表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神力の少年兵  作者: 夢野楽人
第一章 解放編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/45

陽動作戦 後編

「ぐはっ! き、さま……」


「オラオラオラオラオラオラ!」


「どうした? なにかあったのか⁈ お前!」


 紅美は見張りの一人を不意打ちで倒し、続け様にもう一人に殴りかかるが、とっさに小銃で防がれた。

 二人はもみ合いになる。間合いが少しでも離れたら撃たれるだろう。

 帽子の兵士は様子見をしていたが、イラついて舌打ちする。


「ちっ! なんて無謀な‼」


 その久遠紅美は仲間に助けを求める。


「弥生、手伝え! こいつらを倒して逃げるぞ!」


 小屋から姿を現した八雲弥生は、帽子の兵士を見て拒否する。


「……い、や」


「なん、で………………」


 紅美はいきなり気を失って倒れてしまう。なぜかは不明。

 その時、素早い影が動いたのに気づく者はいなかった。

 いや兵士に化けた静香だけは察して、すかさずフォローに動く。


「手間をかけさせやがって!」


「……お前がやったのか?」


「ああ、このバカ(・・)を縛って荷台に放り込むぞ。手伝ってくれ」


「分かった。この野郎め!」


 目を覚ました見張りも手伝い、紅美は乱暴に扱われる。殴られたお返しだ。

 これで敵である静香に気づくことはなかった。


「お前もサッサと乗れ!」


 両手を縛られた弥生は、顔をジッと見た後で荷台に上がる。

 静香の変装に最初から気づき、助けにきたことが分かっていた。

 紅美が暴れなければ、もっとスムーズに事は運んだだろう。


「任務ご苦労」


 静香は見張りに敬礼し運転席に戻る。エンジンがかかりトラックは出発した。

 見張りがダマされた事に気づくのは、かなり後である……。



 一方、他の兵士達は格納庫から機甲羽衣に乗って、奪われた機体を追うことに必死になっていた。

すでに陣地の外へ逃げられてしまい、何としてでも止める気だった。

 もはや破壊もやむを得ない。ここまでくると面子と意地だ。


「撃って撃って、撃ちまくれー!」

「おうっ!」

「横に回り込め!」


 ほぼ全員で追いかけており、駐屯地の守りは薄くなっていたが、そんなのを気にする者はいない。

 どうせ敵は一人なので、仕留めてしまえば全て終わりだ。他に敵はいないと思ってる。


「よし、取り囲んだぞ。一斉射撃だ!」

「くらえ!」


 多勢に無勢、四方から重火器で撃たれた機体は一溜まりもなかった。

 手足が吹っ飛び、奪われた機甲羽衣はもんどり打って倒れるが、血は一滴も流れていない。妙である。


 兵の一人が恐る恐る近づき、慎重に乗降口ハッチを開けてみると、


「誰もいない!」

「どういうこと?」


 紅蓮姫の兵達は訳が分からず混乱した。勝手に動くなど有り得ないからだ。

 アラシの虚報デマにまんまとダマされ、無人の機甲羽衣に振り回されて、陽動に引っかかった事に気づく者はいなかった。


 前夜にアラシが機体に細工して、自動プログラムを組んでいたのだ

 機甲羽衣を起動させる時には念力を使っている。


 こうしてアラシと静香は、二人の捕虜を助け出すのに成功した。


 ただ紅美が暴れたのは想定外で、アラシが気絶させなかったら、蜂の巣になっていたかもしれない。

 バカは困り者である。やはりイレギュラーは発生したが何とかなった。


 二人は奪ったトラックで遠くへと去っていた……。


  ◇◇◇

 

 敵の駐屯地から離れたとこで、俺は助手席から顔を出す。

 俺も奪った軍服を着ていたが、あまりにも背が低すぎて目立つので、下に隠れていたのだ。

 敵に違和感をもたれるのはマズい。変装がバレるからな。


 流石に静香の部下が暴れ出した時には焦ったが、すかさずドアを開けて神影走で近寄り、念力で気絶させた。

 多分考えなしに動いたのだろう。他人の行動は読めんからなー、どうしようもない。

 静香が上手くフォローしてくれたお陰で、見張りに気づかれなくて済んだ。

 運転してる静香と俺は話す。


「アラシ助かった。それと部下が済まない」


「ああトラブルはつきものだし、まだ終わりじゃない」


「うん、昼時だしそろそろ止めよう」


 俺は肯く。追ってきてる敵はおらず、ダマされたのに気づいていないのだろう。

 少しは気をゆるめても大丈夫だ。俺達は休息をとることにする。


 静香はトラックを止め、俺達は後ろの荷台へと移動した。

 幌扉を開けて見ると一人はジッと見たまま動かず、もう一人はまだ気絶していた。

 静香は中に入って、縛ってたロープをナイフで切っていく。


「……ありがと、隊長」


「ああ、無事でなによりだ曹長」


 静かな声で礼を言ってくる。確か弥生とか言ったな。

 どうやら最初から気づいていたようで、無口だが優秀な兵士なようである。

 あとは任せて俺は昼飯を作り始める。食わせる人数が倍増したから忙しい。


 出来たところで静香が部下を叩き起こす。


「いいかげん起きろ! 起床、起床だー! 久遠軍曹!」


「うるせー! 寝かせろ――! はっ!? いちちちちち、体がいてえ!」


 長髪の紅美は顔をしかめて体をさする。乱暴に荷台に放りこまれたから、体のあちこちをぶつけたのだろう。

 痛みが収まったところで、目の前にいる者に気づく。


「静香!」


「説明は後だ軍曹、まずは外に出て食事をするぞ」


「……?」


 紅美はピンとこなかったようだが、焼き肉の匂いに釣られて寄ってくる。

 腹は減っているだろう。俺達は食事を始めた。

お読みいただきありがとうございます。この作品がお気に召されたら

ブックマークと★評価よろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ