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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第一章 解放編

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ドカンと一発

「はっははは! ついに痺れを切らしやがったな」

「これだけやりたい放題やれば、外に出てくるしかないだろ。人ならとっくにキレてる」

「……それはこっちの、思うつぼ」

「次の準備も完了であります。退散するであります!」


 先行部隊は笑いながら整然と逃げだす。

 隔壁がゆっくりとせり上がるにつれ、開いた隙間から機甲羽衣の足が、ずらりと並んで見えた。


 やがて隔壁が全開になると、多数の機体が姿を現して前進を開始する。だが――


「バカめ!」


 ズガァ――ン! ドゴォ――ン! バガ――ン!


 正門に置いておいた複数のコンテナが爆発した。逃げる前に、爆弾罠トラップを仕掛けておいたのである。

 爆発に巻き込まれた機甲羽衣が、次々と吹き飛んで粉々になる。

 血や肉片は見当たらないので、予想どおり無人機だ。

 一箇所に固まっていたせいで、多数の機体がスクラップと化し、正門前は足の踏み場もなく内部も相当被害を受けただろう。


 まあ、まだ侵入する気はないが。

 


「やったぜ! 大成功!」

「ざまぁ、みやがれ!」


 先制攻撃が上手くいって、仲間達は大いに喜ぶ。

 しかし、まだ終わってはいない。敵側は奥から別の無人機が現れて、壊れた機体を片付け始める。

 残骸をどけて隙間を作り、そこから次々とコッチに向かってきた。


「鬼さんこちら、手の鳴るほうへであります」

「あんよは上手、転ぶはお下手、ココまでおいで」

「……早くきな、可愛がってあげる」

「ふわぁ……待ちくたびれたぜ」


 元巴隊は途中で留まったままで、陣には戻らずに敵を挑発していた。

 これに釣られたわけではないが、多数の無人機が真っ直ぐに向かっていく。


「……さよなら、さよなら、サヨナラ」


 チュド――――ン!


 またもや爆発が起きて敵の機甲羽衣が吹っ飛ぶ。今度は指向性地雷だ。

 先行部隊が最初の移動中に、道すがら仕掛けていたのだ。

 これも罠で、対パワードスーツ用の爆薬の威力は絶大。

 追ってきた無人機は、次々と破壊されていく。味方は大喜びする。


「ひゃっほう! いくううううう!」

「ああっ! 気持っちいいいいいい!」

「濡れるううううう! びちょびちょになるわ!」


 ……歓喜の声はだんだんヤバくなってきていた。



 俺も初手が上手くいって嬉しいのだが、納得はしてない。


「……あまりにも敵が弱すぎる。罠を警戒もせずに無人機を動かすなど、戦術AIなら絶対しない行動だ。やはり汎用型AIで管理しかできない機械なのだろう」


「うん、敵をあなどる気はなかったが、ここまで酷いとは思わなかった。全部アラシの言う通りだったな。それに爆弾を使った戦法は今まで使ったことがなかったから、向こうも想定外なのだろう」


「敵も味方も正面からの、撃ち合いだけやらされてたからな。奇策を全く使わないのはおかしい。これも仕組まれてる」


 敵機は動かなくなり、天音達は陣に戻ってくる。

 もう爆弾はタネ切れだ。


「だが、これからが本番だ」


「みんな! 気を引き締めていくぞ!」

「了解!」


 士気は上がるが、それを打ち砕くかのように大勢の敵が現れる。

 今度はバラバラに動かず、無人機は並んで整列を始めていた。


 機甲羽衣の数――約三百機。双眼鏡で確認し俺は言う。


「機種はバラバラで、見慣れぬ機体ばかりだ。恐らく旧型・新型・試作型の機甲羽衣だろう。追い詰められて、格納庫ハンガーから全部引っ張りだしたようだな」


「……数が多い」


 仲間達は無口になり、十倍の敵にさっきまでの余裕はなくなってしまう。

 集結した敵の大部隊は悠然と前進してくる。


 こっちが少ないのを分かってるから、数で圧倒する気だろう。

 俺がいる限りそうはいかんがな。俺は仲間達を鼓舞する。


「心配するなみんな! 今から俺の力を見せてやる!」


 俺が手を上げて念じると、用意しておいた薬莢のない弾丸が、宙に浮かんで誰もが驚く。


「おおおおおおおおっ!」

「凄いわ!」

「これが大将の力‼」


 弾数は百や二百ではなく、それはまるでイナゴの群れのようだった。

 ただし襲うのは作物ではない。俺は腕を振りおろす。


神鉄砲デウス・ガン百万発ミリオン!」


 無音の弾丸の雨が、一瞬で敵機体に降り注ぐ。装甲に無数の火花が散り、無人機は次々と倒れていく。

 全方位あらゆる角度から、俺は容赦なくぶつけてやった。


 高速で撃ち出されたこの物量は、もはや避けようがない…………くらっ。


 俺はふらついてしまう。すかさず静香に心配される。


「大丈夫かアラシ⁈」


「ああ、少し力を使いすぎたようだ。だがまだ行ける。これから内部へ侵入する!」


「分かった、後は任せてくれアラシ。敵はまだ残っているが、今の私達ならやれる。あとから追いかける!」


「頼んだ静香、神影走デウス・スプリント!」


 仲間たちを信じ俺は駆け出す。


 そしてついに敵本部の中に入った。

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