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本当は彼女が好きだった(ショートショート)

作者: 月詠桔梗

【本当は彼女が好きだった】


交際している彼の大きな手で頭を撫でられながら、

「本当は彼女が一番好きだったのに」

と考えた。

私には小学生の頃、親友がいた。

彼女と私は仲が良かった。本当に仲が良くて

「友達以上」の関係であると感じていた。

しかし、女の子同士。

女の子同士の友達以上というのはわからなかった。

まだLGBTなどの言葉を知る人が少なかったその頃、恋人同士になれるのは異性だけだという考えが一般的だった。


「私が男の子だったら結婚できたのに。」

そんなことも言った。

家に帰る時間になると抱きしめた。

結婚したいくらい好きだと思っていた。

けれど同性じゃ結婚できないと決めつけて

中学校に上がってからはお互い男の子と交際した。

クラスも部活も別になって、

あまり会わなくなった。

あんなに好きだったのに。

たまに会っても手も繋がなくなった。

毎日手を繋いでいたのに。

お泊まりも、交換ノートも、秘密の話も。

全部無くなった。はじめからなかったみたいだと思った。全部私の夢だったのかも。本気でそう考えた。

小学生の時は彼女とばかりいたから、

中学生になって離れ離れになってからは

誰となんの話をすればいいかわからなかった。

私はどんどん孤立していった。

寂しい、と思うようになった。

けれど部活に勉強、

そして高校受験が近づいてくる。

机に向かい続けていれば

寂しくはないし、勉強は正義。

いくら孤立したって、

成績さえ伸ばし続ければ先生は誉めてくれる。

親も安心する。だから、大丈夫。


大丈夫じゃなかった。

彼女が私の知らない男の子と手を繋いで歩いて帰っている姿を見て、平気でなんていられなかった。

私だけの彼女だったのに。

私こそが彼女の「特別」だったのに。

LGBTという言葉がない時代に「性別」の差は悲しいくらい重い障害だった。


ひとりで泣いた。



それから何年も経って、

彼女も私も常に男の子と交際するようになった。

帰省するたびに予定が合えば彼女とごはんに行った。

お互いに彼氏の話をして

お互いに同棲するようになって

「結婚」が近づいてきているのを感じた。

彼女と私が「結婚」することはきっともうない。

もし私たちが十年遅く生まれていたら

その可能性だってあったかも知れない。

だって私だけじゃない、彼女も

「結婚したいくらい好き」

と言ってくれたから。そう思う、思いたい。


本当は彼女が好きだった。




最後までお読みいただきありがとうございます。

皆さんは「好きな人」「結婚したい人」と。

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― 新着の感想 ―
[一言] 正直、LGBTで騒いでるのって無知な人(主に知識を得る機会がなかった人)だけなんですよね。 こうやって無知が騒ぎ出す前は、同性愛の末の結婚は養子縁組制度を代用していたんです。そうすれば、夫婦…
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