2025年02月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画⑪ 筋肉描かずに筋肉質(辻堂安古市さまお題イラスト)
さて今回挑むのは、文字のお題の中でも特に高難度だと思われる辻堂安古市さまのこのキャラクター。
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エントリー№文-02 仮名:菊男
性別:男性
身長:170〜175
体重:中肉中背
他、身体的特徴:筋肉質
大体の年齢:40前後
髪色:黒
瞳の色:黒
世界観の服装:宇宙服
他、特記事項:船外服・船内服どちらでも
菊の花を1輪持つか咥えるかしていて欲しい
すっごい頭良いけど考え方がバカ過ぎる
コメント:クリームソーダより前に皆様と縁を繋ぐきっかけとなった1作の主人公です。
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この時点で出されていたお題の中でも一際異彩を放つこのお題。40男というだけで、一体誰が好んで描くんだろう、俺か。
今回の企画参加者は女性が多く、それもあってかお題のキャラクターも若い女性のイラストが中心だった。この俺ですらそんな雰囲気を読み取って女性のお題を出したくらいだもん。それなのに神をも恐れぬ40男……その心意気には応えなければならぬ。
しかもさあ、宇宙だよ? 宇宙服だよ? それだけじゃあなくってあろうことか「口に菊」だよ? どんだけハードル上げるんだよ。ま、宇宙服は調べるとして、菊もまあバカっぽさの象徴としてなんとかするとして、問題は宇宙服を着せると筋肉質が見せられないってことなんだあ!
え!? せっかくの筋肉なのに筋肉が描けないってこと!? それってただのおっさんじゃないの?
悩みに悩んだ俺が出した結論。
筋肉が描けないのなら、絵柄を筋肉質にしよう!
何を言っているのかわからないって? いやさあ、世の中には恐ろしいことに筋肉質な絵柄ってのがあるわけよ。やっぱり言ってることがわからない?
答えを言ってしまうとそれは「アメコミ」だよ。アメリカンコミックのさ、ああ、スヌーピーとかなしね、スーパーマンとかX−MANとか、ああいう絵柄ってなんとなく筋肉質に感じない? 何がそうさせるんだろう。日本発のキャラクターとは違う写実的で硬質な絵柄、ベタ(黒色)を多用したクッキリした陰影、そういうのが彫りの深さというか、凹凸の強い筋肉を表現するのに適していると思うんだ。
ということで、方針が決まったらだいたいのイメージを描いてみよう。
【ラフスケッチ】
これはあくまでイメージ。構図を決めるのに描いただけで、まだキャラクターにも幼さがあるというか、日本人が描くキャラクターっぽいよね。
構図が決まったからここからiPadで描いていくよ。
【下描き】
アメコミっぽくするためにキャラクターを劇画寄りで描いてみたけど思ったより濃いなあ。ギャグにするか大真面目にするか迷ったんだけど「本人は大真面目にやっていることが周りには馬鹿っぽく見える」ってのがこのお題には合ってるような気がしたので、あくまで大真面目に描いてみたよ。
うん、いいじゃない。こういうのはやりすぎくらいがちょうどいいんだよ。ちょっと初期の鳥山明っぽいかな。日本人にはアメコミよりもそっちの方がイメージしやすいかも。
じゃあどんどん描き込んでいこうか。
【描き込み完了】
おおう、自分で言うのもなんだけどずいぶんと濃いぃな。
でもそれがいい! それでこそ筋肉質、それでこそ40男!
じゃあここからきれいな線画を描いていくよ。
【線画】
あれれ? あの「濃さ」がなくなっちゃったよ。線画だから当たり前なんだけどね、なんていうかこのお題にはあの「濃さ」こそが必要なんだよね。
でもここは最初の計画通り、アメコミ陰影を試してみよう。筋肉を描かないのに筋肉質に見えるのか、ここが勝負の分かれ道だ。影になる部分を思い切って黒く塗りつぶし、ついでに線画で顔の質感を加えていく。
【アメリカンな陰影】
おっ、いいじゃあないか、というよりちょっと怖いな。でもアメリカンだもの、そんなこともあるさ。
実はヘルメットの内部にある緩衝材は、最初左右だけにつけていたんだけど「アゴも守らなきゃいけなくない?」なんて思っちゃったのでここで下側にもつけたんだけど、それによってせっかく割れてたアゴが見えなくなっちゃった。今考えると、それなら頭側にもつけなきゃいけないし、そもそもそんなこと気にしなくても良かったのかもね。だってイラストなんだから! 本物っぽい嘘をつけるのがイラストのいいところだもんね。
【キャラベタ塗り】
宇宙服が白いのでまるで塗っていないみたいだけど、ちゃんと色を置いている。アメコミって陰影をつけてない(黒のみで表現)イメージがあるので塗りはサラッとこれくらいにしておこう。
なんて思ったんだけどちょっと物足りないので追加してみるよ。
【ベタ塗り追加】
陰影部分をもう1段階、青い色でつけてみた。
もう1つ、ヘルメットのガラスなんだけど、新しいレイヤーにガラス部分の色を乗っけて「乗算」で足してみる。デジタルイラストを描かない人にはわからないと思うけど、こういった「半透明」の表現って見たまま描いてるんじゃあなくって、お絵描きアプリの機能を使ってるの。
この「乗算」ってのはつまり不透明水彩で上から描き足したようになる機能で、あちこちで使ってる。もちろんそんなの無視して描いてもいいんだけど、こうした方がミスった時に直しやすいんだ。何より楽だしね。
キャラクターが出来たから、今度は背景を描いていこう。
【地球の創造】
まずは地球。
いつものように適当な色を適当に置いたらボカシツールで馴染ませて、ベースとなる海を作っていく。水色の部分は大気ね。ここも周りに馴染ませていくよ。
【陸の誕生】
次に陸地を描いていく。
合言葉はもちろん「こをろこをろ」だよ。
これも適当な色を乗っけてなんとなく混ぜたような混ぜないような。どっちみち雲で覆われる予定なので「なんとなく陸っぽいものがある」程度に描けていればいい。
【雲の発生】
雲は普通に描こうかとも思ったけど、大剣娘でも使った「雲ブラシ」で描いてみることにした。
どうかな、アリなようなナシなような。もうちょっと量を増やして、ボカシツールで馴染ませてやった方がいいかなあ。
雲が完成したら次は宇宙を描いていくよ。
【宇宙の創造】
これもいつもの通りなんだけど、宇宙もたくさんの色が重なった複雑なものにしたいんだよね。だからそれっぽい色を置いてボカシツールで馴染ませるんだけど、以前大剣娘を描いた時の空の描写では、いろんな色を見せたかったのに結局青一色に近いものになっちゃったんだよね。
その反省点を生かして「馴染ませすぎないように」する。つまり、元の色がわかる程度に馴染ませるってこと。一見暗闇なんだけど、いろんな色が見えてる方が絶対にかっこいいんだよ、そういうもんなんだよ。
【宇宙の完成】
描いたのは見える部分だけだけどね。ついでに別レイヤーに星も散らしてみたよ。
もちろん星だって4色くらい使ってるんだけど、こうしてみるとあまり分からないもんだなあ。
【おおよそのバランスを見てみよう】
さて、こうしてできたこのお題、あとは宇宙船に色を塗って、ヘルメットのガラス部分に光沢を入れてやれば完成だ。
ちなみにこの宇宙船、適当に描いたんだけど松本零士っぽくない? いや、有名なやつじゃあなくってさ、地球の、名もない艦長が乗ってるような宇宙戦艦。特に何かを見て描いたわけじゃあないんだけど、だから印象だけで確かめたわけでもないんだけど、子供の頃に見たものってどっかに蓄積されてるもんなんだろうね。
【菊男 完成】
構図といい迫力といい、結構いい感じにできたと思うんだけど、ちゃんと筋肉質に見えてるかな。
見えてるよね!
っていうかアメコミうんぬんより顔が筋肉質だよね。アメコミにしなくっても良かったじゃん。さて、みんなの反応は。迫力! ってそうだよね、ちょっと怖いもん、この人に近づきたくない……。出題者の安古市さまからも「マッシヴ」「こりゃ逃げるわな」なんて言葉をいただき、狙い通り!
なんでかなあ、難しいお題でもうまくいく時もあれば、簡単そうなのに上手く描けない時もある。難しいね。
さて、ちょっと実生活が忙しくなってきてこのあとしばらく絵が描けないでいたんだけど、それでも企画終了の時は容赦なくやってくる。文字でお題はあと1つ。頑張って描いていこう。




