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かつての剣豪

 夏芽は、豪邸の外に出て、家の外装を見た。

 白い壁、高い塔みたいなものが、建物の上部に取り付けられていて、いかにも貴族の家という感じだった。

 剣は運べないというほどでは無かったが、なかなか重い。

 でも、この片手剣で、私の前身は邪鬼を一瞬で倒していたというのだ。

 それなら、私だって!!


 と思ったものの、公園を探して彷徨っている内に、日は沈みつつあり、オレンジ色の夕日が夏芽の顔にかかる。

 そして、時間が経つにつれて、剣が重く感じるようになってきた。

 さらに、自分の胸も、心なしか小さくなっている気がした。

 「なんで??さっきより重いんだけど。しかも、なんか、おっぱいちっちゃくなってない?腕も細くなってるし!!太ももも起きたときくらいの張りがない!!」

 独り言を言っても、橙色の空気がその声を吸い込む。

 しかし、歩き回っても、周りには自分の家のような豪邸が並び、剣を振っても良さそうな所はない。

 遂にその剣の重さが鉄塊くらいまでに感じるようになったとき、目の前に、大きな広場の入口が見えた。

 「よし、ここなら!」と思い、その広場の中に入ると、電灯が公園内を照らし、真ん中がスポットライトのように、光が集まっていた。

 その光の中に入り、片手剣を構えようとしたが、もうその剣は、片手では持ちきれない程に重くなっていた。

 仕方なく、なんとか両手で剣を掴んで、息を止めて集中した。

 風が夏芽の横を吹き抜けた。

 ツゥーとショートヘアが揺れる。

 時は止まっている。

 今は、私と剣だけの空間。

 これを振る。

 黄金の輝きよ、、、


 来い!!!!!

 

 夏芽が、腕を振った。

 重い剣が、地面に叩きつけられる。

 バサバサと木が泣く。

 真っ暗な空にぽつんと一人。


 何も起きなかった。


 その後も、何度も何度も力を振り絞って剣を振り続けたが、何も起きなかった。

 「う、嘘だ。。。私は、選ばれた、人じゃなかった……。なの?、、、」

 ここまで重い剣を持ってきて、何も、起きなかった……。私は、剣豪じゃ無かったんだ……。


 夏芽は、地面に両手をついて泣いてしまった。

 夏芽が大量の汗と涙で、公園の砂に水たまりが出来ていたとき、後ろから、さっきまで聞いていた声が聞こえた。

 「やっぱり、あなたは、本当の力を忘れてしまったのね……。仕方ないけど、私はちょっと寂しいよ……」

 夏芽が、後ろを振り返ると、そこにはフリーニャが立っていた。

 「あ、あなた、み、見てたの?」

 夏芽はら誰もいないと思っていたのに、

見られていたなんて……。

 「私は、ちょっぴり寂しいけど、あなたに無理してもらうのはやっぱり気が引けるから、やっぱりしっかりと休養してもらわないとね……。体を作り直せば、普通の人並には、力をつけられるから……。そんなに落ち込まないで」

 目に涙を溜めて四つん這いになっている夏芽にそう言った。

 「そ、そんな、私、、、いらないの、???」

 「ローリア、体の療養が一番よ」

 目の前で戦力外通告を受けて、もういっそここで死んでしまいたいと思った。

 そう思った瞬間、目の前が真っ暗になった。

 

 「はっ!!」

 どうやら、あの後すぐに寝てしまったようだった。

 すっかり、空は明るくなり、春のぽかぽか陽気だった。

 朝の太陽で照らされる公園のベンチで、夏芽は横になっていた。

 ベンチの横には、ローリアの剣が、置かれていた。

 「フリーニャったら、ベンチに寝かせてくれたのね」

 夏芽は、起き上がり、剣を持って家に帰ろうとした。

 剣は、意外とすんなり持ち上がった。

 「なんで、、、?こんなに、剣、軽かったのかな?なんだか、夜よりおっぱいもおっきい気がするし……ま、いっか!」

 そして、夏芽が公園を出て、来た道を戻ろうと公園を出ると、通ってきた道とは、別の方向から、なにやらざわざわとした声が聞こえた。

 「朝市でもやっているのかな?」

 と疑問に思い、その方向に向かって歩き出した。

 

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