2025年04月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画⑮ そのお面を外したい(かさしまさまイラストアレンジ)
お題が発表された時から「どうやってお面を外そうか」と思っていた。
かさしまさまのお題のことだ。しかもかさしまさまはこの1枚しか出題されていないので、避けることはできない。
まあ見てよ。
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エントリー№27 仮名:雑面少女
・構図、カラー、アレンジご自由に。
・希望:和っぽさは残ってると嬉しいです。
・コメント:身長140cmの吊り目女子(成人済)、鈴と目隠しは商売道具です。
目隠ししてる時だけテンション爆上がりするけど口以外は絶対見えない不思議仕様。
っていう設定があるとかないとか(
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既に完成されてるイラストってのは置いといて、1番の問題はこの「お面」だよ。
お題イラストにはさあ、お面をかぶっているときとかぶっていないときが描いてあるじゃん。これ、1枚だったらどう描けばいいんだろうね。せっかくのお面なんだからイラストには入れたい。でもかぶってしまうと顔が描けない。
きっとみんな顔は描きたいんじゃあないかと思うんだ。俺もそう。そうなると結局お面をかぶる直前っていうのが一番いい。面を顔の前に掲げて、その向こうにニヤリと笑う瞳がのぞく。
いいんだけど、これって正面から描くことになる。他の方が似たようなのを描いてるんだよなあ。じゃあもうあきらめて普通に装着前の姿を描こうか。
【下描き】
何となく描いたんだけど、海堂直也さまの次女侍女と同じ振り返った構図になっちゃってた。これ、手癖かなあ。
和のテイストを入れてほしいってことだったから、背景は反物を2つ転がす予定にしてみたんだけど、大丈夫かな、描けるかな。この時点で大変になるのは明白で、できれば避けたいんだけどなあ。
口に鈴を咥えさせたのは、これから面を装着しますって意味。手がふさがってますよって動作を表現したかったんだけど、これもどれだけ伝わるんだろ、まあいいや。
おおよその構図が決まったら線画を描いていこう。
【線画】
割とすっきりしたキャラクターだからね、描き込むつもりもないしすんなり線画ができた。ここから色を決めていくんだけど、今回も線画がしっかりしているのでバケツ塗りで行くよ。
【ベタ塗り】
背景を何色か試して紫に決めた。紫の補色は黄緑、水色の補色は赤~オレンジ。このあたりの色の組み合わせは好きで良く使っていて、手癖みたいなところがある。好きなのは紺色+オレンジ色の組み合わせと、紫色+黄色の組み合わせ。補色でもあまり好きじゃない組み合わせは緑色+赤色。何にでも好みってのはあるもんだよね。
そういえば設定では若草色の着物だったよね、なんて読み返してみれば「つり目」なんて言う設定があるじゃない。またやっちまったよ。え~、せっかく可愛く描けてるのになあ、つり目にしちゃうの?
【つり目】
うん、雰囲気がだいぶ変わった。
和風でつり目、このキャラクターから連想したのが狐の面だった。連想するよね? 狐面。描きたい。描きたいんだけど手には雑面持ってるしなあ。お面が2つなんてアリかなあ。
そもそもこの雑面、きっとあやかし関係のお仕事で使うんだろうけど、じゃあお祭りを楽しんでいたらはぐれたあやかしが見えて、急遽お仕事モードってことにしとこうかな。ついでに上司はお稲荷様なんてどう?
こういう勝手な設定って、もちろん作る必要はないんだけど、やっぱりあった方がいろいろと描きやすい。まあ見てる人には伝わらない、自己満足の部分だよね。
【狐面】
大雑把に形を決めたら清書して色を塗っていく。
【狐面ベタ塗り】
さあ、いよいよ背景の反物に取り掛かろう。
まずはどんな柄にするか決めていくんだけど、複雑なのはイヤなよなあ、だってめんどくさいもの。なにしろ反物2つに着物の柄だって描かなきゃいけないんだよ? そう、着物の柄があるので被っちゃいけないし、地味なんだけど見栄えがして描くのが簡単な柄がいい。若者が「天下をとってやるぜ!」って勢い込んで描くような柄じゃあなくって、年老いたおじいさんが山で芝刈りするついでに描けるような……そんな柄、あるのかな。
【きっと松】
これ、なんだろう。きっと松を図案化したものだと思うんだけど、調べている着物の中にこんな柄を見つけたので描いてみることにする。
まずは大雑把に形を描いたらきれいに清書して色を塗る。次に描いた松をコピペしてどんどん増やしていこう。
【松の増殖】
松を並べ終わったら一個一個バケツ塗りで違う色を載せていく。うん、結構華やかじゃないの。
【カラフル松】
キャラクターの着物にも柄を描いたら、あれ? これ、もう完成でもいいんじゃないの?
【全部載せ】
結構好きなんだけどなあ、でも最初の計画があるし、とりあえず進めてみようか。
まずは松の反物を最初にイメージしていた幅に収めよう。
これね、はみ出た部分を消しているんじゃあなくって「クリッピングマスク」っていう機能を使っているの。この場合反物の枠(黄土色の部分)があるじゃない。で、そのレイヤーの上に松のレイヤーが重なっているんだけど、松のレイヤーをクリッピングマスクすると下のレイヤーの色を塗った範囲だけ表示されるんだ。
分かるかな。目の前に穴の開いた紙を広げられると、穴の開いている部分以外は隠されちゃう感じ。でも消えているわけではないから修正が楽なんだよ。
これ、キャラクターなんかにも使えるんだよ。あらかじめ塗る範囲を指定しておいてやれば、はみ出し部分は表示されないから塗るのが楽なの。特にこういう輪郭線がクッキリしているイラストはね。
【クリッピングマスク】
もう一つの反物も柄に迷ったけど、とりあえず有名な矢羽根柄で覆ってみることにした。
やっぱり柄を描いてコピペで増やしていく。
【矢羽根柄】
反物の範囲を柄で覆ったらクリッピングマスクしてはみ出した部分を非表示にする。でも、色が変だったから柄と反物の色を近づけて馴染ませてみた。ついでに松の反物ももっと太くしてみた。
いいんじゃないかな。
でもさ、反物の範囲が広がってたくさんの色があふれ、キャラクターが埋もれちゃってない? 背景はあくまで背景、注目はキャラクターに集まってほしいよね。
【霧】
考えたうえで背景とキャラクターの間にレイヤーを置いて、霧がかったような色を載せて反物の色味を落とそうとしたんだけど、うん、見ての通り失敗。
ま、とりあえず反物を進めよう。矢羽根柄の反物ってこれだけじゃあさみしいよね。
キャラクターの着物の柄にも色を塗った後、矢羽根柄の反物に乗せるオブジェクトを描いていく。
【反物柄】
なんかピンとこないんだよなあ。
もっと簡単で、いい柄がないかなあ。緑色に合って、和風で、大雑把に描いてもいいやつ。
ってことで「竹」を描いていくことにしたよ。こうなってみると着物の柄を梅にして松竹梅を揃えたかった。
【竹柄】
まず縦の直線を引き、節となる部分に半円をかいたら、節のつなぎ目を消しゴムツールで消していく。うん、簡単だね。だけどやっぱり物足りない。だから竹の葉と雀を入れることにしたよ。あまり目立ってほしくないのでこっちは線画で。
【位置】
配置が終わったらクリッピングマスクではみ出した部分を非表示にする。
反物が出来上がったので、そして太さも変えたので配置を少し見直したんだけど、やっぱり色が氾濫していてキャラクターがうずもれ気味だ。キャラクターの縁取りをすれば浮き出して見えるかなと思ったんだけど、まったく効果がなかった。
【縁取りしてみたものの効果なし】
じゃあってんで反物の鮮やかさを少し落としてみたよ。ちょっとだけだけどね。
幸い黒髪(黒じゃないけどね)のキャラクターなので、他の色が落ちれば自然に目を引くことになる。描き手としてはまずキャラクターに目を向けてほしいからね。鮮やかな着物の黄色も浮き立って見えるだろうし、いいんじゃないかな。
【色調整】
まだ強い、もうちょっと落とそう。
【完成】
鮮やかな色も華やかでいいんだけどね、これくらいが限界かな。
さて今回は陰影を全くつけなかったよ。線画はおとなしかったけど、その分着物や反物の柄が派手だからね、陰影までつけると目が疲れちゃうかもと思ったのと、やっぱり和風だから浮世絵のようなベタ塗りが似合うと思ったのがその理由。
陰影つけなくても、色味を抑えても、このイラストには目を引く豪華さがあるし、これくらいがいいんじゃないかな。
さて、じゃあこれをみんなはどう見るだろう。繊細、華やか、艶やか、ステキ、そうでしょうそうでしょう、もっと褒めていいですよ。元絵を描いたかさしまさまからも素晴らしい色彩センスだって褒められたけど、うふ、気付いちゃった?
さあこの色彩センスで次に描くのは……うん、まだ悩ましいやつが残っていたっけ。




