復活の光
「くらええええええ!!!!!」
夏芽は獣の首元めがけて剣を振り回した。
確実に当てる、、、!
そう心に誓って剣を振った。
獣は不意打ちに体が瞬時に反応することができなかったからか、その場を動かなかった。
そして、夏芽の攻撃は見事に命中。
首元に剣を押し込んでいく。
しかし、なかなか固く、肉の中まで切り込むことができない。
「くっ、、、」
腕に力を込めて押し込んでいくが、びくともしない。
そうして苦戦していると、突然獣が顔を上に向けて、遠吠えをした。
その声は波紋のように森中に広がっていき、木をざわつかせ、地面を揺らした。
そのまま夏芽は、その波紋の勢いに飲まれるようにして、再度吹き飛ばされてしまった。
「ぐわあああ!!!」
飛ばされた夏芽の体は高速で木にたたきつけられた。
「痛いっ!!」
木の枝が夏芽の背中をえぐるように刺さる。
刺さった部分から血が抜けていく感覚。
冷たい血が夏芽の服にしみこんでいく。
さらに、夏芽は木に刺さったまま地面に足をつくことができず、磔状態になっていた。
そして、その獣は夏芽をまた睨みつけた。
グルルルルと威嚇したまま今にも夏芽を食い殺してやろうということが顔に表れていた。
「やめてええええええ!!!」
そう叫ぶも、獣は離れていかずに夏芽が落ち着くのを待っていた。
夏芽はどんどん背中から血が溢れていることに焦りを覚えていた。
今まで、前世生きてきた中で血を出したことなんて鼻血くらいしかなかったために、「死」が迫っていることが鮮明に分かる。
このままだと、死ぬ、、、!
「えっと、えっと、ここから脱出するには、、、まずいまずいまずい」
夏芽はどうにかしてこの逆境を超えていくにはどうしたら良いか必死に考えた。
しかし、どんどん思考力が鈍っていく。
夏芽の眼には、獣が笑っているように見え、こいつに喰われてしまうかもという恐怖も感じていた。
そんな恐怖でやられそうになっている夏芽に対して、ある一声が聞こえた。
「お姉ちゃん、受け取ってー!」
ウイッテの声だった。
その声の聞こえた方向を見ると、紫色に輝く光が夏芽の体に当たった。
その光が当たった瞬間、体に活力がみなぎってきた。
体が軽くなっていくのが分かる。
抜けていた血が戻ってくるような体の温かさを感じた。
体中の傷は消えていき、痛みも引いていく。
さらに、刺さっていた木の枝が溶けていき、夏芽は地面に着地した。
光に触れてから、自分の攻撃力も上がったような気がした。
「お姉ちゃーん、頑張ってねー!絶対にその動物さん、倒しちゃってー!」
「うん、まかせてウイッテちゃん、、、ありがとう、、、!」
そして、獣を前にして夏芽は口角を上げた。
「ふっ、今の私なら、倒せる!」
そう言って、剣の先を獣に突き付けながら獣に向かって走り出した。
獣もそれに呼応して夏芽の方に向かってくる。
「さあ、とどめよ!」
そう呟いて夏芽は獣を切りつけた。