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ドローンだけが、空を翔ぶ

作者: 秋桜星華
掲載日:2025/07/02

「大都市・フローネストで原因不明の強力なゾンビウイルスが発生」


 すべてのはじまりは、この報道だった。




 宇宙暦5332年、王国エリシュアではかつてない混乱が巻き起こった。


 ゾンビウイルスが蔓延し、それはあっというまに国が崩壊するほどだった。


 世界中の人々はお互いの交流を遮断し、引きこもった。


 幸い、自動配達システムがすべての国で導入されていたため、供給に問題はなかった。


 しかし、問題も多かった。


 多くの人が孤独感に苛まれたし、大多数の企業は倒産した。


 そして、廃棄物が増加した。


 このことに関して、王室は何度か声明を発表したが、改善されることはなかった。


 かつては活気あふれる都市だったフローネストも、歩けど人っ子一人見当たらない。


 笑顔が飛び交う街だったが、今では代わりに配達用のドローンが我が物顔で空を支配していた。


 世界の傍らで、少女は言った。


「今日の世界に、優しさはあるのか」


 その少女は誰だったのか。それは、誰にもわからない。


 ただ、ドローンの機械音だけが空に吸い込まれていった。




 研究者たちは孤独にウイルスを解析した。


 他の人が「誰か」との雑談に明け暮れた日も。


 人気のアーティストが活動を再開した日も。


 有名人の訃報で悲嘆につつまれた日も。


 しかしその努力には、決して感謝されることはなかった。




 およそ10年後にゾンビは脅威ではなくなった。


 そのあまりの遅さに、人々は不満をぶつけた。


「少し早かったら私の家族も助かったのに」


「協力せず、一人でやっていたから遅くなったんだ」


 研究者たちは反論した。


「そういっている人たちだってこの10年間、何も協力していなかった」


 と。





 ゾンビはもういない。代わりに笑顔もみられない。


 あるのは、顔を隠して表情のわからなくなった人間だけだ。


お読みいただきありがとうございました。


これってパニックであってますか……?


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― 新着の感想 ―
パニックかSFか、悩んだら自分の好きな方を選んで良いんじゃないかな? 気になるのが通信システムはなかったのか、という点。 それが孤独を癒してくれるとは言わないが、研究は共有出来るよなあ、と。 配送が…
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