2025年04月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画⑲ 切り絵をしたいっ(雨澤 穀稼さまイラストアレンジ)
さあ、自分に課した残るノルマはあと3つ。しかしね、そのうち2つは俺にとってこの企画最大の難関だったりするんだよ。だから今回のイラストが俺にとっての最後のオアシスみたいなものなんだ。
じゃあそのオアシスを見ていこう。
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エントリー№42 本名:夜猫
夜猫
・構図自由、アレンジOK
コメント:特になんの指定もございませんので、好きに遊んで頂ければ幸いです。
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エントリー№43 本名:翼犬
翼犬
・構図自由、アレンジOK
コメント:特になんの指定もございませんので、好きに遊んで頂ければ幸いです。
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お題締め切りの最後の最後に駆け込みで入ってきたこの2つ。まず動物のお題ってのが初じゃないのかな。そしてイラストというよりも、そのタイトルが多くを語っているという不思議なお題。
今まで呼ぶのに不便だから「仮名」を勝手に付けてた(企画内でも本名不明のため、勝手に付けられた愛称で呼ばれてた)んだけど、この2つのお題には、元絵作者の雨澤 穀稼さまがつけた「本名」がある。しかもその本名がイラスト以上にその体を表してるじゃないか。
さて、このお題をどうアレンジしようか。
猫だったら、夜の屋根の上で月を見ている姿がいい。
犬だったら、昼の大空を駆けている姿がいい。
そう思っていたら企画内でこすもすさんどさまが夜空を見上げるような夜猫を描いてきちゃった。丘の上から星空を眺める構図。というより星空とも川面とも取れるとてもきれいなイラスト。あ、先越された。でもやっぱりイメージするところは同じようで夜猫には星空が似合うと強く印象付けられた。
天澤さまの2つのお題を比べるとやはり夜猫のほうが人気があるようで、いろんな人がそれぞれの夜猫を描いてきている。その中で企画主の幻邏さまが描いてきたイラストがまた面白かった。
三毛柄ならぬ二毛柄の背景にたくさんの猫が戯れてるんだけど、猫の部分が星空模様になっていて、あたかも二毛柄の紙に猫のシルエットを切り抜いて、星空を眺めたようになっていたの。これを見て実際に切り絵をしてみたいと思ったね。
次に影響を受けたのはコロンさまが描いてきたイラスト。これがねえ、夜猫というよりは猫のスケッチで、おそらく画用紙に鉛筆描きなんだけど、アナログの柔らかく温かみのあるイラストがとても良かったんだ。
で、俺もアナログでいこうと思ったの。しかも切り絵で夜空を眺める構図。イメージは『リト@葉っぱ切り絵』。ということで大まかな構図を描いていこうか。
【夜猫】
【翼犬】
この頃はまだ翼犬も諦めきっていない、というよりも、実際に写真を撮る時に夜だと写らない気がしてたのね。計画としてはこんな感じ。
・翼犬:白い紙を切り抜いて青空を背景に撮影
・夜猫:黒い紙を切り抜いて夜空を背景に撮影
夜に黒い紙って撮影できるのかな。撮るのならまだ少し明るさが残っている夕暮れ時の方がいいかもしれないし、でも計画通り星空を背景にしたいなあ。
描線が細いイラストだから、持った時にたわまないよう紙にはある程度の強度(厚み)が必要になる。カレンダーで何とかなるかな。
【カレンダーに夜猫】
そりゃコピー用紙に比べると厚いんだけど、風でも吹こうものならペラっちゃうよね、ましてやここから切り込んでいくんだし。
もうちょっと厚い紙はないかな、ってことで家にあったお菓子の箱で切り抜いてみようと思ったんだけどうまくいかなかった。
【千切れちゃった】
分かる? 左側の木の枝が下の部分とちぎれちゃったの。あ~あ、ここまで切ったのに。
しかも思ったより紙が厚くて切りにくいんだよね。お菓子の箱はいくつか見てみたんだけど、どれも厚さは同じくらい。このために紙を買うのはいやなので、線を太めのデザインにして枠もつけ、大雑把な形に変えてみよう。
【デザイン変更】
樹木がなくなっただけでもずいぶん楽になったよ。その他にも千切れそうな細かい部分は全部太くするかカット! お菓子の箱なので黒マジックで塗りつぶす予定。
さてじゃあ、実際に夜空を眺めてみようか。
【町明かりの中の夜猫】
本当は月なんかも入れたかったんだよね、イラストの月じゃあなくって本物の月。でも実際の月は小さくて迫力に欠けた。それよりも何よりもどこに星があるの? ひたすら真っ黒だったので町の明かりを入れてみた。じゃあ、夕暮れ時なら?
【夕暮れ時の夜猫】
実際に撮影してみると背景に写り込むいろんなものが邪魔に感じる。場所が特定できてしまう要素は入れたくないし、天気の良い日じゃないといけない。紙にピントが合うため背景はピンボケになるし、おかげで星なんか写りゃあしないし暗くなるとフラッシュでさらにひどい事になる。
写真って難しい。ってことで泣く泣く撮影は諦めてイラストで表現することにした。
ここまでやったのになあ、なんだかすごく回り道してる気分。
【下描き】
今まで紙に描いていたから、そのイメージを描いて黒い部分を塗りつぶしていく。
もちろん切り絵をイメージしているわけだから、黒い線は必ずどこかと繋がっているようにする。でも、端っこだけは切り抜いちゃった。本来ここには枠があって繋がっているはずなんだけど、まあいいや。
実際に切り絵をしたときには省略していたけれど、イラストなんだからもっと細かく描いたっていいよね、いろんなものを描き込んだっていいよね、ってことで背景の木を復活させてみたりしたんだけど、木よりももっとイメージに合って見栄えのするものってことで奥にお寺を入れることにした。ほら、この舞台ってお寺の鐘つき堂なんだし、京都や奈良だったら5重の塔なんかが見えてもいいかなあと思って。
ついでに山の稜線も復活。切り絵じゃないからさ、どんなに難しい線でも描きたい放題なのさ。
【切り絵の完成】
ここから色を塗っていくよ。
今回は夜空を背景にと考えていたのもあって、背景を青色にしてみる。ついでに白い紙で切り絵したイメージも見てみたいので、濃い青色を塗ってみる。
【黒い紙バージョン】
【白い紙バージョン】
うん、どっちもアリ。だけど白い紙バージョンは白がきつくない? とはいえこの白い部分に色をつけるのはちょっとイメージが違う。
ということで黒い紙バージョンに色をつけていくことにするんだけど、別に実際の色にこだわらなくてもいいよね。それぞれ(山、月、瓦など)にそのものの色を塗るのではなく、切り絵の雰囲気が残る程度になんとなく色を置いていくよ。
子供の頃にこんな感じの切り絵の絵本を読んだことがあるんだけどなんていう名前だっけ。
【背景グラデーション】
まずはいつもの如く夜空のグラデーションをつくってやり、その後にたくさんの色を載せて馴染ませてやる。
空を駆けているのは流れ星なんだけど、大きすぎて地球が滅亡しちゃいかねないので小型化したよ。
【たくさんの色】
月を黄色くしてみたり、流れ星に色をつけてみたり、五重塔に灯をともしてみたり。あまりやりすぎるとそっちが目立っちゃうのでほどほどに。
そして完成の前に、もう1回白い紙バージョンを見てみようか。
【白い紙再び】
これはこれでインパクトあるんだけどなあ、でもこうしてみると黒バージョンの方が夜感がある。ってことでこれにて完成。
【完成】
なんだかキャラクターイラストとは違う方向へ行っちゃったけど、さてみんなの反応は。
シブイ! うん、まさにそう。でもこんなイラストも受け入れてもらえてありがたいよ。そしてコメントからイメージしていた絵本が発覚。
瀧平二郎という切り絵作家の絵本で、代表作は『モチモチの木』。モチモチのお話は覚えていないんだけど、この方の描く(?)イラストは、切り絵だけに線が強く怖さと悲しみが混在したようなキャラクターだったのが強く印象に残ってる。明るいイラストじゃあなかったので好きではなかったんだけど、だからこそ強く記憶に残ったのかもしれないと考えると、そういうのもアリかもなあ。
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と、終わってから今さらなんだけど、切り絵を実際に写真撮影するのではなく、写真と合成すればいいんじゃね? なんて思ってしまったのでやってみたよ。
【尼崎城の夜猫】
夜の写真を探していて見つかった。出張時に撮った写真。切り絵の雲の形が城に似合ってるかもと思い合わせてみた。
【和倉温泉の夜猫】
温泉宿から撮った風景。きれいな夕日をどこに置くか迷ってこの位置に。写真の橋は能登島大橋。
【宮古島の夜猫】
これもホテルから撮ったのかなあ、あんまり覚えていない。
残念ながら星空の写真はなかった。
こういうのがパッと思いつかないあたり、我ながらアナログ人間だよなあと思う。
さあ、残るお題は2つ、期間は半月。余裕なようにも思えるけど、この2つのお題、俺にとっては1、2を争うくらいの難題なんだ。問題作とは違う、難題。
そのうち1つは考えてはいるんだけど、俺にできるのかな。




