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神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第一章 解放編

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捕虜の解放

「ふわあ…………」

「ねみゅい」


 腹が満ちれば眠くなる。各々自分の部屋に戻ってもらうことにした。

 農務兵達は恩を感じてるので、もはや見張りは必要ないが、今夜は元捕虜達が交代で番をすることになった。


 俺達は広場に留まり、張ったテントで寝ることにする。

 機甲羽衣が側にあれば安心だし、朝には朝食をたくさん作るのでこの場所でいい。

 大人数は大変だ。もちろん敵にも食わせる。


「というわけで炊事に時間がかかるから、明日は早起きするぞ。いいな静香?」


「わ、わかった……こ、今度こそ起きてみせる」

「……ふふふ、折り紙しよう」

「アタイもあの音だけは嫌だ。やめてくれ弥生!」

「それでは早く眠るのであります!」

「隊長は私が責任を持って起こします……目ざめのキスで」


 巴隊は全員が揃って和気あいあいとしていた。

 当初は仲が良くなかったそうだが、死線を乗り越えて一致団結したと言っていい。

 協力しあえば、その力は数倍にもなるだろう。

 俺が見たところ一人一人の能力はかなり高い……しかし癖があるな。


 こうして翌朝、なんとか静香は早起きし俺達は朝食を作り始める。


 余った肉をナイフで刻み、洗った豆や穀物を大鍋に放り込む。味付けはブイヨン。

 あとはアクをとりながら、ひたすら煮込む。

 やがて良い匂いに釣られて起き、全員が集まってくる。


 元捕虜達にも手伝ってもらい、レーションと一緒にスープを配ってもらった。


「これも美味い!」

「まともに食ったのは、実に久しぶりだ」


 農務兵達は涙を流していた。見ていた俺はほっこりすると同時に、本気でムカついた。

(味方に飯もまともに食わせらんねえなら、上の奴らは全員飢えてくたばった方がいい! 女を泣かすんじゃねー‼)


 食い終わったところで農務兵達をトラックに乗せ、順次出発させた。

 運転も彼女らにさせて、約束通りに捕虜を全員解放する。

 これは温情からくるものではなく、むしろ形を変えた攻撃なのだ。

 紅蓮姫団は逃げて来た農務兵達を、養うことになるのだから大変だぞ。


 ただでさえ食料不足なのに、農園基地から作物が手に入らないとなれば、戦うどころではなくなるだろう。さらに俺はもう一つ策を仕込む。


 農務兵の代表が別れの挨拶にきた。


「私達が言うのも変だが、本当にありがとう」


「我々は何のために戦ってるんだろうな? 戦場で会わないことを祈る。我々はドライ基地を攻めるつもりだ」


 静香が言ったことは大嘘で、警戒させるための罠だ。本当は本部基地を攻める。

 これで他所の防衛に兵を割いてくれれば、本拠地は手薄になるだろう。

 見方によっては卑怯だが、味方に被害を出さないように、俺は確実に勝つ気でいた。



 敵がいなくなったところで、全員を集めて静香が演台に立つ。

 その隣には俺がいたので不審がられた。


「改めて名乗ろう、私は巴隊隊長の獅堂静香だ。今回、諸君らを助けたのは私ではない。隣にいる彼女こそが作戦を立てた指揮官だ。そして巴隊は全員、彼女に救い出されて部下となった。まずは彼女の話を聞いてくれ」


 ざわざわする中、俺は語る。


「俺の名はアラシ、姓はテンマ。俺はココとは別の世界からやってきた……ただ記憶はない」


「そんなの嘘だ」「信じられない」


 と言われても仕方ない。ただ、下で並んで立ってる巴隊の連中は笑っていた。

 俺は話を続ける。


「まあこんなガキの言うことなど、信じられんのも分かる。そこで俺の力の一端をみせよう。神影走」


「消えた!」


 誰もがキョロキョロしてしまう。巴隊の連中も初めて見たので、目を丸くしていた。

 今まで隠していたからな。


「こっちだ、後ろだ」


 全員が振り向いて、手を振ってる俺の姿を見せたところで、また一瞬で演台の上に立って見せた。

 目で追えた者はいなかったようで、場は一気に騒がしくなってしまう。


「これは目の錯覚⁈」

「夢じゃないよな?」

「鳥肌が止まらない……」


 驚愕の一言だったらしい。収まりがつかなくなったので、静香が一喝してくれた。


「全員、静粛に! 彼女の訓示はまだ終わってないぞ‼」


「静香助かる。今見た力を使って諸君らを助けたわけだ。じゃなけりゃ、わずか五人で基地を奪えるわけがない。そして俺の目的だが記憶の手掛かりを探すのと、女兵士だらけの異常なこの世界の秘密を探ることだ」


 ここで超能力を見せたのは、元捕虜達を味方に勧誘するためだ。言葉より実力が物を言う。

 静香達も薄々気づいたようなので、ここらで少し公開することにしたのだ。

 敵に知られなければいい。


「いきなり言われて、どうしていいか分からないだろ? しばらくは身の振り方を考えて見てくれ。あとは静香達に聞くといい。それじゃあ、俺は狩りに行ってくる」


「えっ……⁈」


「大物を頼むぜ、大将」

「……お肉、大好き」

「解体の準備をしておくであります! アラシ殿」


 巴隊の連中は喜んでいるが、他は呆然としてしまう。

 昨日から色んな事が起きて頭がパンクしたようだ。無理もない。


 食い物の一気食いは喉に詰まると同じで、情報も少しずつ頭に入れなければ、理解できないのだ。

 そして俺から聞くより第三者の静香の方がいいので、あえて場を外す。


 ただ遠出をするので獲物を運ぶ手伝いがいるな、たくさん狩るし。


 そこで俺は天音にトラックの運転を頼んだ。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと★評価よろしくお願いします。


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