2025年04月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画⑰ 裏稼業の男(瑞月風花さまイラストアレンジ)
さて、ずいぶん長い間放置してしまったが、ようやく瑞月風花さまのお題までたどり着いたよ。
長かったぁ~。
瑞月さまは初期からお題を出していたので、最初の頃にアレンジアイデアを考えてあったんだけど、同じアイデアのイラストを企画参加者のかぐつち・マナぱさまに出されてしまって、その後どうしようかずっと迷ってたんだよね。
瑞月さまが出しているお題は豊富なんだけど、ありすぎてどれを描こうか迷っちゃう。じゃあそのお題を見ていこうか。
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エントリー№07 仮名:レモン姫
・違う構図OK・アレンジOK
・その他:色を塗るなら金髪で碧眼(濃いめの青)でお願いします。
・コメント:性格は世間知らずだけど、間違ったことが嫌いな庶民派な小さな国に住むお姫様。みんなからは少し変わった子と思われています。思ったことをすぐに口にしてしまいますが、実はさみしがり屋で泣き虫。他人に迷惑を掛けないように気を付けているつもり……。虫を含め生き物が大好き。
イラストは癖毛ぽくなくなったのですが、本当は癖毛です(でも、アレンジ可です)。どういう風にでも料理してやってください。
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エントリー№17 仮名:狼っ子
・アレンジ・構図変更OK
・希望事項:銀髪・金目
・コメント:狼の国の男の子。作品の中で様々な年齢を描いていますので、どんな年齢でもOKです。
イラスト時点の職業は、保育士のようなもので、後に国の重役になります。満月の夜には狼に変身します。
お好きなようにアレンジしてくださると嬉しいです。
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エントリー№32 仮名:薬師魔女
・違う構図OK・アレンジOK
・その他:色を塗るなら茶髪で瞳は黄緑色(新緑色)でお願いします。
・コメント:薬作りをしている魔女ですが、自分自身のことをあまり覚えていない女の子です。
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エントリー№37 仮名:裏稼業青年
・アレンジ、構図変更OK
・コメント:元はやんごとなき家の息子ですが、様々な事情を抱えた結果、15歳からは名前を変えて庶民として、社会の裏稼業を生業として生きています。意外と世話焼きな性格。
この絵は18歳の頃ですが、作者の頭の中では、40代くらいまで大きくなっていますので、どの年齢でも大丈夫です。
・希望:色を塗るなら、蒼い瞳と赤みを帯びた金髪でお願いします。
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まずはレモン姫。
これは企画参加前に考えてたんだよね。姫をどう描くかってのを。おそらく女性ならかわいらしい姫を想像するんだろうけど、男が考える姫っていうのはまた違うものなんだよ。
そう、男が考える姫と言えば、戦う姫さまだよ。
【戦う姫さま】
姫かと問われれば到底姫には見えなくて、王冠つけて無理やり姫感を出す始末。いや、それでもまだ姫じゃないな。
ところで次のスケッチから「瑞」月さまの名前が「端」月になってるけど(えっ? 字が汚くて読めないのならそれでよし!)、素で間違えてたよ、恥ずかしい。ではここで反省を込めて。
瑞月の瑞は瑞々しいの瑞!!!
【戦う姫さま その2】
まず姫と言われて誰を連想するかというと、男の子ならきっと、風を読みガンシップを駆る風の谷の姫姉さまに違いない。父親を殺害され逆上し、敵の兵士をためらわず打ち殺すほどの技量と気迫を持った彼女、姫と言ったら彼女でしょ。もちろん他の意見はは全て却下。
でもなあ、明らかにそんなの求められてないよなあ。またしても初めましての人に描くイラストじゃあないかもなあ。
じゃあ、姫姫したのを描く? 俺に描けんのか?
【姫姫】
試してみる分にはいいけどなあ、けど両方ともレモン関係なくね? じゃあレモンを持った女性って例えば誰? やっぱりお魚くわえたドラネコ追っかけちゃうあの人かな。
【レモン姫】
いいんじゃないかな。これで。これなら初めましての方も笑って許せる範疇でしょう。
と、こんな感じで決まってたんだけど、さっきも書いたようにこのアイデアは、かぐつち・マナぱさまに先を越されちゃったので描けなくなっちゃったの。あははあ、まあ、そりゃみんな考えるよなあ。そしてここから迷宮に入っていく。
残る狼っ子、薬師魔女、裏稼業青年のどれを描くか。やっぱり男の子がいい、ってことで薬師魔女が消えたんだけど、じゃあ狼っ子と裏稼業青年のどっちを描くかで決めきれない。
狼っ子ならオーソドックスに、月を背景に変身して遠吠えするところをワイルドに描きたい。
裏稼業青年なら裏稼業シーン。きっと古城なんかに忍び込んでナイフを使った暗殺だ。
この2つでずっと迷っていたんだけど、他の人が描いてくるのがみんなほのぼのシーンのイラストだったのね。特に裏稼業青年ったら世話焼きな性格という設定から「世話焼き男子」なんて呼ばれちゃってるし。うん、決まった、世話焼きな彼の裏の顔を描いていこう。
【下描き】
まずイメージを固めながら描いていくよ。
設定からの印象では中世のナイフを使った殺し屋なんだけど、裏稼業と言ったら銃器を使った殺しのイメージが強い。近代イタリアあたりのマフィアとか。映画であったでしょ、ジャン=レノがやってたやつ。あんなイメージなんだけど、さすがにジャン=レノはマズいかな。設定では40代まで。ギリいけるかな? あの頭で40代?
うん、やめておこうか。
車がある社会で爆弾を仕掛けてドカン。それを背にする姿がいいな。元々が世話焼きなキャラクターだもの、汚れつちまつた悲しみに満ちた瞳なんだろう。そこは絶対に描きたいところ。
【どんどん描く】
大体こんなイメージ。
いつもに比べるとかなり大ざおっぱな下描きだけど、ここから線をまとめていこう。
【線画】
立っているだけだと何をしているのか分からないから、身分証明じゃあないけれど、服をはためかせて中から仕事道具を見せるようにした。
拳銃ってさ、胸の横にホルダーがあるイメージなんだけど、これじゃあベルトしか見えやしない。そこを修正するのと、もうちょっと大人びた感じにしてもいいかな。
瞳はこんなイメージのままで。
【もっと描き込み】
車はベントレーのクラッシックカーみたいなイメージで描いた。
実際はこんなに車体が曲がることはないんだけど、イラストのいいところはこういった誇張した嘘を平然とつけるところだよ。思いっきり曲げてやろう。
ある程度描いたら余計な部分を大雑把に消した後、エロ忍者……ああごめん、セクシーくノ一の時と同じように、細い消しゴムツールで描き込みながら密度も上げていく。
【消しゴム描き】
やってみて思ったんだけど髪の毛のサラサラ度が増したよね。こういう表現もありだよね。いろいろ試しているうちに思わぬ効果が現れることがあって、そういうのがホントに楽しい。ただし次回には忘れちゃったりしてるんだけど。
そして彼の瞳は悲しみを通り越して無の境地にたどり着いたようだ。
これで線画は終わり。きれいにまとまった線じゃないけど、シーンがシーンだけにこれくらいの方がいいんじゃないかな。
ここから色を塗っていくよ。
【ベタ塗り】
ベタ塗りだからこんなもん。今回は塗る範囲がキッチリした枠線で描かれていないから、どうしたって手塗りになる。
キャラクターの色が決まったら先に背景の色を決めよう。
【爆発】
爆発ってどう描けばいいのかな。
なんとなく爆発ふうにそれっぽい色を載せて馴染ませてみることにしたんだけど、結構適当に描いても爆発に見えるもんだね。
舞台は夜の街なので背景の色をそれっぽくして、さらに爆発を足していく。
【さらに爆発】
描いては馴染ませ、描いては馴染ませの繰り返し。
爆発が描けたら、次は爆発の炎が反射してキャラクターに赤い光がうつるはずだから、反射しそうな場所に赤色を入れて馴染ませていく。
反射を描き入れながら一緒に陰影も描き足していくよ。
【火の手が上がる】
次に倒れているターゲットに影を入れよう。
爆発の光によって画面手前に影が伸びるはずだから、そのあたりに濃い色を足してぼかしていく。
そしてもう少し爆発に手を入れていこう。
【もっと爆発】
明るい色と暗い色を足して、色を残すようにしてぼかしていく。
これも1発では決まらないから何度も描き足しては馴染ませてやる。
【反射光】
これも何度も描いては馴染ませてる。
ほんとは光の表現として輪郭線をところどころ消してやればいいんだけど、今回は元々そのつもりでキャラクター右腕の線を歯抜け状態にしていたので、そのままにした。
あとは集中線を足したら完成だ。
【完成】
何をしていても「流れ」っていうのがあるよね。今回の場合エロ忍……セクシーくノ一があったからこそこの表現になったわけで、別の日に描いたらまったく違う表現になっていたと思う。でも、このお題には感謝してる。エロ……セクシーくノ一と次のお題は表現的にギリギリの際どいものになりそうだったため、ホッと一息つけたよ。ハードボイルドだけど、俺にとっては癒しの1枚だった。
さてこのイラスト、みんなはどう思うかな。コメント読んでみると結構「裏家業」描きたい人っているんだね。それとジャン=レノでも許されたかも。このシーンの迫力とキャラクターの瞳が語るもの(受け手によって違っていい)を感じ取ってもらえたなら嬉しいよ。元絵の作者である瑞月風花さまには共に受け取ってもらえたようだし、初稿ではこんな感じの車に乗る人物もいたようで、そこまで外れた世界観でもないらしい。
さて、次はイメージはできているもののその表現が極めて際どいイラストになる予定。描いていいのかな。載せていいのかな。俺の中ではこの企画最大の問題作。それを描く時が遂にやってきた。




