2021年11月 しましまにゃんこ さまFC②
さあ、準備はできたしイラストを描いていこう。
そう思っていたのにマンガのほうがいい気がしてきた。31ページくらいでさあ、読み切りマンガにできないかな。しましまにゃんこさまの先品って、読み切りマンガにちょうどいいくらいの分量なんだよね、描いたことないけど。でもさ、俺、31ページも描くの? 死んじゃうんじゃないの? しょうがない、とびっきりのワンシーンだけ抜き取って短くまとめてみようか。できれば1ページ、多くても2ページに収めたい。
マンガイメージ
印象に強かったシーンをコマ割りしてみる。うん、やっぱ動きがあったほうがいいよね。これなら2ページに収まりそう。この場面のみどころは「シルビア姫の一目ぼれ」でしょ、そこを中心にもう1回描きなおしてみる。
マンガに限らず、ポスターなどを作る際に気になるのは視線誘導。初めにどこに目がいって、どう流れて、どこでフィニッシュするか。無理なく流れるようにしたい。
コマ割り
漫画業界ではこれを「ネーム」って呼ぶらしいけど、なんで「ネーム」なんだろう、という疑問はさておき、見比べてみると、一目ぼれのシーンはアレンのアップの方が迫力があっていい。
このシーン、どうやって一目ぼれをさせるかってことで「顔が近い」とか「息がかかる」とかも考えたんだけどやっぱりね、それに値するだけのイケメンを描く、ってのが一番大事なんだろうな。でもドラゴンのイケメンって「美しさ」ではないから後光が差すような演出はしない。どちらかというと「怖い」印象を持つようにちょっと歪ませて描く。
視線誘導に関して言えば最後のコマがうまくつながらなかった。
視線の流れ
マンガって右上から入って左下に抜けるのが基本なのに、1Pは右に抜けてるし、2Pに至っては上段のコマから流れた視線が「カッコイイ」から次のコマに流れてしまい、最後に「ドクン」に戻ってくる。不自然なことこの上ないけど、どうしても解消できなかったので諦めた。しょうがない、これが実力というやつよ。
ここからはA5サイズのコピー用紙に鉛筆で下描きをして、サインペンでなぞっていく。
人とか文字がたくさん重なってると、どれが残す線か分からなくなるのでふきだしとかコマ枠とか書き文字とか、決まったものからどんどんサインペンで描きこんでいく。人もそう。そうして下描きが出来上がる。
下描き
いやあ、マンガってめんどくさいね。コマ枠とか集中線とかフリーハンドで書いたけど、線がゆれてるなぁ。それにA5サイズじゃ線がつぶれて細かく描けない。ま、今回はコレで良しとしようか。じゃあ下描きをスキャンしてPCで色を塗っていこう。
ここでPCに取り込んだマンガをどうするか悩む。白黒か、カラーか。
マンガだから白黒でもいいんだけど、せっかくだからカラーにしたい。カラーマンガってどんだけ時間かかるんだろう。まあいいか。こんなとき〆切がないのは大きい。
まずは余白のカットと色調調整して色を塗っていく。ちなみに今回はサインペンで描いた線をそのまま線画レイヤーとして残すことにした。じゃあキャラクターと背景と文字のレイヤーを作ってそれぞれ塗っていこう。
下塗りレイヤー+背景下塗りレイヤー+文字レイヤー
1ページ目と2ページ目でアレンの色が違っているけど、この理由は最後になったら分かる。
この段階でようやく色を決める。人によるんだろうけど、俺の場合、イメージ段階で色は全く決まってないんだよね。だからアレンの黒だとか、空の青とか決まった色から塗っていって、被らないように他の色を決めてるだけなの。色のイメージができる人がうらやましい。
と、ここまできてなんだけど、ドラゴンの翼を完全に「腕」にしちゃったけど鱗をつけた方がよかったかもね。でもシルビアの翼は鱗にしたくない。だって可愛くないじゃない。じゃあアレンの翼には鎧を纏わせるか。いや、そもそも早く飛べることが重要視されるドラゴンの世界で、重い鎧を纏うってどうなのさ。いやいや、脳筋の彼らにとって「重い鎧」はむしろステータスじゃあないのか。
俺のが重い
多分ね「どんだけ重りをつけて早く飛べるか」って競技があるんだよ。
まだやってんのかよ
まあ今更なのでこのまま続行しよう。でもここで気になることができた。翼に鎧はつけなくても、せめて何か飾りをつけないか? ということでシルビアの翼に飾りをつけてみる。ついでに飛んでいるシルビアの髪がなびいていないのがイヤなので、少し乱れさせる。
シルビア修正
髪を乱したので少しだけ「飛んでる感」が増えたんじゃあないかな。そしてアレンにも気になるところが出てきた。こういうのってやりだすと止まらない。
アレン修正
アレンの耳出しと翼の追加。これでひとまず修正は終わりにして、ここから陰影をつけていくよ。
陰影レイヤー+背景陰影レイヤー
ホントはね、ここでアレンの顔を恐ろしく塗りたかったんだよね。怖いけど魅力ある、ドラゴンならではのイケメンにしたかった。でもさ、そんなことをするとしましまにゃんこさまを代表とする「人」が引いちゃいそうだから断念したんだけど、これはちょっとだけ残念。
瞳は瞳で陰影を付けていく。普段はここまでしないんだけどこの二人の瞳は「アクアマリン」と「アメジスト」っていう宝石になぞらえてるから、それっぽくなるように何段階にも分けて塗っていく。
瞳の陰影ありなし
この瞳だけでレイヤーを6枚重ねてる。陰影がついたらハイライトを入れていこう。瞳のハイライトはとても重要。ハイライトを入れるだけで誰が見ても分かるほど「魂が入る」感じがする。
瞳のハイライトありなし
いいんじゃないかなあ。キラキラだけどちょっと歪んだ笑顔。うふふ、これがアレン。
これで大体完成なんだけど、まだ効果音の文字が読みにくいでしょ? 雑誌でも、チラシでも、マンガでもそうなんだけど読みやすくするために袋文字になっている。具体的に言うと文字の周りに色を塗って視認性を高めるの。今回はマンガだからね、白と黒で文字のまわりに枠を描いてみる。これでグッと読みやすくなるはず。
あとは細かいハイライトを入れて完成だ!
竜の姫の素敵な結婚物語FC完成
と、ここでお絵かき用のPCから普段使いのPCにデータを移して見てみる。いっつもなんだけど、お絵描き用PCの画面がひび割れて色褪せてるからさ、実際の色ってここで見てみるまでわかんないの。バクチだよね、よくやってると自分でも思う。
そして、別のPCで見てみるとなんじゃこれ!
黄色い肌
アレンの肌が黄色い!
あ~、これは許容範囲を超えてるなあ、直さなくちゃ。でも、色のよく分からないPCでどうやって直すんだろう。とりあえずCMYKのYを弱くして、全体的にもうちょっとくすませて。ああっ! 今までCMYKで作っちゃってるじゃん! なるほどだからいつも「みてみん」にアップすると思ったよりもギラギラになっていたのか! RGBに変換しなくっちゃ!
でも面倒だから1ページ目は見なかったことにしよう。あんまり気にならないし。というか今ここで初めて直せてないところがあることにに気付いた! しょうがないじゃん、俺の色褪せた液晶画面じゃあ色わかんないんだしさあ、うわあ~ん。
と、これでようやく終了。
出来上がったのが12月の初めだから1か月チョイかかっちゃった。
マンガの何が大変ってたくさん絵を描かなきゃいけないことかな。だから2ページが限界。あとはストーリーがあるから絵はあまり描き込まないほうがいいかもね。少なくとも俺は絵の完成度よりも動きを重視してる。
これも今描きなおすなら、翼に鎧をつけて、シルビアは儚げにしてドレスや宝飾いっぱいつけて、陰影もアニメ風じゃあなく漫画風にしたいな。絵の質を犠牲にしてでももう少しスピード感を出すべきだったし、やっぱり直したいとこは無尽蔵に出てくる。でもそんなことしだしたら一生終わらないからしない。
さて、しましまにゃんこさまがなんと言うか。喜んでくれるといいけどなあ。
イラストを贈ると凄く喜んでくれて、アレンのこともちゃんとイケメンって言ってくれた。ほっと一安心。そりゃあさ、好きで描いてるんだからそれだけでいいんだけど、喜んでくれるならこんなにうれしいことはないね。嬉しいって返事が来ると俺もうれしくなって、何回も読んじゃうもの。
さて、次は何を描こうかな、せっかくだからもうちょっとドラゴンが描きたかったけど、次はマシーンなんかも描きたい。戦車とか、バイクとか、車とか。あっ、アレを描いとくか。
読んでいただきありがとうございます。編集作業がめんどくさいので大雑把なつくりになってますが、読み難くないでしょうか。私は既にマヒしてしまって良し悪しが分からなくなっています。
次回のお題作品は2月28日(頃)の活動報告でお知らせできると思います。気になる方はどうぞお越しください。
※2月20日更新時分 用語解説追加
【ウバ クロネ】
【視線誘導】
【しましまにゃんこ】
【集中線】
【ドラゴン】
【ハイライト】
【FA】
【FC】
【袋文字】
【変態】
【ネーム】