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神力の少年兵  作者: 夢野楽人


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魔改造

「なるほど、それも食べられる物なんですね? そんな料理方法があるなんて、知りませんでした。ありがとうございます! アラシ殿」


「石焼き・土焼き、そして葉っぱを皿にする。サバイバルは自然にある物を使うしかない。食材も見た目が悪くても食えればマシだ。ただキノコは止めとけ、プロでも毒キノコの見分けは難しい」


 椿は少ない食料配給の中、何が食えるかどうやったら食えるか、独自に研究していたらしい。

 大飯ぐらいにとっては死活問題だからな、食への探究も本気になる。

 俺は知ってる限りの食の知識を椿に教えた。ただ虫と蛇だけは避けた。


「それだけは勘弁してアラシ!」


 本気の静香にお願いされたからな、よっぽど嫌だったのだろう。

 

 椿が炊事を手伝ってくれるようになり、俺の手間が減って楽になった。

 人数が多いと大変だからな。



 そして機甲羽衣の魔改造をすることにする。ハッキリ言って今の武装が気に入らなかった。

 なぜなら、どの機体も同じ仕様でバリエーションが全くないからだ


「全機が突撃(アサルト)仕様では、戦術の応用がきかん。頭の良い奴なら対策を取って攻撃してくる。このままだと一方的にやられるだけだ」


「……どう、するの?」


「装甲を削って軽量化した近接戦用、センサーとカメラ類を強化した狙撃用、そして重装甲の遠距離砲撃用が欲しいとこだ。完全に特化型にする必要はないが、お前達も得意な戦い方があるだろ? それに合わせるんだ。できるか? 弥生」


「……なるほど、やってみる」


 整備士ではないが、機甲羽衣に一番詳しい弥生が改造(チューンアップ)をすることになる。

 兵士の才能はそれぞれ違うので、個性を活かすべきなのだ。その方が力を発揮できる。

 軍事メーカーの言いなりで、融通の利かない軍隊なんぞ糞食らえ! ……また嫌な事を思い出したようだ。


 しかし、物事は思うようには進まない。舞衣姫ダンサーでもある全員が、口出ししてきたからだ。

 我の強い女達も装備にはかなり不満があったようで、ここぞとばかりに代わる代わる注文をつけてくる

 今までは人員と部品不足で何もできなかったらしいから、ストレス解消なのだろう。

 

「このメリケンサックを手につけろ、弥生。棘がついてるから一撃だぜ!」

「……却下、他の武器が持てなくなる。そんなので殴ったら指の関節機構(マニュピレータ)が一発で壊れる。アホめ」


「八雲曹長、やはり小官のは装甲を厚くしていただきたい!」

「……ダメ、重量オーバー。燃費も悪い」


「やはりショルダー・キャノンを装備したいとこだな」

「いやいや、ここはグレネードランチャーを……」


「うー、絶対にしない!」

「いいからやれー!」

「まてまて、お前ら!」


 無茶な要求に弥生がキレて喧嘩になったので、俺が改案をだしてバランスをとるしかなかった。

 どっちにしろ一人では無理なので俺も手伝いつつ、分捕った機体を各自が整備することになる。


 ――そして数日が過ぎる。食料集めと機甲羽衣の改造は順調に進んでいた。


 女達は騒ぎながらも楽しく過ごしている。

 司令部のアホな命令に従う必要がなくなったので、ストレスから解放されて、敵地だろうと気楽にしていた。

 開き直ってるともいえるな。俺が格闘技を教えてると静香が聞いてくる。


「それで我々はいつ動くんだ、アラシ?」

「まだだ。この拠点を奪還しに来るのを待ってるんだが、どうやら部隊の集結が遅れてるらしい。やはり補給不足のようだな」


「無線を傍受したのか?」


「ああそうだ。機甲羽衣や無線機を奪われたのは分かってるはずなのに、暗号無線のパターンは変えてないし、周波数ホッピングもしないなんてありえねー! 情報を隠す気がないのか⁈ 頭悪すぎ、思わず『聞こえてるぞ』と言いたくなったわ‼」


「ははははは、でも情報が筒抜けだからいいじゃないか? 私達も軍ではマニュアルに無いことはせずに、ただ上からの命令に従うだけだった。敵にとっても想定外なのだろう」


「あるいは俺達を舐めているのかもしれんな。まあいいい、敵部隊がやってくるまで、かなり時間がある。それまでじっくりと準備を進めるぞ」


「了解だ、アラシ」


 傍受した無線によれば集結地点を決めたようで、そこを目指して各拠点から兵士が移動してるようだった。集まってから奪還部隊を編成するらしい。

 対応が遅すぎ、これだと時間がかかりすぎる。もし俺に兵力があったら、集まる前に各個撃破してるとこだ。

 ほんとに戦を知らんな。ただ俺に攻撃する意図はなく、別な作戦を考えていた。


 それを全員に話すと、


「流石だアラシ」

「くくく、やられた時の敵の顔が見て見たいぜ、なあ大将」

「……策士、軍師」

「小官は感服しました、アラシ殿」


 賞賛されるのは嬉しいが、これしか手がないだけなのだ。たった五人しかいないからな。

 それでも一番効果的で、敵からすればムカつく作戦だろう。


 更に数日が経って、ようやく集まった紅蓮姫団が動き出す。


「待ちくたびれたぜ」

「……確かに」


 俺達は呆れながらも移動の準備に取りかかる。無線を傍受してるので、大体いつ来るかは予想できた。

 それに合わせてコッチも動く。これでツヴァイともおさらばだ。

 敵がやって来たところでもぬけの殻、無駄足を踏むことになり燃料の無駄になる。

 そして兵達は精神的に疲れてしまうのだ。これが一番大きい戦果になる。


「さらばだ」「あばよ」

「……もう、こない」「お達者でー」


 巴隊の面々が陣地に別れを告げる。一時だったがココで世話になったので敬意をはらう。

 あとは車両でひたすら移動だ……ああ酔いがひどい。


 更に更に数日が経って、俺達は敵の大部隊と接触した。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召したら

ブックマークと★評価よろしくお願いします。


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