さよなら、さよなら、サヨナラ」
チュド――――ン!
またもや爆発が起きて敵の機甲羽衣が吹っ飛ぶ。今度は指向性地雷だ。
先行部隊が最初の移動中に、道すがら仕掛けていたのだ。
これも罠で、対パワードスーツ用の爆薬の威力は絶大。
追ってきた無人機は、次々と破壊されていく。味方は大喜びする。
「ひゃっほう! いくううううう!」
「ああっ! 気持っちいいいいいい!」
「濡れるううううう! びちょびちょになるわ!」
……歓喜の声はだんだんヤバくなってきていた。
俺も初手が上手くいって嬉しいのだが、納得はしてない。
「……あまりにも敵が弱すぎる。罠を警戒もせずに無人機を動かすなど、戦術AIなら絶対しない行動だ。やはり汎用型AIで管理しかできない機械なのだろう」
「うん、敵をあなどる気はなかったが、ここまで酷いとは思わなかった。全部アラシの言う通りだったな。それに爆弾を使った戦法は今まで使ったことがなかったから、向こうも想定外なのだろう」
「敵も味方も正面からの、撃ち合いだけやらされてたからな。奇策を全く使わないのはおかしい。これも仕組まれてる」
敵機は動かなくなり、天音達は陣に戻ってくる。
もう爆弾はタネ切れだ。
「だが、これからが本番だ」
「みんな! 気を引き締めていくぞ!」
「了解!」
士気は上がるが、それを打ち砕くかのように大勢の敵が現れる。
今度はバラバラに動かず、無人機は並んで整列を始めていた。
機甲羽衣の数――約三百機。双眼鏡で確認し俺は言う。
「機種はバラバラで、見慣れぬ機体ばかりだ。恐らく旧型・新型・試作型の機甲羽衣だろう。追い詰められて、格納庫から全部引っ張りだしたようだな」
「……数が多い」
仲間達は無口になり、十倍の敵にさっきまでの余裕はなくなってしまう。
集結した敵の大部隊は悠然と前進してくる。
こっちが少ないのを分かってるから、数で圧倒する気だろう。
俺がいる限りそうはいかんがな。俺は仲間達を鼓舞する。
「心配するなみんな! 今から俺の力を見せてやる!」
俺が手を上げて念じると、用意しておいた薬莢のない弾丸が、宙に浮かんで誰もが驚く。
「おおおおおおおおっ!」
「凄いわ!」
「これが大将の力‼」
弾数は百や二百ではなく、それはまるでイナゴの群れのようだった。
ただし襲うのは作物ではない。俺は腕を振りおろす。
「神鉄砲、百万発!」
無音の弾丸の雨が、一瞬で敵機体に降り注ぐ。装甲に無数の火花が散り、無人機は次々と倒れていく。
全方位あらゆる角度から、俺は容赦なくぶつけてやった。
高速で撃ち出されたこの物量は、もはや避けようがない…………くらっ。
俺はふらついてしまう。すかさず静香に心配される。
「大丈夫かアラシ⁈」
「ああ、少し力を使いすぎたようだ。だがまだ行ける。これから内部へ侵入する!」
「分かった、後は任せてくれアラシ。敵はまだ残っているが、今の私達ならやれる。あとから追いかける!」
「頼んだ静香、神影走!」
仲間たちを信じ俺は駆け出す。
そしてついに敵本部の中に入った。
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