表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第一章 解放編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/43

模擬戦2

 対戦してるのは、椿チームと弥生チームだった。


 元巴隊メンバーがリーダーに選ばれたのは、気を使われたからだろう。

 新参者がでしゃばるわけにはいかず、軍隊では一日でも先に入隊した者が先輩で、年齢は関係ない。


 椿は嫌々やってるようだが頑張っている。

 オーソドックスに攻撃と防御に隊員を分けて、自陣にこもって無理な攻めはしなかった。


「教本通りだが悪くない。攻めには向かんが、遅滞戦術のお手本になる」


「月城は真面目だからな、一生懸命に軍学を勉強してる。これなら何処から攻められても守れるし、いざとなれば即座に反撃できる。敵からしたら厄介だ。しかし相手が弥生だからな、何をしでかすか分からん」


「確かに……おっ、動きがあったぞ」


 弥生は全員で椿の陣地に攻め込んでいたが、半数は隠れて待機していた。

 隙を狙って、ここぞという時に動く気だろう。


 ところが、一機の機甲羽衣が単機で突撃してしまう。誰かは言うまでもない。


「おりゃあああ! 肉はアタイのもんだー!」


 紅美が焦れて勝手に動いていた。命令よりも欲望が優先している。

 見ていた俺達は頭を抱える。


「なんてこらえ性がない奴だ。これを実戦でやられたらたまらんぞ」

「はあー……紅美はどうしようもないな」


 当然砲火が集中するのだが、紅美は機甲羽衣を巧みに操り、なんとペイント弾を躱し続けたのだ。

 かすりはしたが当たり判定にはならない。頭はともかく反射神経だけは凄いな。

 それと機甲羽衣を接近戦仕様にし、装甲を薄くしたので機体は軽くなり、素早い動きが出来るようになっていた。


「へへへ、そんなへなちょこ弾には当たらないぜ!」


 脳筋は調子にのって小馬鹿にしていた。

 これにチームは慌ててしまうが、リーダーの椿は冷静だった。


「大丈夫であります。どうせ軍曹は長く続きません。焦らずに狙って撃つであります」

「了解!」


「うっ!」


 前進しすぎた紅美は隙間のない弾幕のせいで、後ろに下がるしかなくなる。

 そりゃあそうだ。そう簡単に接近戦に持ち込めるわけがない。そして――


 ドキューン!


『紅美機、撃墜されました。モニターを閉じます』


「うがあああああ! やられたあああああ!」


 椿が狙撃銃で紅美を仕留めていた。見事な腕だ。

 撃墜判定された機甲羽衣は、中が真っ暗になって外が見えなくなるので、ゾンビ参加はできない。


 リタイアした紅美に対し弥生は、


「……やっぱりアホ。でも負けない、全機突撃!」

「了解しました!」


 一人欠けて不利になったものの、どうやら弥生は最初から紅美を、囮にするつもりだったらしい。

 なぜなら紅美がいた場所は弥生達とは逆の位置で、気を取られてる内に椿達の背後は無防備になっていた。


「く、奮戦するであります!」


「……残念伍長、私の勝ち」


 弥生チームの猛攻は早く、椿は部隊を立て直す暇がない。

 しかも一列縦隊で突撃されて先頭はやられ役。残った者達が陣内で暴れまわり、どうしようもなかった。

 機甲羽衣はペンキまみれになってしまい、椿チームは全滅した。


 そしてAIが宣言する。


『勝者、弥生チーム』


「うおおおおお!」

「よく頑張った! 感動した!」


 演習場内で大歓声が沸き起こる。良い試合だったので誰もが興奮していた。

 正に手に汗握る戦いで、俺も見ていてかなり面白かった。


「無念であります……」

「次こそは!」


 機甲羽衣のモニター画面が戻り、引き上げていく椿達にも拍手が送られる。

 負けはしたが、この悔しさをバネに成長してほしい。


 興奮冷めやらぬまま、次の模擬戦が行われる。

 演習場はそれほど荒れてないので、このまま続行だ。


「気合い入れていくぞー!」

「おう!」


 試合を見た次のチームは真剣になって、負けたくないという気持ちが前に出てくる。

 目の色が変わり本気になっていた。次の対戦前に俺は感想を言う。


「弥生の作戦は良かったが、仲間を犠牲にするような戦法はいただけない。追い詰められたら仕方がないが、やる時は無人の機甲羽衣を使うように言おう」


「賛成だアラシ、実戦でやったら味方に恨まれるだけだ。それにしても高台から、全体の動きを見てると参考になるな。兵士の動きは様々で癖があり、良い面と悪い面がある。アラシは私にこれを見せたかったのか?」


「そうだ。今後静香は部隊長として、戦場を大局的に見極め全体指揮をしてもらう。前にも言ったが、俺は単独で動くから嵐隊は任せる。アドバイスとしては戦線を維持するのを優先し、勝つことよりも負けない戦いをするんだ。あと部下を大事にしろ、その間に俺が決定打をうつ!」


「……分かった、アラシ。責任重大だがやってやるぞ!」


 やる気があるようで何よりだ。部下思いの静香なら上手くやれるだろう。

 あとはひたすら経験を積むしかない。シミュレーションはお遊びで、実戦では何が起きるか分からないからな。


「どうやら準備が終わったようだな」

「ああ」



 俺達は次の模擬戦を見ることにした。


 2回戦は、天音チーム VS モブキャラチームだった。


 ツッコミはなしでお願いしたい。かませ犬でも相手がいないと勝負はできないのだ。


 作者が「名前つけんのめんどくせー」で、こうなったわけではない……たぶん。


 ゴホン……これは置いといて、合図と共に模擬戦が始まった。


 静香は笑いながら見ている。


「天音がどう動くか楽しみだ。もちろん負けたら許さない」


「意外と厳しいな、静香」


「期待の表れだ。副官として信頼してるからな」


 さて、当の天音はどう思ってることやら……これは本人同士に任せよう。


 俺は何とも言えない気持ちで、戦いを観戦していた。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと★評価よろしゅうおたの申します。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ