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神力の少年兵  作者: 夢野楽人


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36/43

進軍

 模擬戦の総仕上げに予備機のAI機甲羽衣も入れ、二〇対二〇で対戦を行った。


 指揮官は静香と天音の二人で、紅美と弥生達が下についてそれぞれ分かれて戦う。

 今回天音は本気になったので、かなり良い勝負となった。


 双方のメンバーが半分になったところで、俺は模擬戦を途中で止めた。


 試合が長時間になるので、途中終了することは皆に伝えてある。

 決戦前に疲れさせたら意味がなく、早めに切り上げさせた。


「そこまで!」

「ふう、キツかった」

「お疲れ様でしたー!」


 敵味方がハイタッチをして健闘をたたえ合う。みんな笑顔だった。


 不安顔の天音は静香と感想戦をする。

 この前は手を抜いて叱られたので、今回は真剣に戦った。

 静香に見放されて嫌われるのが、天音にとっては何より辛いからな。


「あのー……どうでしたか? 獅堂隊長」


「良い指揮ぶりだったぞ、天音。間断ない攻めには苦戦して私はかなり焦った。判断も早くメンバーへの指示も適確だった。天音は十分胸を張って良いぞ、これからも頼りにさせてもらう」


「あ、ありがとうございます! 静香様!」


「ただ抱きつくのは禁止な、人目もあるから」

「えー! そんなー……」


 褒められて嬉しさ半分、ふれ合いを拒否られてガッカリ半分と言ったところだろう。

 重い……いや想いが届くことを陰ながら祈ってるぞ。



 次の日から、農園基地からの撤収作業と進軍準備に入った。


 これが結構時間がかかる。

 もう身軽な五人ではなく仲間がたくさんいるので、持っていく物資は多かった。


 時間を無駄にする気はなく、この間にある作戦を仕掛けておく。

 一つの小隊をつくって椿を隊長にし、俺は命令した。


「任務了解であります!」


「頼むぞ、椿」


 椿は喜び勇んで出発する。行き先は敵のドライ基地。


 もちろん攻める気はなく、偵察のふりをした陽動作戦をさせたのだ。

 敵が近くに姿を見せれば警戒は必至で、基地に兵を割いてくれれば、敵本部は手薄になるだろう。


 椿にやらせた理由は、脳筋の紅美なら単機で基地に突っ込みそうだし、気まぐれな弥生だったら、敵に一泡食わせようとするから困る。


 あくまでも陽動、敵に疑念を持たれてしまうと、真の狙いが見破られる恐れがある。

 だから余計なことをしない椿に任せたのだ。


 彼女が戻る頃には俺達は移動してるので、敵本部の前で合流することになる。



 準備は終わったが、まだ出発はできなかった。

 戻ってくる敵主力の動きが気になったからで、かなりの切れ者がいる以上、一番警戒せねばならない。

 このまま中継基地に戻ってくれればいいが、俺の意図を見抜いて、直接本部にでも来られたら勝ち目がなくなるだろう。


 それだけの相手だ。


 俺は仲間達と24時間交代で無線を傍受し続ける。

 全員の生死がかかってくるので、一言も聞き逃すまいと必死だ。

 しばらくは音沙汰がなかったが、やがて待望の情報が入ってくる。


 戻ってきた主力は中継基地に戻り、本部から農園基地かドライ基地へ向かうように、命令がなされた。

 これに敵指揮官はキレて、上層部と大喧嘩をしてしまう。あまりの剣幕に聞いてた俺はビビる。


「こわっ……向こうにも過激な士官がいるものだな? これは軍事裁判ものだぞ」


「私も気持ちは分かる。戻ってきたばかりで、補給もなしに動けるわけがない。何も送らない敵の上層部は頭がおかしい」


「基地の物資は全部奪ってやったからな、腹が減ってイラついてるのかもしれん。俺のせいか……」


「これは戦争だアラシ、私達は卑怯ではあっても卑劣ではない。重要な中継基地に兵もおかず、守ってなかったむこうが悪い。敵が内ゲバしてくれるなら、願ったり叶ったりだ。もっとやれ!」


「そうだな静香。よし! これで後顧の憂いはなくなった。進軍するぞ!」

「了解!」


 俺達は急いで出発した。

 農園から離れていく中、元捕虜だった者達はトラックから敬礼していた。


「さらばだ。今まで野菜をありがとう」

「もし戻ってこれたら、また収穫するぞ」


 収容されて長い間いたからな、愛着もあるだろう。基地との別れを惜しんでいた。


 敵本部の位置は分かってるが、距離は遠くて数日はかかるだろう。

 旅の間に静香達から、鐵乙女団の本部基地の話を聞いてみた。


 恐らく紅蓮姫団と変わらないと予想してるので、攻める前に参考にしたかったが……


「すまないアラシ。いたのは確かだが、物心ついた頃には別な施設に移されたので、ほとんど覚えがないんだ」


「そして本部に近づくことは禁止されてます」

「アタイも覚えちゃいないな。司令長官とかがいるんだっけか? 見たことはねえな」

「……副司令がいるという噂」


「上官も無線で本部命令を受けてるだけだったから、内情を知ってる者は誰もいないと思う。毎日の戦いで疑問に思ってる暇もなかった」


「そうか、完全に秘匿されてるわけか。逆を言えば、よほど知られたくない事が本部にはあるのだろう。俺が暴いてやる!」


「ああやろう、アラシ!」


 そしてついに敵本部が見えてくる。今までのようなプレハブ駐屯地ではない。

 外観はまるでピラミッドのようだった。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと★評価をどうかおねげーしますだ。


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