2025年02月 私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画① 企画の参加と最初のクマさん(澳 加純さまイラストアレンジ)
なろラジ応援活動をしているときから進行状況が気になっていた。
なろう作家の幻邏さまが立ち上げたイラスト系の企画のことだ。
まず大前提として『小説家になろう』は「小説」を投稿する場であって、イラストはあくまでもおまけに過ぎない。俺のように文章よりも絵という者も稀にはいるし、そんな者たちが集まってイラストの自主企画を行っているのも知ってはいた。でもね……。
俺ってエッセイしか書いてないんだよぉ!
描いてもらうようなキャラがいないんだよぉ!
ということで参加は見送っていたんだよね。ところがこの企画、物語のキャラを描くのではなく「誰かの描いた絵をアレンジする」というのがその趣旨で、じゃあ参加できるじゃん、ってことで最初から参加するつもりだったの。
企画の概要はこんな感じ。
【私の絵・キャラをあなたの絵で見たい企画】
①お題となるキャラクターイラストを企画主に提出(色・構図・性格等の指定可 但し名前や登場する小説は明かさない)12月28日~2月14日
②お題となるキャラクター設定を企画主に提出(色・性格等の指定可 但し名前や登場する小説は明かさない)12月28日~2月14日
③お題を自分流にアレンジしたイラストを描いて企画主に提出 12月28日~4月30日
④企画主が活動報告で発表、みんなでワイワイコメントする
⑤AIイラスト不可
よく考えられてるよね。この時点ではどれくらいの規模になるかは分からなかったけど、イラストって描くのにすごく時間がかかるんだよ。(たまに尋常ならざるスピードで量産する人がいるけど、それはただの天才)
まずどういうイラストにするか考える。パッと見てすぐにイメージが浮かぶものもあれば、どうしていいか分からないものもあって、そういうのは1か月以上考えてたりする。
イメージができたら描くのに必要な資料を集める。
みんな何も見ないで描けるわけじゃないんだよ。例えば「蛇口描いて」って言われても「どんな形だっけ?」なんて描けなかったりするものなの。蛇口ならまだいい。だって家にあるから見ることができるもんね。でもこれが「旅客機」とか「ピグミーチンパンジー」になると困ったことになる。しかもさ、自分が脳内でイメージした形、イメージした角度の写真なんかないんだよね。だから写真を見ながら頭の中で角度を変えて描くことになるの。
俺の場合そういうのを同時並行で3つくらい進めてる。んで、アイデアがまとまったものから描いていくんだ。ただ、アイデアがまとまってもイラスト技術の不足で四苦八苦することもしばしば。中には描いているうちに全然違うものが出来上がることもある。
だからこそお題を出し終わってから1か月半の猶予が設けられている。お題を出す期間、考える期間、調べものする期間、描く期間。イラスト描く人じゃないとこの期間設定は考えつかないよ。長いようで短い。
なろラジイラスト描きながらも次々と出てくる「お題」が気になって気になって、なろラジ応援イラストを終えてすぐに描き始めたよ。
この時には企画開始からすでに1か月が経っていて、お題だって24+2個も出ていた。そのうちの11枚は頭の中でイメージができていたけど、まだまだ新しいお題だって出てくるし、とてもじゃないけど残りの期間で全部描くのは無理だな、ということで「一人一枚」を目標に描いていくことにしたんだ。
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とりあえずお題提出順に描いていこう。
最初にお題を出していたのは澳 加純さま。俺が描き始めた2月の時点で提出されていたイラストがこの2枚。
エントリー№01 仮名:クマと少女
構図・服装・その他、アレンジOKです!(むしろアレンジしてね♡)
楽しいアレンジ作品、お待ちしております。
※特定の小説キャラクターではないとのこと。
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エントリー№16 仮名:バニーガール
コメント:一応ウチの子なので物語設定上の色指定はあるのですが、今回はオールフリーでOKです。どんなアレンジも可です。思う存分、アレンジをお願いします!
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さて、どっちを描こうか。この時点でクマさんイラストは結構描かれていたんだけど、じゃあバニーを描くかって言うと……最初からお色気路線もイヤだしなあ。そもそも最初に出ていたクマさんは、なろラジイラスト描きながらずっとアレンジを考えていたのもあって、もうイメージができている。もうそれで突っ切ろう。
じゃあそのイメージとは。
このお題、見たら分かると思うけどイラストとして完成されちゃってるんだよね。いったいこの線のどこをアレンジしろっていうの。むしろ塗り絵でいいんじゃないかな、でもせっかくアレンジ希望だし……と最初に見た時にずいぶん悩んだことを覚えてる。
まず考えたのはクマの立ち位置。これをぬいぐるみとするか他の何かとするか。続々出てくる他の方のアレンジイラストもクマを生物のように描いているものがあって、やっぱそうだよなあ、なんて思ってしまった。
俺が考えた最初の案はこのクマを「可愛く」ではなく、その反対の「恐く」描くというもの。こんな感じかな。
【腹話術】
見た目だけは可愛い(?)ぬいぐるみだけど、しゃべる言葉は毒ばかり。言えないホンネをぬいぐるみのキャラを借りてぶちまけよう。
【クマさん食事前】
これね、少女をリアルに描いたら洒落にならないからと、自分で抑えてしまった。いくらでも恐ろしくできそう。もう完全にホラーだよね。
でもこの路線はアリかもね。つまりお題のイラストが明らかに少女漫画風なので、そのジャンルごと変えてやるってこと。なんだか楽しくなってきた。
変身ヒーローにできないかな。
以前しいなここみさまの作品『ラヴ・ファイター菊池』に「ラヴを纏いし者」のイラストを描いたんだけど、その時、もっとまとわりつくような、変身ヒーローのような表現にしたかったんだよね。その時のイラストがこれ。
【ラヴを纏いし者】
クマのぬいぐるみは彼女のお父さんが残したパワードスーツで、鼻のボタンで展開して少女に覆いかぶさって変身する。でもその姿はメカメカしいものではなく、ただの着ぐるみを着た子供。いいんじゃないかなあ、少年漫画っていうか特撮ヒーローみたいで。
【特撮ヒーロー?】
あれ? これじゃあただの着ぐるみ来た子供じゃないか。いかにもヒーローなポーズをとらせれば何とかなるかな。でももっと勇ましく、いかにもな少年漫画にしたいなあ。もちろん主人公はヤンチャな感じで。
【能力に目覚めし者】
ちょっとイカれた能力者。異能力を使ったバトルマンガ。うん、でもなあ、せっかくクマがいるんだし、クマを使って戦わせるべきじゃあないのか。
【戦うクマさん】
うん、いいんじゃないかな。と、こんな感じでイメージがまとまっていた。じゃあ実際に描いていこうか。
今回もなろラジに引き続きiPadとProcreateというお絵かきソフトを使っていくよ。紙の大きさはA5サイズ。なろうで使うだけだからね、この大きさで十分。
今回は直接iPadに下描きをしていくよ。下描きには鉛筆ブラシを使う。なろラジでも使ったけど、この「鉛筆らしい線」が好き。
実はこのProcreateというアプリケーションはデフォルトで筆跡を記録していて、いつでもそれまでの筆跡を動画再生してくれるの。ということは動画を見ていけばどういう順番で描いていったかが分かるわけでとても便利なんだけど、保存容量をどれだけ使っているのかを考えると恐ろしい。
とにかく下描きだ。
【ザクっとね】
イメージと配置が違うんだけど、イメージはあくまでイメージ。戦うクマさんのアイデアはそのままにして、もう少し見栄えがするように配置換えする。
とりあえず主人公となる女の子を描いた後、クマについて考える。
これって意志の通じるぬいぐるみという(勝手な)設定なんだけど、きっと内部はメカだよね。そういえば、いろんなお題が出てきてるんだけど「女の子」が多くって、もっと男の子向けのもの、例えばメカなんかは出てこない。いや、メカなんて誰も描かないだろうしな。うん、でもメカ、アリだな。
クマをメカクマにしてしまおう。
動力源なんかは置いといて、機械感を出すのに関節は分かりやすく油圧シリンダーとモーター駆動にしよう。リベット止めとか何時代だよって感じだけど、空想マシンにはこういった分かりやすさが大事。
【クマさんメカ化進行中】
これで大体の下描きができた。
下描きができたら下描きレイヤーの透明度を上げた後、上に乗算レイヤーを重ねて線をなぞっていくよ。
線画に使うブラシは綺麗な線が引ければ何でもよかったので適当に選ぶ。ペン先が●じゃなくて▲なのが気になるけどでもま、描けりゃあ何でもいいんだよ、細かいことは気にしない。
【線画】
線画ができたらその下にベタ塗りレイヤーを重ねて色を塗る。
【ベタ塗り】
次にベタ塗レイヤーと線画レイヤーの間に陰影レイヤーをつくって「乗算」で陰影をつける。今回は少年漫画なのでアニメチックにくっきりした影を付ける。
これで大体の完成図が見えてきたね。
ここで背景を黒くして塗り残しがないか確かめる。バケツ塗りで一気に塗るときはこんなことしないんだけど、俺の場合はチマチマ手塗りをしているからどうしても塗り残しが発生するんだよね。今回の髪の毛のように明るい色の場合は、背景を暗くした方が塗り残しを見つけやすい。こういうところをもっといろんな機能を使ってスマート化させられれば描くペースはどんどん短縮できるはず。
【塗り残し確認】
もう1段濃い目の影を付けて、ついでにロボクマの目を光らせる。
【キラーン】
このイラスト、実は背景を描くかすごく迷ったんだ。これに背景を入れるなら都会の真ん中にして、ビルからは火を上げて消防とマスコミのヘリも飛ばしたい。ヒーローの後ろにはパトカーのバリケードと走り回る警官たち。そうしたい、そうしたいのはやまやまなんだけど、1枚目からそんなに時間をかけて大丈夫かなあ。
ううう。ここで苦渋の決断。今後のことも考えて背景は1色のベタ塗りに決定。Procreateはデフォルトで一番下に背景の色を決められるレイヤーがあるのでいくつか試してみて似合う色を決めたよ。
後で調べてみると背景の紫と髪の黄色が補色の関係にあったよ。なんとなく合ってる色を探して決めたんだけど、こうして理論的に似合う色であることが分かると、まだまだ枠からはみ出せてないなあ、なんて思う。無理してはみ出す必要もないんだけどね。
【クマと少女 完成】
うん、いいんじゃないかなあ。クマの後ろをビカビカッと光らせてもよかったかも。
みんなの反応は……おおむね良好。お絵かき企画では初ロボだったからね、わりと食いついてくれた。元絵を描いた加純さまの反応も上々。もともとアレンジ希望で出された元絵っていうのもあるし、加純さまがアレンジ好きってのにも助けられたかな。
さあ、これからじゃんじゃん描いていこうか!




