愛憎の花

　目が覚めた主人公紫露（しろう）の視界に最初に映ったのは見知らぬ天井……ではなく見知らぬ白衣の白髪リーゼントであった。

　リーゼントは医者なのであろう淡々と骨折の部位や記憶喪失であることを告げ、すぐに部屋から去って行ってしまう。そんな医者とは思えない行動に文句を言おうとベッドから起き上がろうとするが全身の痛みでベッドから降りるのも、元の体制に戻ることも出来ずに困り果てていると1人の看護師、小百合が部屋へとやってくる。
　
　彼女は勝手に動こうとした自分を罰する意味を込めベッドに寝かせるために両肩を掴み勢いよく寝かせつけるという荒業に走り、あまりの痛さに起きて早々意識を飛ばしてしまう。

　しかしもう一度目を覚ました時にそばにいてくれた小百合に一目惚れをしてしまう。
　その恋心が自分を壊すことになるとも知らずに。