2025年04月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画⑯ セクシーを学びたい(豆月冬河さまイラストアレンジ)
ポロリはないですよ。
悩ましい。
人には得手不得手というものがあり、それを補うためにある者は長所を伸ばし、ある者は涙ぐましい努力をする。それでもやっぱり苦手感を完全に克服するのは難しい。
俺にとってそれは「美人」であり「セクシー」なのだ。
いや、ありていに言おう。
「色気のあるキャラが描けねぇーんだよぉ!」
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エントリー№41 仮名:セクシーくノ一
・構図、アレンジ 全て自由
この人をお題にしたのは、豆月のワガママです。
彼女は会話の中に出てくるだけの人物で、実際には登場せず、セリフもありません。
だけど最重要人物なんです。
画力無いのでアレですが、この絵だと多分そのセクシーボディであらゆる男をくノ一の技で悩殺し、ブイブイ言わしてる頃ですね。
あー恥ずい(。>ω<。) 描いて下さる方いらっしゃるかなぁ…。
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くっ、このセクシーの押し売りキャラめ。セクシーJKでも悩ましかったのに、そんなの比にならないくらい色気を出させろと、このお題は言っているじゃあないか。
っていうかみんなどうすんの? 描くの? 描けるの? 載せられるの!?
とにかく俺の考えるセクシー成分を、試合前のボクサーの如く絞り切って集めてみよう。セクシーとは!
・物憂げな瞳
・半開きで厚めの唇
・長い髪を一筋咥えている
くっ、俺の限界はそんなものか? いくらなんでも乏しすぎるだろう。
しかし答えは堂々とお題に書いてある。
「セクシーボディ」「くノ一の技で悩殺」
いいのかそんな直接的で。もう知らないぞ、知らないからな。
【セクシーポーズ?】
まずは誘うように、しなをつくったポーズを描いてみる。詳しくはないが、決して詳しくはないが、グラビアなどでこういうポーズをよく見かける、というか見たわけじゃあなくってそんなウワサを聞いたことがあった。かも。
舞台はもちろん中世日本。情報を得るために、女好きな敵の有力武将を持てる房中術を駆使して骨抜きにしてやろう。ついでに自分も楽し……(自主規制)。
【描き込み途中】
えっとお、ポロリとこぼれそう(何がとは言わないが)なんだけど、表現としてはいったいどこまでがオッケーなんだろう。でもさ、ポロっちゃったらそれはもうセクシーじゃない気がするんだよね。しかもいろんな人からお叱りを受けることは間違いないだろうし、これくらいが限界かなあ。
そもそもキャラクター自体にセクシーさが足りないと思うんだ。ここからさらに描き込んでいくんだけど、まずは中世だから行灯よりも灯明皿にしよう。だって直火がチロチロしている方がセクシーな気がするからね。
【行灯から灯明皿へ】
今回は細めのペンブラシでガンガン描いて真っ黒になった後、同じサイズの消しゴムでガンガン「描き込んで」いった(つまり黒地に白い線で描くってこと)。こんな描き方は初めてするんだけど、描いては削り描いては削ってどんどん形を整えていく。消しゴムで描いてるときはまるで彫刻刀で版画を彫っているかのような不思議な感覚だったよ。
そしてやっぱりポロリが不自然じゃあないかと思い始めた。そして自分の作品ならいざ知らず、人の企画でポロるのもどうかと思い始めた。いやポロってはいないんだけれども。
ってことでさらしを巻いてより安全にしよう。でもセクシーさは失いたくない。決してポロリがセクシーの決定権を握っているわけではないが、今にもポロりそうな雰囲気だけは残したい。
【さらし装着】
どうかな。さらしは巻けどもポロりそうな雰囲気はそのままになっているはず。
大体の描き込みが終わったら、今度は背景(と言っても明かりを表す線だけなんだけど)を描き込んでいこう。
【背景ぐるぐる】
これって背景の明暗を線描で表現してるんだよね、灯を中心に暗くなるってことで一旦陰の部分を描き込んだら、ここから消しゴムで明の部分を削っていく。
【背景消しゴム】
これっていったい何の絵なんだろう。このぐるぐるを興味を持って見ることができる人って、結構な変わり者じゃあないのだろうか。
気分が悪くなる人もいるかなあ。でもこれもここまでだから。
次に人物に色を塗って、背景色を決める。炎の赤と背景の青。うん、怪しさが出てるんじゃあないかな。
【ベタ塗り】
ここで背景にも光を中心とした円状のグラデーションをかけていく。いつものように適当な色を置いたらぼかしツールで馴染ませていこう。
【背景グラデーション】
そしてここでキャラクターの肌の色を変えていくよ。今の色って、ちょっと黄色がかった色が怪しくはあるんだけど、炎の色、上気した肌、そんなことを考えるともっと赤味のある色の方が自然に思える。
床はまだ適当。イメージとしては何かしらの敷物が敷いてあるイメージ。
でもこうして色を並べてみると、どうにもしっくりこない。
【肌と敷物】
ここで一度光の色(背景の色?)を変えてみよう。いろいろ試したらもっといい色があるかもしれないじゃない。
【怪しさを求めて 光】
これ、炎の色に合ってるんだよね。暖色系で纏まっているからなのかな、すごくいい。
ずいぶん悩んだんだけど、やっぱりこのキャラクターの妖しさを表すならもっと青っぽい光じゃないのかな。
【怪しさを求めて 光2】
元々の青よりももっと紫に近い色にしてみた。こうなるともはや好みの問題だね。でも今回は「暗闇の中に妖しく光る肌」ってことにしたいので(そんな風に描けているかどうかはともかく)、青系の背景を使うことにした。
ここで光に合わせて人物の色も変えていこう。暗めな光に対して肌の色が明るすぎるよね。ちょっと暗闇な方がセクシーに見えるんじゃあないかな。本当はもっと薄暗くしたかったんだけど、これ以上暗くするとキャラクターが見えにくくなるのでそれは諦めたよ。
ついでにキャラクターの陰影部分を描き込んで、ここから馴染ませていくよ。
【色 人物陰影】
いつものように影の部分に色を置いて、ぼかしツールで馴染ませてやる。
【陰影ぼかし】
同じように床部分も陰影をつけていこう。
【床陰影】
あとは光の反射をとして、髪、頬、胸、太ももに赤色や白色を入れて馴染ませる。
【床陰影ぼかし ろうそくの光反射】
このあたりでやっていることは、大きな変化ではなく、どちらかというと自己満足な部分が大きい。多分黙っていれば誰も気が付かない変化。トライ&エラーを繰り返して、最終的に何も変わらない状態になってしまっても、やったことで納得できる。
【赤みがかかった顔】
最後に光の影響を床にも与えたら完成だ。
あれ? 結局暖色になったのね。これね、色を変えたわけではなくって、床のレイヤーの合成方法を変えてるだけなの。背景に描かれている円状のグラデーションが床にまで干渉してるでしょ? 自分で何言ってるか分からなくなってきた。
説明はめんどくさいんで、ま、色を塗ったわけじゃないよってことだけ分かればいいかな。
【完成】
今回はねえ、今までにやったことのない描き方で描いたよ。何しろ清書せず、下描きを修正しながら描き込んでいったからねえ。タイムラプス動画で筆跡が記録されていなかったら、メイキングだって書けないところだった。
さてそんなイラスト、みんなの反応は。怪しい、妖しい、セクシー、怖い。うんまあそうだよね、そのつもりで描いたんだけど、浮き彫りになる技術力不足。まあ、元絵の作者である豆月さまにもセクシーって言ってもらえたし、良しとしようか。
でもなあ、セクシーが苦手なのは直らないんだよなあ。どうしたら色気が出せるのか、本気で分からないよ。これは男性キャラクターを描くときも同じ。まあ、描く機会なんてほとんどないんだけど。
次はセクシーとは真逆のハードボイルドな世界、でも同じ描き方で描いていくよ。
【用語解説】
ポロリ:NHKの教育番組に「じゃじゃまる」「ピッコロ」とともに登場するネズミのキャラクター。思いもしなかったところで突然ポロリに遭遇してしまうことを「ハプニングぽろり」と言う。子供は大喜び。おじさんはもっと大喜び。主にラブコメ作品なんかで見られる現象。残念ながら現実に遭遇することはないだろう。




